国際バカロレアMYP認定校として、グローバルな視点と探究的な学びを実践する同校で、キャリア支援部主任の南大都先生に、教育理念から日々の取り組みまでお話を伺いました。
教育理念とキャリア支援の方針
ー貴校の教育理念や特色についてお聞かせください。
南先生:鹿児島修学館中学校・高等学校では、「みんなが学ぶことの楽しさを知り、学び続ける力を身につける」という学校教育目標のもと、キャリア支援部(一般的には「進路指導部」)、生徒支援部(一般的には「生徒指導部」)、教務部が連携し、「生徒の心理的安全性を担保し、多様な生徒のキャリア発達と進路実現を支援する」という共同ミッションを掲げています。
ここでいうキャリア発達とは、文部科学省の定義に基づき、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程を指します。
本校では、生徒一人ひとりのキャリア発達を教育の中核に据え、その過程の一つとして進路実現(上級学校への進学)を位置づけています。
進路の実現はゴールではなく、自分らしい人生をかたちづくっていくための通過点のひとつにすぎません。
だからこそ私たちは、単なる受験指導にとどまらず、生徒一人ひとりのキャリア発達を丁寧に支援することに力を注いでいます。
探究的な学びと主体性の育成
ー生徒の皆様にはどのような力を身につけて欲しいとお考えですか?
南先生:正解がひとつではない時代だからこそ、「問いを立て、自ら探究し、学び続ける力」を身につけてほしいと考えています。
問いや答えを与えられるのを待つのではなく、自分自身で考え、課題を見つけ、試行錯誤を重ねながら成長していける人になってほしいと思っています。
そのような力を育むため、本校では国際バカロレアMYP認定校として「探究的な学び」を教育の柱としています。
探究的な学びでは、まず自らテーマを「選択」し、「計画」→「実行」→「振り返り」というサイクルを繰り返すことで、学びを自分自身のものとして深めていきます。
具体的な取り組みとしては、各教科の授業に加えて、自分の興味・関心に基づいてテーマや目標を設定し、成果物をつくる「パーソナルプロジェクト(PP)」や、自ら問いを立てて研究を進める「課題研究」、地域とつながりながら学ぶ「コミュニティエンゲージメント(CE)」活動などがあります。
また、体育祭や修学祭といった学校行事も、生徒主体で企画・運営されており、こうした場面でも探究のプロセスを体験することができます。
学びは教室の中だけにとどまらず、実社会や仲間と関わりながら広がっていくものです。
生徒たちには、そうした探究の楽しさを体験しながら、「学び続ける力」を育んでほしいと願っています。
きめ細かな進路支援と個別指導
ー生徒一人ひとりの進路希望にどのように対応されていますか?
南先生:本校では、「バラバラでいい。バラバラだからこそ支援する」という姿勢を大切にしています。
卒業後のキャリアが多様化する現代においては、一人ひとりがその都度、必要なことを学び続ける力がますます重要になっています。
同じ教室にいながら、生徒それぞれが違う目標に向かってバラバラなことに取り組んでいる―そのような姿こそ、これからの社会にふさわしい自然な学びのかたちであり、私たちはそういう教室を目指しています。
大学入試も、総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜など、多様な形式が存在しています。
本校では、どの入試形式にも対応できる学力を育成するとともに、少人数制の利点を活かして、生徒一人ひとりとの対話を丁寧に行っています。
その中で、生徒の興味や価値観、経験に寄り添いながら、最適な進路選択をサポートしています。
たとえ難しい進路希望であっても、「無理だから諦めなさい」とは言いません。
生徒の挑戦したいという気持ちを尊重し、総合型や推薦型選抜での可能性を一緒に検討したり、模試などの客観的データをもとに「挑戦校」「現実校」「安全校」のバランスを考えたりしながら、納得のいく目標設定と学習支援を行っています。
将来の夢や研究テーマが明確な生徒には、それに合った進学先を一緒に探します。
一方で、「なんとなく」志望校を選んでいる生徒には、「大学で何を学びたい?」「将来どんなことに関わりたい?」という問いかけを通して、自己理解を深め、自分らしい進路を描けるような指導を目指しています。
モチベーション維持のための工夫
ー生徒のモチベーション維持のために特に意識していることはありますか?
南先生:生徒の「学びたい」という気持ちをいかに高め、持続させるかということです。
生徒が前向きに学びに向かえる状態をつくることが、結果として「学び続ける力」を育てることにつながると考えています。
そのためにまず大切にしているのが、一人ひとりの状況や目標に応じた「個別最適な学び」です。
すべての生徒に同じ指導をするのではなく、それぞれの理解度や関心に合った支援を行い、「自分の成長」を実感できるよう工夫しています。
定期試験や模試も、順位や偏差値を競うためのものではなく、「自分はどこまでできるようになったか」を確認し、さらに前に進むための機会と位置づけています。
また、目標設定・計画・実行・振り返りという学びのサイクルを繰り返すことで、達成感と自己効力感を積み重ねていきます。
自分で立てた目標に向かって努力し、それを達成できたという実感は、何よりも強いモチベーションの源になります。
さらに、少人数制だからこそできる日常的な対話も、モチベーション維持の大きな支えです。
小さな頑張りや努力のプロセスにも目を向け、本人の存在や可能性を肯定的に伝えることで、「もっと頑張りたい」「次は、こうしてみよう」と思える関係性を築いていきたいです。
成績について話すときも、それはあくまで学習の一側面であり、人としての価値や未来の可能性とは無関係であることを丁寧に伝えています。
たとえ結果がどうであれ、「自分には成長できる力がある」と信じながら、得意な分野を伸ばしたり、社会で生きるための多様なスキルを身につけたりすることで、誰もが自分らしく活躍できる未来があると考えています。
そうした長期的な視点を持ち、どの生徒も自信を持って学びに取り組めるよう、全力で支援していきたいです。
のびのびとした校風と密な連携
ー学校の雰囲気についてお聞かせください。
南先生:本校は、生徒たちが非常にのびのびと自分を表現できる、自由度の高い校風が特徴です。
教職員と生徒の距離が近く、職員室に気軽に立ち寄ったり、廊下や教室で楽しそうに話したりする姿が日常的に見られます。
生徒同士の交流も活発で、明るい雰囲気に満ちています。
保護者の方々との連携も密に行っており、年3〜4回の保護者会で、学校の教育方針や取り組みについて積極的に情報発信しています。
特に特徴的なのが三者面談のスタイルです。面談ではまず、生徒自身がこれまでの取り組みや今後の展望についてプレゼンテーションを行い、その内容をもとに生徒・保護者・教員で対話を深めていきます。
そして最後には、生徒が「行動宣言」として今後の目標を自ら言語化します。面談は一方通行の指導ではなく、生徒自身が主体的に参加する場として設計されており、その後の学びや成長につながることを大切にしています。
100年人生時代を見据えた展望
ー今後どのような学校にしていきたいとお考えですか?
南先生:これからの時代、本校が目指すのは、生徒たちが「学ぶことの楽しさ」を実感しながら、自らの成長を感じられる学校です。
私たちが特に大切にしているのは、生徒自身が「自分はこの学校で成長できている」と確かな手ごたえを持てること。その実感こそが、次の学びへの意欲や、自分の未来を切り拓く力につながると考えています。
「100年人生」と言われる今日、キャリアは一つの道を歩み続けるものではなく、時代や人生の節目に応じて、何度も形を変えていくことが求められています。
だからこそ、どのような立場や状況に置かれても、学びを止めず、自分らしい生き方ができる人を育てたいと考えています。
在学中から、「大学でこんな学びがしたい」「社会に出てもこの分野を深めていきたい」と、自分の興味や学びを言葉にできる生徒。そんな生徒を一人でも多く育てていきたい。
そして、生涯にわたって学び続けながら、自己実現に向かって前進していける力を備えた人へと成長してほしいと願っています。
そのためには、教員自身もまた、学び続ける姿勢を大切にし、生徒と共に成長していける学校でありたいと考えています。
入学検討者へのメッセージ
ー最後に、入学を検討されている方へメッセージをお願いできますか?
南先生:鹿児島修学館中学校・高等学校は、生徒一人ひとりの「バラバラ」を大切にし、その違いに寄り添いながら支援していく学校です。
将来の夢がはっきりしている生徒も、これから自分の道を探していく生徒も、どちらも歓迎です。大切なのは、「やってみたい」という気持ちを持ち、自分のペースで挑戦し、自分らしい生き方を見つけていくこと。
そのための環境とサポート体制が、本校には整っています。
中学から入学する生徒は、中1から高1までの4年間で、国際バカロレアMYPによる探究的な学びを経験し、「自ら考え、学び続ける力」を育てていきます。
個性を尊重する学びに興味がある方には、きっと大きな学びと成長の場となるはずです。
また、高校から入学される方にとっても、本校は大きな可能性の広がる場所です。
進路や目標が多様化するなかで、自分自身の関心や価値観に基づいた進路選択ができるよう、少人数制を活かした丁寧な進路指導を行っています。
探究学習やキャリア教育を通じて、「自分はどんな未来を描きたいのか」を見つめ直すことができる機会も豊富に用意しています。
中学からでも、高校からでも、本校での学びは、きっとあなたの未来につながるはずです。
ぜひ鹿児島修学館で、共に学び、あなた自身の可能性を広げていきましょう。