仏教精神と探究学習で育む「正解のない社会」を生き抜く力 – 武蔵野大学中学校・高等学校が実践する人格育成

創立100周年を迎えた武蔵野大学中学校・高等学校は、仏教精神に基づいた人格形成を重視する学校です。

共学化を機に導入した探究学習や、コースの半数以上の生徒が参加する1年間の海外留学プログラムなど、「正解のない社会」で活躍できる人材育成に力を注いでいます。

今回は、入試広報部部長の小幡さんに、同校の教育方針や特色ある取り組みについてお話を伺いました。

100年の歴史と仏教精神に基づく教育理念

ー学校の教育理念や沿革について教えてください。

小幡:本校は女子教育の普及を目的として、1924年に築地本願寺内に創立されました。その後、現在の西東京市に移転し、2024年に創立100周年を迎えました。

2019年には男女共学化を実施し、今の中学1年生が7期生です。教育方針としては、仏教精神に基づいた人格形成を重視しており、宗教をバックボーンとした心の教育を大切にした人間育成を行っています。

宗教行事と探究学習で培う多様性への理解

ー仏教教育の具体的な取り組みについて教えてください。

小幡:年間を通じて様々な宗教儀式を実施しています。例えば、入学式はお釈迦様の誕生日である灌仏会と合わせて行い、お彼岸なども年間行事に含まれています。

授業時間数の関係もあるため、中学1年生から高校3年生までの6年間で、どの行事にも必ず1回は参加するよう調整しています。

また、中学1年生から高校3年生まで、週1時間「宗教」という授業を設置しています。仏教だけでなく世界各国の宗教にも触れることで、物事の考え方の違いや多様性について学んでいます。

これは今でこそアクティブラーニングと呼ばれますが、答えのない問題について皆で議論し合うという学習スタイルを、本校では昔から実践してきました。

PBLと言語活動による独自の学習プログラム

ー他の学校にはない特徴的なカリキュラムについて教えてください。

小幡:共学化を境に、中学1年生から探究系の学びを本格的に導入しました。具体的には、PBL(プロジェクトベースラーニング)と言語活動という2つの授業を、中学1年生から3年生まで毎週実施しています。

言語活動の授業では、様々な教科学習の根底にあるアカデミックスキルを身につけます。例えば、意見を出し合う方法や発表の型など、学校独自のテキストを作成して段階的に指導しています。

これらのスキルは、これから「正解のない社会」で生きていく上で必要な基礎力だと考えています。

失敗を歓迎する教育環境と指導方針

ー生徒指導において特に意識されていることを教えてください。

小幡:特に共学化以降、社会で自分なりの答えを見極める力の育成を重視しています。中高6年間で様々なことに挑戦し、むしろ失敗を歓迎する雰囲気を作っています。

失敗から多くを学び取り、将来社会に出た時に必要なスキルを学校という安全な場でどんどん試してもらいたいと考えています。

英語力だけでない真のグローバル教育

ーグローバル教育や英語教育の取り組みについて教えてください。

小幡:中学校では英語の授業時間を手厚く設定しています。英語入試で入学する生徒も増えているため、レベル別の取り出し授業も実施しています。

ただし、私たちはグローバル教育=英語教育とは考えていません。その背景にあるマインドの形成こそが重要で、それをPBLや言語活動を通じて育成しています。

高校では3つのコースがあり、特にPBLインターナショナルコースでは、約55%の生徒が1年間の留学を経験しています。

留学先も多様で、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドをはじめ、イタリア、ブラジル、台湾、オーストリア、フィンランドなど様々な国に送り出しています。

30年以上の実績で350名以上が留学を経験し、休学せずに留学できる制度を整備しています。

メタ認知能力向上への新たな取り組み

ー今後、より強化していきたい教育内容について教えてください。

小幡:大学入試においても年内入試が約半分を占めるようになり、学力だけでなく「見えない力」が重視されています。本校では探究的な学びと基礎学力の両輪を回すことを重視していますが、最近特に重要だと感じているのがメタ認知能力です。

今年度から、自分を俯瞰して見るためのトレーニングとして、学校独自のスケジュール管理帳を導入しました。目標設定、実践、振り返りのサイクルを毎週行い、教員とのキャッチボールを通じて自己管理能力を育成しています。

また、コミュニケーション能力などの数値化が困難な能力について、Ai GROWという評価システムを導入し、自分の特性を客観的に把握し、さらなる成果につなげる仕組みも取り入れています。

自然豊かな環境で伸び伸びと学べる学校

ー最後に、この記事をご覧の方へのメッセージをお願いします。

小幡:本校は西東京市という自然あふれた環境にあり、東京ドーム2つ半の広大なキャンパスで、大学と同じ敷地内で学ぶことができます。都内の私立学校では珍しい恵まれた環境で、失敗を恐れずに様々なことに挑戦できる場を提供しています。

ぜひ一度学校にお越しいただき、実際に本校で育った生徒たちの様子をご覧ください。お子様やご本人が「この環境で学びたい」と感じていただけることを願っています。