山口県宇部市で、独自の専門教育と充実した普通科教育を展開する宇部フロンティア大学付属香川高等学校。中四国地方唯一の保育科をはじめ、食物調理科や生活デザイン科など、専門科は3つ・普通科は3つの多彩な科・コースを擁しています。2026年度からは私立高校の無償化も実現予定であり、より多くの生徒に門戸を開いていきます。キャリア教育文部科学大臣表彰を受賞した「タオルダンスプロジェクト」など、ユニークな教育活動にも力を入れている同校の特色ある教育についてお話を伺いました。

多彩な専門科を備えた特色ある学校づくり
ー他校にはない特色やアピールポイントを教えてください。
清水先生:本校は普通科と専門科を備えており、特に専門科では県内でも珍しい特色のある学科を展開しています。保育科については中四国地方でも本校のみの設置となっており、全国でも数少ない貴重な学科です。また、食物調理科では卒業時に調理師資格を取得できる本格的なカリキュラムを提供しています。
生活デザイン科は、ファッション系の学びを提供する学科で、これも県内では数少ない特色ある学科です。2年次からファッションデザインコースとコンピュータデザインコースに分かれ、前者では実際の服飾製作を、後者ではパソコンを使用したデザイン制作を学びます。生徒たちは全国レベルのファッションコンテストで入賞するなど、高い実績を上げています。また、色彩検定1級に同じ年に複数名が合格するなど、専門的な資格取得にも力を入れています。
普通科では、総合的な探究の時間を活用した特色ある取り組みを行っています。例えば、2020年度から2022年度にかけて「香川高校タオルダンスプロジェクト」を実施。生徒たちが企画からタオルのデザイン、振付、音楽制作まで全てを手がけ、クラウドファンディングで100万円以上を集めて動画やオリジナルタオルを制作しました。
この取り組みは宇部市長からも高い評価を受け、本校を訪問されて一緒にタオルダンスを踊ってくださいました。また、2022年度キャリア教育文部科学大臣表彰も受賞しています。
県内推薦枠を活用した効果的な進路指導
ー受験指導への取り組み方について教えてください。
清水先生:本校では、山口県内の国公立大学の推薦枠を効果的に活用した進路指導を行っています。県内の大学は一般入試では県外からの受験生が多く、競争が激しい状況です。そこで、県内推薦枠を活用することで、生徒の進学実績を着実に伸ばしています。
特に下関市立大学への推薦入試では、小論文指導に力を入れており、3ヶ月程度の集中的な指導で大きな成長を実現しています。その結果、近年は推薦入試での合格率が100%に近い実績を残しています。一般入試では難しい大学進学も、推薦入試を通じて実現できているケースが多くあります。
グローバルな視野を育む国際交流活動
ー特色ある教育活動について教えてください。
清水先生:修学旅行では海外研修を実施しており、これまでハワイへの研修旅行を行ってきました。また、選抜メンバーによる海外研修も実施しており、最近では費用面も考慮してカンボジアでのスタディツアーを実施しました。
カンボジアでは、アンコールワットの見学や現地の学校との交流、歴史学習など、多様な学びの機会を提供しています。約10名の生徒が参加し、教員3名が引率する形で、充実した国際交流プログラムを展開しました。
未来を見据えた人材育成
ー生徒にどのような力を身につけてほしいとお考えですか?
清水先生:学力向上はもちろん重要ですが、それだけでは社会で通用しない時代です。特に重視しているのが、異なる世代や価値観を持つ人々とのコミュニケーション能力です。大学進学後や社会に出てからも、同僚や上司など様々な立場の人々と良好な関係を築けるよう、在学中からそのための素地を養っています。
本校の特徴として、普通科と専門科が共存する環境を活かし、日常的に異なる興味や目標を持つ生徒同士が交流できる機会を設けています。また、国際交流活動などを通じて、異文化や多様な価値観に触れる経験も提供しています。
現代のSNS環境では、AIのアルゴリズムにより自分と似た考えの人々とばかり交流する傾向がありますが、それでは社会で必要とされる柔軟性や適応力は育ちません。本校では意図的に様々な考えを持つ人々と接する機会を設け、時には自分と異なる意見を持つ人々との建設的な対話も経験できるよう工夫しています。
デジタル化による効率的な情報共有
ー保護者との連携や工夫されている点を教えてください。
清水先生::生徒向けの連絡には「Googleクラスルーム」、保護者向けには連絡システム「BLEND」を活用しています
。
電話連絡では双方の都合が合わないケースも多いため、デジタルツールを活用することで、よりスムーズな情報共有を実現しています。
私学の強みを活かした今後の展望
ー時代の変化に対応した取り組みと今後の展望について教えてください。
清水先生:私立学校の無償化(予定)に伴い、教育の選択肢が広がっています。特に山口県では公立志向が強い傾向にありましたが、無償化(予定)により私立学校を選択する生徒が増加しています。本校の入試は公立高校より2ヶ月ほど早い時期に実施されますが、この期間を活用して入学前教育を実施し、高校生活へのスムーズな移行を支援しています。
具体的には、合格後からGoogleクラスルームを活用した課題の提供や、事前オリエンテーションを実施しています。これにより、入学後の学習にもスムーズに取り組めるよう工夫しています。また、推薦入試での入学者に対しては、より充実した事前指導を提供できる利点もあります。
受験生・保護者の皆様へのメッセージ
ー記事を読んでいる保護者の方や学生様に向けたメッセージをお願いします。
清水先生:本校の特徴は、普通科と専門科が共存する環境で、様々な興味・関心を持つ生徒たちが交流できる点です。文化祭や部活動、新たに始めたスポーツフェスやダンスフェスなどを通じて、生徒同士の交流を深めています。
また、インスタグラムなどのSNSを活用し、学校の日常的な活動も積極的に発信しています。専門科については県内でも選択肢が限られているため、遠方から寮生活をしながら通学している生徒もいます。興味のある分野を深く学べる環境として、ぜひ本校の教育活動をご検討いただければと思います。