大阪市鶴見区で活動する鶴見侑成館空手道場は、単なる空手技術の習得にとどまらず、空手・レクリエーション・スポーツの3つの要素を組み合わせた独自の指導を行っています。
「努力が必ず結果と結びつくことを子どもたちが感じ取れる指導」を理念に掲げる同道場の指導方針や今後の展望について、川村さんにお話を伺いました。
地域に根ざした空手道場の活動内容

ー道場の概要について教えてください。
川村:大阪市鶴見区を中心に、小学校やスポーツセンター、区民センターで週3回(月・水・木)の午後6時半から8時まで空手の指導を行っています。
対象は3歳から大人までですが、大半が小学生のお子さんです。年齢制限は設けていないので、大学生になってからも続けることができます。
道場の設立は2011年です。元々東大阪市にある師匠の道場に30年以上前から通っており、のれん分けをする形で鶴見区で設立しました。
「KRS」の理念に基づく独自の指導アプローチ
ー他の空手道場にはない特徴や、一番のアピールポイントを教えてください。
川村:鶴見侑成館は別名「KRSスポーツ少年団」という名前を持っています。Kが空手、Rがレクリエーション、Sがスポーツで、この3つの要素を備えた団体を目的に作りました。
日頃の練習や大会に加え、レクリエーションとして兵庫県の旧国鉄廃線跡地を歩くハイキングを実施したり、キンボールやモルックといったニュースポーツを取り入れて、子どもたちに空手以外のスポーツとの出会いの場を設けています。
こうした活動では、子どもたち自身でキャプテンを決めるなどして、リーダーシップやチームワーク、協調性、創造力を養えるよう保護者の協力のもと実施しています。
努力と結果を結びつける指導理念
ー生徒に指導する際に、特に意識していることや方針などを教えてください。
川村:理念の中で最も大事にしているのが「努力が必ず結果と結びつくことを子どもたちが感じ取れるような指導をする」ということです。
試合の結果や成果は、その前のプロセスの努力と必ずつながっているということを、子どもたちが感じ取れるような声かけや活動を継続しています。
大会当日の結果だけを称賛するのではなく、あくまでそれは結果であって、称賛も反省もその前の練習の中にあるということを、子どもたちに常々伝えています。
子どもたちには、負けた時は「負けた相手よりも練習が足りなかっただけ」と伝え、勝った時は「勝った相手よりも練習ができていた」という表現で説明しています。
また、保護者の方にも、試合の結果については触れず、必ず練習のことで褒めたり反省したりしてくださいとお願いしています。
大会は今までやってきた成果を測る場でしかないので、その日が大事なのではなく、それまでが大事だということを親子共に伝えています。
手頃な会費設定で継続を手助け
ーレッスンのコースやプランについて教えてください。
川村:週3回のコースは会費5,000円、週1回コースは3,000円で実施しています。
大会参加費は運営側への支払い分を参加者に負担してもらい、レクリエーションでは必要経費のみをもらって実施しています。
変わらぬ指導方針で子どもたちの成長をサポート

ー今後より強化していきたい部分や、取り組んでいきたいことがあれば教えてください。
川村:コロナの影響で減ってしまったレクリエーションを復活させ、KRS(空手・レクリエーション・スポーツ)の3つを子どもたちが体験できるよう継続していくことが目標です。
また、当道場は空手の成績向上を目的とした道場とは考え方が違います。その子にとって価値のある大会や練習の成果が出れば、それが優勝であろうと初戦敗退であろうと価値は測れません。
子どもの目が輝く瞬間を見逃さずに褒めることが、私の指導方針の根本にあります。
子ども・親・先生が共に成長する道場を目指して
ー最後に、この記事をご覧になる方に向けたメッセージをお願いします。
川村:空手は子どもたちに大切なことを伝える道具でしかないと考えています。空手を通じて、人生において大事なことを伝えていきたいと思っています。
習っている子も親も先生も、同時に成長していこうということを常々言っています。子どもを見守りながら大人も一緒に成長していく、そういった時間や空間だと思いながら運営しています。
当道場では体験を無料・制限なしで何か月でも受けることができます。体験の際は、保護者の方にも付き添っていただきます。その際、親が習わせたいからではなく、子どもが納得してから習わせてくださいとお伝えしています。
最も大切なのは、子どもがやりたいという気持ちを持っているかを確認することです。やりたい気持ちがどこで生まれたかを大事にして、その上で親子と先生が共に成長していくという考え方で指導しています。