NPO法人まちのカルシウム工房は、地域の活力を取り戻すことを目的に1999年に設立されました。商店街の衰退を防ぎ、住民が主体となって地域づくりに関わることで、持続可能なまちの発展を目指しています。フリーマーケットの運営、海岸清掃活動、地域イベントの企画運営など、多岐にわたる活動を展開し、地域住民が交流し協力し合う機会を創出しています。本記事では、代表の竹内氏に、団体設立の背景、活動の特徴、そして今後の展望について詳しくお話を伺いました。
活動の概要について教えてください
我々の「まちのカルシウム工房」は、地域を元気にしたいという思いからスタートしました。商店街の衰退を防ぎ、地域住民と共に活性化を図るための活動を行っています。まち全体を一つの生き物として捉え、その衰退を“骨粗しょう症”のような状態と考えました。つまり、外見は変わらなくても内側が空洞化してしまっているのです。
この課題に対処するために、カルシウム=地域住民の活動、運動=地域内のつながりと捉え、地域の人々が積極的にまちに関与し、動き続けることが大切だと考えました。1999年11月に設立し、今年で26年目を迎えます。商店街の活性化を皮切りに、フリーマーケットの運営、清掃活動、地域のイベントなど、多岐にわたる取り組みを行ってきました。
現在では、そうした活動を支援する事務局としての役割が中心となり、地域に根ざした継続的な活動を展開しています。
立ち上げたきっかけを教えてください。
もともと私は土木関係の企業に勤めており、地域問題のコンサルティングを行う立場にいました。しかし、2000年代に入り、地域の主役が住民へと移行する時代が来ることを実感し、脱サラしてこの活動を始めました。
立ち上げ当初は資金も信頼もない状態でした。特に若い世代が中心となって活動を進めると、社会からの信用を得るのが難しかったんです。しかし、地道に活動を続けることで次第に支援が集まり、企業や行政との連携も生まれました。お金はなくとも、物資の提供などさまざまな形で支援を受けられるようになり、現在の活動基盤を築くことができました。
まちのカルシウム工房の強みについて教えてください。
私たちの最大の強みは、何よりも「継続する力」です。地域の活性化において、多くの取り組みが一時的なプロジェクトに終わってしまうことが少なくありません。しかし、私たちは20年以上にわたって、地域に根ざした活動を継続的に展開してきました。例えば、フリーマーケットの運営は18年、海岸清掃活動は25年という長い歴史を持っています。
また、私たちは単にイベントを開催するだけでなく、それぞれの活動を持続可能な形にする工夫を重ねています。たとえば、フリーマーケットでは地域の出店者がリピート参加しやすい仕組みを構築し、海岸清掃では企業や行政と連携しながら継続的な支援を得る体制を整えました。
もう一つの大きな強みは、私たちの活動が「誰でも参加しやすい」ことです。地域活動には関心があっても、最初の一歩を踏み出しにくいと感じる人も多いでしょう。そこで私たちは、イベントごとに参加しやすい枠組みを用意し、短時間のボランティアから深く関わるメンバーシップまで、多様な関わり方を提供しています。
また、活動の透明性を重視し、どのような支援がどのように活かされているのかを明確にすることで、企業や行政、住民の方々が安心して関われる環境を整えています。地域のために何かしたいという思いを持った人々が、気軽に一歩を踏み出せる場所としての役割を果たしていることが、私たちの組織の大きな強みです。
こうした長期的な視点と開かれた姿勢が、多くの人々や団体とのつながりを生み出し、地域の発展につながると信じています。
現在行っている具体的な活動について教えてください。
私たちは地域の持続的な発展を支えるため、さまざまな活動を展開しています。主な取り組みは次のようなものです。
フリーマーケットの運営:毎年5〜6回開催し、1回あたり4,000〜8,000人が参加。
海岸清掃活動:25年間継続し、毎月1回実施。多いときは600人、少ないときでも50〜60人が参加。
地域活性化イベントの企画・運営:地元企業や行政と連携し、地域の賑わい創出。
こうした活動は、地域住民や企業、行政が一体となって進めています。私たちは、あくまでサポート役として、それぞれの活動を支えていくことに注力しています。
今後の展望について教えてください。
これからは「地域メンテナンス」という視点を強化していきたいと考えています。これまで行政が担っていた役割の一部が民間に移行する中で、地域の人々が自分たちでまちを維持・管理していく必要があります。
また、海外からの移住者の増加も視野に入れ、彼らを地域の担い手として迎え入れる体制を整えたいと考えています。経済的な側面だけでなく、生活支援の分野にも活動の幅を広げることで、より多様な人々が関われる地域づくりを進めていきます。
この記事を読んだ方へメッセージをお願いします。
私たちの活動には、企業の方々や行政の方々も参加しています。それは、「何かしたいけれど、どこから始めればいいかわからない」という方が多いからです。私たちは、そうした方々に場を提供し、地域づくりに参加できる機会をつくっています。
「かっこいい大人が少ない」と言われる時代ですが、私たちは「かっこいい大人」の集団であり続けたいと思っています。そして、次世代の子どもたちに「こんな大人になりたい」と思ってもらえるような大人の背中を見せていきたい。
私たちの活動は、誰でも参加できます。ぜひ、一緒にまちを元気にする活動に加わっていただければ嬉しいです。