遊びを通じて自分自身を育てる学びー自然の中で自主性を育む場「NPO法人てんぱくプレーパーク会」

名古屋市の都市公園「天白公園」で活動する「NPO法人てんぱくプレーパークの会」は、子どもたちの自由な遊び場を提供する団体。

四季を通して自由な発想から生まれた遊びや「やってみたい」好奇心を応援する、プログラムがない遊ぶことそのものを目的とした活動について、鹿島真美さんにお話を伺いました。

地域住民の活動から生まれた自然豊かな遊び場

ーてんぱくプレーパークとはどのような場所ですか?

鹿島さん:てんぱくプレーパークの始まりは1982年にさかのぼります。

当時、名古屋市が野球場やテニスコートといった平面的な公園整備計画を予定地移住者や地主に提示したことをきっかけに、地域の子どもセンター運営委員会や、地域住民を中心に「天白公園を考える会」を結成しました。

市民団体は学習会や自然観察会を開催し、野外祭では野草を料理したり、IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会日本支部)の一行が天白公園を訪問したことも追い風となり、自然を活かした遊び場としての公園づくりを提言。

この活動が現在の「てんぱくプレーパーク(冒険遊び場)」の礎となりました。

遊びを通じた子どもの育ちをサポート

鹿島さん:私たちがてんぱくプレーパークで展開している事業は主に3つあります。

1つ目は「子育ち・子育て環境づくり事業」です。

親子が自由に過ごし、お昼ご飯を一緒に作って囲むなど、子どもはのびのびと遊び、その親たちも日常のおしゃべりをして自由に時間を過ごせる場を提供しています。

2つ目は「子どもの社会参画事業」として、子どもたちが企画の段階から運営、当日の準備まで中心となって進める活動です。

夏祭りや運動会などの企画を子どもミーティングで話し合いをし、子どもたち自身が作り上げていきます。(名物化しているリレーは、幼児からアラフィフまでの多年齢が入り混じり、チーム分けや順番も子どもたちの知恵の見せどころになっていま
す。)

3つ目は「晴れた日には学校を休んでの会」という名称で、学校や教育について考えたい人々が集う場を設けています。

同じような環境を持つ仲間と遊び、語り合い、お昼ご飯を囲みながら子どもたちは安心した空間で自由に過ごしています。

季節と共に変化する子どもたちの遊び

ーてんぱくプレーパークで子どもたちはどのような遊びをされていますか?

鹿島さん:プレーパークでは、四季折々の自然を活かした遊びを楽しんでいます。

春には桑の実を収穫、草花なので色水を絵の具のように使ったり、温かい日は半袖で遊んでいます。

夏は水遊びが人気で、水道のホースで水の掛け合いを楽しんだり、人工池でザリガニ釣りをしたりします。

秋にはどんぐりを拾って見立てごっこやままごとの材料に。

冬には落ち葉を集めて「落ち葉プール」を作り、その中で遊んだり上からダイビングしたり、たき火でマシュマロやお芋を焼いたりしています。

一年を通して地面に穴を掘る、ノコギリや釘で好きなものを作る、泥で遊ぶ、火をおこして料理をするなど、子どもたちの創造力を活かした遊びが広がっています。

子どもたちの成長に寄り添う支援

ーてんぱくプレーパークの強みについて教えてください。

鹿島さん:初めて遊びに来る子どもたちの中には、自由な空間に来ても自分が何をしたいのか、何をして遊びたいのかが分からず、迷っている様子が見られることがあります。

私たちは、自由に遊べる空間プラス、子どもたちが遊びを自分で考えたり、自分でできる余地を残す隙間(余白)を大切にしています。

あくまで提案ベースで伝え、子どもたちは「やってみたい」好奇心から継続的に遊ぶ中で、自分で選択し、決断する力が育っていきます。

私たちは子どもとの関わりにおいて、「子どもの目線に立つ」ことを大切にしています。

子どもが見ている景色に寄り添い、困ったときは一緒に考え、その子自身の力を信じることを心がけています。

否定的な言葉や命令調は使わず、子ども自身が解決していけるように支援しています。

地域に根ざした新たな挑戦

ー今後、新たに取り組んでいきたいことはありますか?

鹿島さん:今春からは地域の児童館運営にも携わることになり、活動の幅が広がります。

外遊びだけでなく、屋内の活動を必要とする子どもたちにも寄り添えるようになります

現代社会における子どもたちの多様性に対応しながら、より広い地域での子どもの健全育成を目指しています。

子ども一人一人が権利主体であることが保障される社会を目指して、関わる地域の大人たちと共に考え、挑戦していきたいと考えています。

ー 最後に、プレイパークに興味を持たれた方へメッセージをお願いします。

鹿島さん:てんぱくプレーパークは、年齢に関係なく、誰でも無料で遊べる、自分の責任で自由に遊ぶ場です。

子どもだけでなく、大人もぜひ遊んでください。

大人たちが遊び心をもって楽しんでいる遊ぶ姿をみると、子どもたちも嬉しそうな表情で思いっきり遊びます。

大袈裟ですが、自分の人生楽しんでいる姿を子どもたちに見せていることではないかと私は思っています。

プレーパークの運営にも関わっていただき、自分の得意を活かした場づくりを一緒に楽しんで欲しいなと思います。

子どもたちから学び、共に成長できる場に、皆様のご参加をお待ちしています。