TENOHASIは、東京都豊島区で生活困窮者を支援するNPO法人です。炊き出しや医療支援、住居支援など、ホームレス状態からの脱却をサポートする活動を行っています。本記事では、TENOHASIの理念や取り組み、今後の展望について深掘りし、支援の必要性を伝えます。
活動の概要について教えてください。
TENOHASIは、東京都豊島区を拠点に、生活に困窮されている方々を対象に支援活動を行うNPO法人です。主に、路上生活者が生活を立て直せるように、食事の提供や医療支援、生活相談などのサポートを行っています。
現在、毎月第2・第4土曜日には東池袋中央公園で炊き出しを実施し、一回の炊き出しで約500~600人の方々にお弁当を配布しています。また、生活相談ブースを設け、医療・福祉に関する支援や生活保護申請の同行支援も行っています。
炊き出しには、ホームレス状態の方々だけでなく、一時的に生活が苦しくなった方々も訪れます。TENOHASIは、誰もが安心して支援を受けられる場を提供し、路上生活から脱却し、自立できるようサポートすることを使命としています。
立ち上げたきっかけについて教えてください。
TENOHASIの設立は20年以上前に遡ります。私自身は立ち上げメンバーではありませんが、もともと池袋周辺で学生生活を送っていた経験から、ホームレスの方々の存在を身近に感じていました。
学生時代、池袋のガードレール沿いには段ボールハウスが並び、多くの方がそこで生活をしていました。しかし、卒業後に再び池袋に戻った際、それらの姿が消えていたのです。その時初めて、「彼らはどこに行ったのか?」と疑問を抱き、ホームレス支援に関心を持ちました。
インターネットで「池袋」「ホームレス」「ボランティア」などのキーワードを検索し、たどり着いたのがTENOHASIでした。ここで活動する中で、路上生活者の方々が抱える課題や困難を深く理解し、支援の重要性を実感するようになったのです。
特徴・強みについて教えてください。
TENOHASIの最大の特徴は、炊き出しを通じて一度に多くの方々にリーチできることです。毎回500~600人が訪れる場でありながら、単なる食事の提供にとどまらず、支援が必要な方と繋がる重要な機会にもなっています。
また、炊き出しの場は「困っている人だけが訪れる場所」ではありません。例えば、昼食を浮かせるためにお弁当を受け取りに来る方もいれば、社会との繋がりを求めて訪れる方もいます。そのため、支援の対象を限定せず、誰もが気軽に足を運べるよう配慮しているのも特徴の一つです。
さらに、生活相談ブースでは、個別に悩みを伺い、生活保護の申請支援や医療機関との連携を進めています。単なる炊き出しではなく、より包括的な支援へと繋げることがTENOHASIの強みと言えます。
活動・指導方針について教えてください。
TENOHASIでは、支援を行う際に「裏方に徹する」ことを大切にしています。炊き出しや相談支援の場において、支援者が目立つと、本当に助けを求めている人が相談しづらくなってしまうからです。そのため、支援活動はあくまで利用者主体であり、支援者は必要なサポートをすることに徹しています。
また、プライバシーの保護にも細心の注意を払っています。例えば、長年顔見知りの利用者であっても、名前で呼ぶことは避けたり、公の場では個人情報に関する話をしないよう配慮しています。加えて、生活相談ブースは周囲の目を気にせず相談できるよう、炊き出し会場から少し離れた場所に設置しています。
支援方針としては、「池袋の公園に行けば、いつでもTENOHASIに相談できる」という安心感を提供することが基本にあります。時代とともに困窮者の課題は変化しており、例えばスマホの契約に関する悩みや、ネットカフェ生活の問題など、新たな課題にも柔軟に対応できる支援を心がけています。
今後の展望をお聞かせください。
今後の展望としては、主に二つの課題に取り組んでいきたいと考えています。
一つは、アウトリーチ活動の強化です。現在の炊き出しでは、多くの方々と接することができますが、実際に支援に繋げられるのは一部の方のみです。特に、ネットカフェ生活を続けている若年層の困窮者など、炊き出しの場に来ない方々へのアプローチを模索しています。
もう一つは、アパート入居支援の充実です。路上生活を脱し、生活保護を受給しても、多くの方は一時的に無料定額宿泊所に入る必要があります。しかし、そこでの共同生活に馴染めず、途中でドロップアウトしてしまう方が少なくありません。
そこで、TENOHASIでは「個室型シェルター」を運営し、短期間の滞在を経て、スムーズにアパート入居へ移行できる仕組みを作っています。しかし、現在の課題として、生活保護受給者のアパート入居を受け入れる不動産業者が少なく、住居探しのハードルが高い状況です。この部分を支援する新たな仕組みを作ることが、今後の目標の一つです。
メッセージ
TENOHASIの活動に興味を持ってくださった皆さんへ。
もし、生活に困っている方がいれば、まずは炊き出しにお越しください。ここには、食事だけでなく、生活相談や医療支援など、さまざまな支援の機会があります。
また、支援活動に関心がある方は、ぜひボランティアとして参加してください。都内では路上生活者の姿が見えにくくなっていますが、それは支援が不要になったわけではなく、むしろ見えない場所で困窮している方が増えているという現実があります。ぜひ、一緒に手を差し伸べる活動に参加してみませんか?
TENOHASIの炊き出しは、単なる食事提供の場ではなく、人と人が繋がる場でもあります。多くの方のご支援、ご協力をお待ちしています。