名古屋港近くで活動する「楽笑想会」は、書道を通じて住民の生きがいを提供するだけでなく、地域活性化にも貢献している注目の教室。
今回は代表の森真由美さんに、教室の活動や今後のビジョンについてお話を伺いました。
住民と観光客をつなぐ書道教室

写真撮影|西村 隆登
画像提供|港まちづくり協議会
ー どういった方を対象にどのような活動をされていますか?
森さん:基本的に地元の方、特に地元の中高年を対象に書道教室を開講しています。
教室は名古屋港の観光地にありますので、観光客の方を体験という形で受け入れたいと思っています。
この地域は外国人の方を招き入れる土壌もあり、精神的な大らかさがあります。
積極的に海外の方も含めて地域外の方に来ていただき、港まちの住民との交流を深めながら、町づくりに寄与していきたいと考えています。
高齢化する地域に活気を取り戻すためのきっかけづくり
ー ご自身がこの教室を始められたきっかけや背景についてお聞かせください。
森さん:根底にあるのはまちづくりです。
この地域の若い方は、地域の中に留まるのではなく、外に出てしまいます。
もちろん住民としては若い方も多いですし、小さいお子さんもたくさんいらっしゃいます。
小学校までは地元の学校に通うのですが、中学校は隣の学区ですし、高校はもっと遠くになります。
港区の中に大学はありません。
教育で私にできることは何かなと考えた時、書道しかないと考え、思い切って始めてみました。
「手ぶらde書道」で気軽に楽しめる環境づくり

ー この教室の特徴やアピールポイントについて聞かせていただけますか?
森さん:「手ぶらde書道」という看板を出しているように、何も持たずに来ていただけることです。
紙も墨汁も筆、お手本も全部用意しています。
会員の方には月に1回お手本を配りますが、忘れてしまう方もいらっしゃるので、常に予備を用意しています。
初心者の方から大きな作品を作ったことがある方まで、その方のレベルに合わせて、幅広い層を指導しています。
こちらからの一方的な指導ではなく、ご自身のペースで取り組む時間を大切にしていただきたいと思っています。
例えば、午前中に病院に行って帰ってくる途中に立ち寄ったり、お友達とランチに行った帰りに寄って、高ぶった気分を落ち着けてから家に帰ろうとか、そんな感じで精神的な落ち着きを取り戻す場所として、書道に向き合っていただけるような教室です。
一方的な指導ではないというところが特徴です。
年齢を超えた尊敬と敬意のある関係づくり

ー ご生徒さんにレッスンされる際に大切にしていることや、特に意識していることはありますか?
森さん:生徒さんは概ね私よりも年上です。
そのため、上から教授するのではなく、立場としてはフラットであることを意識しています。
もちろん生徒さんはわきまえていらっしゃるので私のことを「先生」と呼んでくださいますが、人生の面では遥かに大先輩の方がたくさんいらっしゃるので、お互いに敬意を持って、気持ちの上では対等な立場で話ができるようにしています。
生徒さんが気になったことはいつでも私に質問できるし、私も言いたいことは言えるという、そういった雰囲気づくりを一番大事にしています。
純粋に楽しむことを大切にしたコース設計
ー 実際に提供されているコースについてお伺いできますか?
森さん:コースは「一般コース」と「段級取得コース」の二つがあります。
一般コースは私が用意した手本に従って、書道の基本を習う練習をするコースです。
段級取得コースは段位や級位を取ることを目標に設定していますが、現在、そのコースの生徒さんはいません。
段位を取るというモチベーションよりも、純粋に楽しむという方が多いのではないかと感じています。
書道を通じた地域活性化への貢献

ー 今後強化したいとお考えのことや、将来的なビジョンについてお聞かせください。
森さん:最初に申し上げたように、町づくりが基本コンセプトです。
現在、生徒さんは地元の方だけでなく、地下鉄に乗って遠くから通ってきていらっしゃる方もいます。
外部の方がこの地域に入ることで地域が活性化すると思っていて、そのハブになっているのが書道なんですね。
書道は非常に息の長い趣味で、90歳になっても、手が動き、目が見える体力があれば、体力が弱い方でも続けられる趣味です。
そういった方の「生きがい」を確認しながら、地域づくりに貢献できればと思っています。
現在、地元のまちづくり協議会や、共有スペースになっている古民家サロンばぁば工房さんと、様々なイベントを合同で進めています。
書道を楽しむ環境づくりを目指して
ー 最後に、入会やレッスンを受けてみたいとお考えの方にメッセージをお願いできますでしょうか?
森さん:書道を久しぶりにやってみたいなという方は、ぜひ気軽に来てみてください。
引っ越しや転居であったり、通っていた教室の指導者が高齢になってしまったり、世相を反映した状況で辞めてしまったという方がいらっしゃるようです。
本当は書道が大好きなのに、続けられなくなってしまった方が、もう一度やり直せる場にしたいと思っています。
実際に遠方から通っていらっしゃる方もいて、教室では立ち見の見学者もいらっしゃいます。
書道の魅力を伝えていきたいので、本当に気軽に来てくださいというのが一番のメッセージです。
※毎年5月5日に、教室会場の古民家サロンで「ばぁば工房展」というイベントが開催されます。
古民家サロンで開催している各教室の手芸小物や着物リメイク作品を展示販売しています。楽笑想会もワークショップとして出店いたします。