楽器経験がない方でも気軽に始められる「大正琴(たいしょうごと)」。
今回は、東大阪で大正琴と和太鼓の教室を運営されている松井さんに、教室の特徴や指導のこだわりについてお話を伺いました。
生徒さんとの関係性や、音楽がもたらす楽しさについてもたっぷり語っていただきました!

ー教室の概要と、大正琴を教えるようになったきっかけについて教えてください。
松井さん:もともと和楽器屋を家業としておりまして、その関係で母が大正琴教室を始めたのがきっかけです。私はその二代目になります。母が始めてから40年以上経ちますが、長く通ってくださっている方も多くいらっしゃいます。
教室では、大正琴と和太鼓を指導しています。楽譜が数字で書かれているため、楽譜が読めない方でも気軽に始められますし、初心者の方でも5分もあればある程度弾けるようになります。子どもからご年配の方まで、幅広い年代の方が通ってくださっていますよ。
ー指導スタイルについても教えてください!
松井さん:基本は集団でのレッスンです。もちろん最初は1対1で、ピックの持ち方や楽譜の読み方をお伝えしますが、慣れてきたらアンサンブル形式で楽しんでもらいます。
ソプラノ、アルト、ベースなど音域の異なる大正琴を使って三重奏、四重奏を組んでいます。やっぱり1人でやるより、みんなで演奏する方が断然楽しいんですよ。
ー他の教室と違う、御教室ならではの魅力は何ですか?
松井さん:一番のこだわりは「生音」です。今はカラオケ音源に合わせて演奏する教室も多いですが、うちはドラムやピアノなど、できるだけ生演奏にこだわっています。私自身もドラムを叩いて生徒さんに合わせて演奏しています。
人が演奏すれば、その日の生徒さんの調子に合わせてテンポを変えたり、ゆっくり進めたりできます。でも機械は、ミスをしても容赦なく流れてしまう。それってやっぱり味気ないんですよね。
ーレッスン以外の楽しみもあるんですね!
松井さん:はい。月2回のレッスンが終わった後に、お茶を飲みながら雑談する時間もあります。そこでリフレッシュしてもらうのも、長く続いている理由の一つだと思います。
また、年に2回ほど演奏会も行っていて、5月には万博のステージにも出演しました。企画書を自分で出して、見事通ったんですよ。皆さんキラキラした衣装を着て、とても楽しんでいただけたようです。
ーコースや通い方について教えてください。
松井さん:基本的には月2回の集団レッスンで、曜日ごとに教室が分かれています。人数は4〜10名程度です。特別なコースやプランは設けていなくて、「やりたい曲をみんなで決めて弾く」というスタイルです。
資格取得を目指す方には、別途個別指導も行っていますが、基本は「いつでも誰でも気軽に来てください」という方針です。
ー指導の際に心がけていることはありますか?
松井さん:「今日も楽しかったな」と機嫌良く帰っていただくことですね。もちろん間違っている部分や、うまくいった部分はちゃんと伝えますが、最終的には気持ちよく帰っていただくのが大切だと思っています。
うちに通ってくれる方の中には、他の教室から来られた方もいらっしゃいます。カラオケ音源に合わせるだけのレッスンに違和感を感じて、「もっと自分の音で演奏したい」と思って来てくれるようです。
ー今後、強化していきたい取り組みはありますか?
松井さん:やっぱり「体験してもらうこと」が一番大事だと思っています。イベントへの出演や体験会などを積極的に行っていますが、もっと気軽に来てもらえる仕組みを増やしていきたいですね。
また、流行の曲も取り入れていかないといけないと感じています。最近では子ども向けにトトロやアンパンマンの曲も取り入れましたが、難しさもあるので工夫が必要です。
ー生徒さんの変化で印象的なエピソードはありますか?
松井さん:以前、病気で引きこもっていた方が、何か始めたいという気持ちでうちの教室に来てくださいました。これなら体力がなくてもできると始められて、今では指導資格も取得して、他の教室に教えに行くまでに。すごいですよね。
こういった「人生の転機」になるような場所を提供できるのは、本当にありがたいことだと思っています。
ー幅広い年代の方が通われているとのことですが、特に多いのは?
松井さん:40代〜80代の方が中心ですが、70〜80代の方が多いですね。40代、50代の方が少ないのが課題です。病気の回復期に始める方や、おばあちゃんの大正琴を受け継いで始める方などもいらっしゃいます。

ーこれから習い始めたい方へ、メッセージをお願いします!
松井さん:大正琴は、楽器をやったことがない方でも気軽に始められる楽器です。ランニングコストも少なく、メンテナンスも簡単。座って演奏するので体力も不要ですし、右手と左手を使うので脳の活性化にもなります。
まず、他の和楽器に比べてランニングコストがとても低いんです。たとえば三味線だと、皮が破れたときに数万円かかることもありますが、大正琴はそういった心配がありません。弦もギターと同じようなものを使っていて、めったに切れることもなく、交換頻度も少ないです。
しかも、楽器本体も新品で5~6万円程度、中古であればネットやリサイクルショップで数千円で購入できることもあります。始めるハードルがとても低いんです。
さらに、メンテナンスも特別な技術は不要で、日常的に少しホコリを払ってあげるくらいで十分です。壊れにくく、長持ちする楽器なので、長く安心して使っていただけますよ。
座ったままできるので体力も必要ありませんし、息を使わないので負担も少ない。右手で弾き、左手でボタンを押すことで脳にも良い刺激になります。気軽さと健康効果の両方を兼ね備えた、実はとても優れた楽器なんです。
ぜひ一度、触れてみてください。「面白い!」と感じてもらえたら嬉しいです。