「そのままの自分でいい」茨城県ひたちなか市で広がる居場所づくり NPO法人ただいまが描く共生社会への道

茨城県ひたちなか市で、「そのままの自分を認め合える場所」を目指し活動を続けるNPO法人ただいま。震災後の子育て支援から始まり、今では子どもから高齢者まで、幅広い世代の居場所づくりに取り組んでいます。地域に根付いた支援の形を探る彼らの挑戦をご紹介します。

サービス概要

ーNPO法人ただいま様のサービス概要を教えていただけますでしょうか?

増田さん:現在、5つの事業を展開しています。1つ目はフリースクール、2つ目は子育て支援センター、3つ目は「てらこや」という形での放課後の居場所づくり事業です。これはひたちなか市からの受託事業として運営しています。

4つ目は地域食堂で、こちらは誰でも利用できる形態となっています。この事業の前身は炊き出し支援的なものでした。5つ目のフードパントリー事業と連携し、調理が困難な方や、昨今の光熱費高騰により調理ができない方々へ、調理済みの食事を提供する形で運営しています。

設立の経緯・きっかけ

ー活動を始められたきっかけを教えていただけますでしょうか?

増田さん:東日本大震災後の2015年頃、お母さん方が相談できる場所として、まず子育て支援の居場所づくりを始めました。その後、2019年からてらこやを開始し、2021年にはフリースクール、食堂、フードパントリーを立ち上げ、2022年にNPO法人化したという経緯になります。

きっかけは震災後、放射線の問題や甲状腺がんなど、子どもの健康を心配する母親たちが情報交換できる場所が必要だという声を頂いたことです。その後、全国的に広がっていた子ども食堂の活動に着目し、私たちのお寺での事業として始めることになりました。

てらこや事業では、5・6年生を預かる中で、学校に通えない子どもたちの存在を知り、フリースクールの必要性を感じて事業を拡大。また、お寺に寄せられる野菜などの寄付品を有効活用する形で、フードパントリー事業も始まりました。

特徴・アピールポイント

ー5つの事業を展開される中で、どのような特徴やアピールポイントがありますか?

増田さん:私たちの特徴は、「誰でも受け入れる居場所づくり」にあります。特定の子どもたちを救うという目的ではなく、誰もが安心して過ごせる場所を提供することを大切にしています。

現代社会では「みんな一緒」という平等の考え方が主流で、誰もが頑張らなければならないと思いがちです。しかし、本来は個々の得意不得手を補い合えばよいのです。優劣をつけるのではなく、そのままの個性が認められ、尊重される居場所づくりを目指しています。

料金体系について

ー各事業の利用料金について教えていただけますでしょうか?

増田さん:5つの事業のうち、料金が発生するのはフリースクールのみです。フリースクールに対する行政からの補助金は現状非常に限られており、運営維持のために参加費をいただいています。その他の事業は委託事業という形態もあり、基本的に費用はかかりません。

今後のビジョン・展望

ー今後の展望についてお聞かせください。

増田さん:現在、高校生・大学生年代への支援が十分とは言えない状況です。そのため来年度からは、現在通っている小中学生たちが高校生になった時の支援も視野に入れています。自分で考え、状況を判断して活動できる力を育てることは、社会に出ていく上で重要です。

また、子どもだけでなく、年配の方々の居場所づくりにも取り組んでいきたいと考えています。人との関係性は、赤ちゃんから高齢者まで、すべての年代において非常に重要です。今後は全年齢を対象とした活動を展開していく予定です。

記事を読んでいる方へのメッセージ

ー最後に、記事を読んでいる方々へメッセージをお願いいたします。

増田さん:何かを演じたり、無理に頑張ったりしなければならない場所ではなく、ありのままの自分でいられる場所を作っていきたいと考えています。

現在、何らかの悩みを抱えている方、特に育児や教育に関して不安を感じている保護者の方々は、どうぞお気軽にご相談ください。私たちの5つの事業のいずれかが、皆様のお力になれる可能性があります。相談することで新しい視点や解決策が見つかるかもしれません。まずは気軽にお問い合わせいただければと思います。

また、このような地域に根ざした活動を継続的に行っていくためには、地域の皆様のご支援が不可欠です。私たちの活動に共感いただける個人・企業の方々からのご支援をお待ちしております。寄付という形でのサポートはもちろん、ボランティアとしての参加や、食材の提供など、様々な形での支援を歓迎いたします。