東京都世田谷区・豪徳寺にある「水島結子門下・薩摩琵琶鶴田流 豪徳寺稽古場」では、初心者から経験者までを対象に、薩摩琵琶を通して「自分自身と向き合う時間」を提供しています。
今回は、日本の伝統芸能・薩摩琵琶の魅力と共に、指導者である水島結子さんが大切にしている哲学や取り組みについてお話を伺いました。
自分と向き合うための薩摩琵琶
この教室では、週に1回、最低でも月2回の稽古を基本とし、1対1の個別指導形式で稽古が行われています。
演奏技術の習得だけでなく、自分と静かに向き合うための手段として薩摩琵琶を活用している点が特徴です。
音楽経験がない方や一般的な譜面が読めない方でも、琵琶譜を使ってどなたでも学べるよう工夫されています。
対象年齢は中学生から70代後半までと幅広く、音楽が苦手でも問題なく始められることが魅力です。
実際に在籍しているお弟子さんの多くは初心者からスタートしており、それぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な指導が行われています。
豪徳寺稽古場の背景と構成
水島さんは吉祥寺で自身の教室も構えていますが、新規募集は現在受け付けておらず、豪徳寺稽古場は主にお弟子さんによる指導で運営されています。
指導には水島さんが監修した教材・音源・教え方が用いられており、一貫性のある学びを提供しています。
初心者の方はまず豪徳寺で約1年間稽古を行い、継続の意思が確認された上で、水島さんの本教室に進むというステップ制が採用されています。
薩摩琵琶の歴史と文化
薩摩琵琶は、もともと薩摩藩の武士たちが精神鍛錬のために学んでいた芸能で、明治時代には薩摩藩の東京進出とともに東京で一大ブームを巻き起こしました。
明治天皇が演奏に感銘を受け、「薩摩琵琶」と名付けたことでも知られています。
その後大正期には、少女たちが演奏する姿が可愛らしいとされ、少女が琵琶演奏するスタイルが人気を博した時期もありました。
しかし、戦後は徐々に演奏人口が減少し、現在では全国で1000人程度の演奏者しかいなくなってしまった、貴重な伝統芸能となっています。
教室設立のきっかけと対応力
水島さんがこの教室を立ち上げた背景には、薩摩琵琶を学べる場所が極端に少なかったという現状があります。
15年前に自身で立ち上げたホームページを通じて情報発信を始め、様々なニーズに応えるため、教室の内容も拡張してきました。
現在では、平家物語や歴史への関心を持つ人、楽器製作に興味のある人など、多様な目的を持つ受講者に対応できるカリキュラムを提供しています。
また、水島さんは学習院大学や獨協大学などで講師も務めており、琵琶の歴史や文化についても深く学べる環境が整えられています。
指導方針と教室の強み
この教室では、受講者一人ひとりの性格やライフスタイルを尊重し、無理のないペースでの成長を大切にしています。一般的な評価基準にとらわれず、個々の達成を肯定するスタンスが特徴です。
さらに、楽器のレンタル制度があるため、初期投資を抑えて気軽に始めることが可能です。
水島さん自身はコーチングの経験も多く、マインドやメンタル面でのサポートも自然な形で取り入れています。
結果として、社会との関わりに困難を感じていた方が生きがいを見出し、10年以上通い続けているケースもあるとのことです。
今後の展望
水島さんは、今後インバウンド需要に対応した取り組みにも力を入れたいと考えています。
武士文化に興味を持つ外国人向けの稽古やコンテンツを充実させる計画が進んでおり、すでに海外在住の日本人とのオンライン稽古も実施されています。
居住地に関係なく日本文化に触れられる場を目指しています。
興味を持った方へのメッセージ
「自分には何もない」と感じている方にこそ、薩摩琵琶を体験してほしいと水島さんは語ります。
伝統芸能は堅苦しいものではなく、自分と他者を深く理解する手がかりにもなります。
人生に軸を持ちたいと感じている方にとって、この教室はそのきっかけとなるはずです。
お気軽に体験教室にお運びいただき、琵琶を手に取って日本の文化を感じてください。
