病気と闘う子どもたちとその家族を、誰もが気軽に応援できる仕組みづくりに挑戦するNPO法人「プロジェクトサンタ」。
治療やリハビリの励みになる「ガチャガチャ」の設置や付き添い家族へのティータイムサービスなど、支援する側も、される側も「楽しさ」を大切にした活動を展開しています。
「楽しみながら続けられる支援」という新しい形の活動を展開する「プロジェクトサンタ」の矢野舞さんにお話を伺いました。
病院での治療を頑張る子どもたちとその家族に寄り添うサポート
ー どういった方を対象にどのような支援を行っていらっしゃるのでしょうか?
矢野さん:私達の団体は病気と闘う子供達とその家族をサポートする活動を行っています。
メインとなる事業としては、全国の病院に治療を頑張った子が引けるガチャガチャを設置する活動です。
それ以外にも、付き添いのご家族に対して無料でコーヒーなどを提供するティータイムサービスも展開しています。
クリスマスの贈り物から年間を通じた支援へ
ー この活動を始められたきっかけについて教えていただけますか?
矢野さん:活動のルーツは2009年に遡ります。
当時、私は大阪城の周りをサンタクロースの格好をして走る「大阪グレートサンタラン」というチャリティーランを主催し、参加費の一部で入院中の子どもたちにクリスマスプレゼントを届けるイベントを12年間続けていました。
しかし、クリスマスの前日や翌日に退院してしまうとプレゼントが届かないというケースがあり、子どもたちは年間を通じて頑張っているので、1年を通してサポートできる仕組みが必要だと考えました。
そこでサンタランのチャリティーチームのメンバーが中心となって、現在のNPO法人を立ち上げることになりました。
医療現場の声から生まれた「ガチャガチャ」という選択
ー ガチャガチャを選ばれたポイントはどこにありましたか?
矢野さん:医療現場では以前から、治療や採血を頑張った子どもたちへの小さなご褒美として、ドクターや看護師、保育士の方々が自腹でプレゼントを用意されていました。
しかし、善意に頼った取り組みには限界があります。
安定的に小さなおもちゃやシールを提供できる仕組みを考えた時、単にプレゼントを渡すだけでなく、ワンクッション楽しい体験を提供できないかと考えました。
そこで子供たちが好きな『ガチャガチャ』という形を思いつき、景品とセットで提供する現在の形が生まれました。
子どもたちの「頑張る力」を引き出す支援の形
ー この活動の最大のアピールポイントについて教えていただけますか?
矢野さん:ガチャガチャは子どもたちが好きなものなので、皆さんイメージが付きやすく、実際に現場からも「子どもたちの頑張る力になっている」という声をいただいています。
当初は治療を頑張った際の励みとして考えていましたが、実際の現場では、リハビリを頑張った時や苦手な薬が飲めた時など、看護師さんたちが様々な場面で活用してくださるようになりました。
誰もが分かりやすく、楽しみながら応援できるという点が、私たちの活動の強みだと考えています。
「楽しさ」を軸にした持続可能な支援の仕組み
ー この活動をされる際に大切にされていることは何でしょうか?
矢野さん:支援を受ける側も、支援する側も、すべてが「楽しく」なければ続かないと考えています。
単なる寄付のお願いだけでは、次第に負担に感じられてしまいます。
そこで、日常生活の中で無理なく応援できる方法を考えています。
例えば、今月からチャリティー米の販売を始めました。
これは普段のお米の購入を通じて支援ができる仕組みとなっていて、支援が届く形も、現場でガチャガチャを回せるなど、分かりやすく簡単で楽しい形を大切にしています。
全国展開と新しい支援の形を目指して
ー 今後の展望についてお聞かせください。
矢野さん:現在は関西圏からスタートし、昨年から埼玉県や茨城県にも広がって、全部で11の病院に設置しています。
すでに多くの病院から設置のご要望をいただいており、特に小児がんの拠点病院や連携病院など、重症度の高いお子さんが多い病院を中心に、全国展開を目指しています。
私たちの役割は、ガチャガチャと景品を継続的に提供し続けることですが、そのための資金調達が大きな課題となっています。
最近では、ガチャガチャ本体のレンタル料金を通じた支援など、単なる寄付以外の方法も増やしています。
より多くの方に「それなら自分にもできそう」と感じていただける応援方法を用意し、安定した支援を続けられる仕組みづくりを進めています。
ー 最後に、記事を読まれる方へメッセージをお願いできますか?
矢野さん:私たちは「応援は楽しくないと続かない」という考えのもと、様々な支援方法を用意しています。
今後も、手を変え品を変え、多くの方に参加していただける活動を増やしていきたいと考えていますので、面白そうだなと思っていただけたら、ぜひ参加してくださると嬉しいです。