ろう・難聴の中高生を対象に、学びの機会を提供する「NPO法人ろう・難聴中高生の学習支援の会」。教育の平等と多様性を目指したその活動には、利用者一人ひとりに合わせた支援の工夫と、未来へのビジョンが詰まっています。斉藤様に、活動の詳細や背景、今後の展望について伺いました。
御社のサービス概要について教えてください
当NPO法人では、ろう・難聴の中学生・高校生を対象に、国語・英語・数学の指導を行っています。また、受験生向けのAO推薦対策クラスも提供しており、面接や小論文、志望理由書の作成まで総合的なサポートをしています。
特徴的なのは、聴者の講師が情報保障を付けて指導するクラスと、ろう・難聴の当事者講師が手話で教えるクラスの両方を用意している点です。例えば、文字で学びたい生徒にはパソコン要約筆記を活用したリアルタイム字幕を提供するなど、学びのスタイルに応じた環境を整えています。
利用者層は中学生・高校生が中心ですが、個々の学習レベルやニーズに応じた柔軟な対応を心がけています。
サービスを提供するに至った背景やきっかけについて教えてください
この活動は2010年、日本社会事業大学のプロジェクトの一環として始まりました。当時、ろう・難聴の高校生が大学進学に苦労している現状を受け、高校段階からの支援が必要だと考えました。その結果、「学習支援塾」を立ち上げ、助成金を活用しながら運営していました。
その後、プロジェクトが終了する際に、独立したNPO法人として継続することを決断しました。この活動は、ろう・難聴の生徒たちに教育の機会を平等に提供するための重要な役割を果たしていると感じています。
御社ならではの強みやアピールポイントを教えてください
私たちの強みは、「手話でも文字でも学べる」ことにあります。希望に応じて学び方を選べる環境は、他の学習塾にはない特徴です。さらに、手話だけではなく、リアルタイム字幕を活用したクラスも提供しているため、より幅広いニーズに応えることができます。
また、運営資金は助成金や寄付金を中心に賄っています。そのおかげで、現在は無償で学習支援を提供しています。費用負担を気にせず参加できることも、利用者にとって大きな安心材料となっています。
利用者の方と接する際にどんなことを意識していますか?
生徒一人ひとりのニーズを尊重することを最優先にしています。ろう・難聴の生徒と一括りにするのではなく、個々の特性や要望に応じた細やかな指導を心がけています。例えば、目が見えない生徒や知的障害を伴う生徒に対しては、適切な通訳やサポート体制を整えています。
また、あまりない例ですが、オンライン学習が難しい場合には、講師を派遣して家庭教師のような形で対応するなどの対応をしたこともありました。こうした柔軟にサポートを提供しています。これにより、生徒たちが安心して学べる環境を作り上げています。
今後の展望や取り組んでいきたいことについて教えてください
最大の目標は、無償での運営を維持することです。そのためには、さらなる助成金や寄付金の確保が欠かせません。また、公的な補助金が充実することで、活動の安定性が高まると考えています。
さらに、学習支援の場をより多くの地域に広げたいという思いがあります。現在は主にオンラインでの指導を行っていますが、地域ごとに拠点を設け、より身近なサポートを提供したいと考えています。また、利用者同士が交流できるコミュニティづくりも進めていきたいです。
記事を読む方、御社の利用を検討されている方へのメッセージをお願いします
ろう・難聴の当事者の方、特に学びに不安を感じている方にこそ、ぜひ一度私たちの活動を体験してほしいです。「学校の勉強についていけない」と悩んでいる方も、まずは気軽に参加してください。私たちがその一歩を全力でサポートします。
また、こうした活動を広く知っていただくことが、学びの平等を実現するための第一歩です。私たちの活動に共感いただけたら、ぜひご支援やご意見をお寄せください。一緒に未来を創る力となりましょう。