ノンラベルが目指す”誰もが安心できる居場所”

ノンラベルについて教えてください。

ノンラベルは、自閉スペクトラム症(発達障がい)などによる生きづらさを持つ方々が、安心して過ごせる【居場所】を提供する施設です。生活訓練と就労継続支援を通じて、社会での生活に向けたさまざまな支援を行っています。利用者一人ひとりの特性に合わせた個別対応を重視しており、画一的なプログラムは設けず、柔軟な支援体制を整えています。


ノンラベルが掲げる理念は、「無理なく続けていくこと」です。社会の中で適応していくことが難しいと感じる方々に向けて、適切な捉えかたや、受け流しかたを獲得していただけるよう、日々を共に過ごし、共に生活をしています。
活動初期は、不登校の方とその親御さんが対象でした。活動を続けていく中で、不登校の経験がある方の多くに、発達障害(自閉スペクトラム症)をお持ちの方が多くおられた方から、支援対象者がシフトしていきました。

最近では、協力をしてくださる医師がたくさんいてくださり、当施設をスムーズに利用開始いただけるようになりました。利用される方々は、引きこもりの経験がある、社会に出ることに不安を感じている、社会参加をしたもののなんらかの理由により継続ができなかった、といった方々です。


はじめの支援は、生活訓練からスタートします。例えば、人間関係のトレーニングを希望される方、台所の洗い物から始める方、体力づくりをはじめる方など、スタートはさまざまです。そういった個々のニーズに合わせた支援を行っています。社会生活を送るうえで必要なスキルを身につけるために、日々の活動を通じて学習と確認を行います。他者と関わり続けることで、行動パターンを学び、適応につなげます。


最近では企業との連携を深めており、職場体験や施設外就労支援を実施しています。一般的な就労支援とは異なり、利用者さんが無理なく就労を継続する環境に重点を置くために、職場との相互理解を促進する体制を整えています。
制度上、生活訓練やB型就労支援は18歳以上から利用でき、年齢による利用制限はありません。20代から60代まで、幅広い年代の方が利用しており、それぞれのライフステージに応じた支援を提供しています。


この活動を始められたきっかけや背景を教えてください。


私は職員として関わっていますが、この団体を立ち上げたのは、代表である義母です。引きこもりの方や発達障がいを持つ方々が安心して過ごせる場所【居場所】を作ることを目的として始まりました。社会で働くことが最終的な目標ではありますが、そのためにもまず、「ここに来れば安心できる」「理解してくれる人がいる」という環境に触れ、「人のあたたかさ」を知っていただくことを大切にしています。利用される多くの方がノンラベルを通じて社会との接点を持ち、着実にステップアップされています。


他の支援施設にはないノンラベルの特徴を教えてください。


大きな特徴は、「プログラムを設けていない」という点です。
通常の事業所では、時間割のようなスケジュールが決められており、平日の午前・午後にプログラムがある、学校の時間割のような形式で運営されていることが多いです。ノンラベルがその形式を採用しない理由は、特定の曜日・時間に嫌なことが起こった場合、その時間帯に来ること自体が難しくなってしまう特性を配慮しているためです。利用者さん自身のペースで通えるように、どの曜日・時間でも自由に利用できる形を取っています。
ノンラベルでは「安心して過ごすこと」をまず最優先に考えます。一般的な事業所では、何らかの作業をしてもらうことが前提となる場合が多いですが、ノンラベルでは必ずしも作業を強制しません。まずは「安心できる場所」に身を置き、利用者さん自身のペースで次のステップへ進めるよう支援します。


今後の展望や強化したい取り組みについて教えてください。


いつかはグループホームを持ちたいと思っています。長く通われている利用者さんも多く、10年以上利用している方もおられます。親御さんの高齢化に伴い、利用者さんがひとり残されてしまうケースも出てきています。経済的に余裕がない方もおられます。一人暮らしに対する不安が大きい方もおられます。そのため、安心して住める「家と居場所」を提供できるようになりたいと思っています。
また、「外部への発信」を強化したいと考えています。支援に関するエピソードはたくさん持ち合わせていますが、SNSを通じた情報発信は積極的には行ってきませんでした。多くの方々にこの活動を知ってもらうことがとても重要なことと考えています。SNSやホームページを活用し、よりたくさんの方々に活動内容を知っていただけるよう、取り組んでいきたいです。
広めていくうえで、当事者の親御さんや自治体などと、地域連携を強化したいと考えています。さまざまな理由で、支援の場につながることに時間がかかるケースがとても多いので、支援を必要とされている方に少しでも早く、支援を提供できる連携体制を整えていきたいです。


最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。


まずは一歩踏み出してみてください。ノンラベルに連絡をいただければ、何かしらお手伝いできることがあるはずです。電話でもメールでもLINEでも大丈夫です。悩んでいる方のお近くにおられる親御さんやご友人、職場の同僚の方でもかまいません。ぜひ気軽にご相談ください。
また、支援を必要とされている方だけでなく、支援したいと考えている方もぜひご連絡ください。誰もが安心できる場所をともに作っていきましょう!