たのしく学び対話を育む!「にじの絲」が創るオープンな性教育

特定非営利活動法人にじの絲(いと)は、性教育の普及を目的とし、幼児から大学生、保護者、教育者を対象にワークショップや講座を提供しています。タブー視されがちな性の話題をオープンに語れる場を作り、知識を伝えるだけでなく、自ら考え行動できる力を育むことを重視。性の多様性や自己決定権の重要性を伝え、安心して学べる環境を提供することで、誰もが性について話せる社会を目指します。若者との協働や世代を超えた連携にも力を入れ、新しい学びの場を創出。ワークショップではクイズやゲームを取り入れ、楽しく学べる工夫を凝らしています。本記事では、にじの絲の活動内容や理念、展望について詳しく紹介します。

活動の概要について教えてください。

特定非営利活動法人にじの絲(いと)は、幼児から大学生までの子どもや青年、さらには保護者や教育者を対象に、性に関するワークショップや講座を提供している団体です。性の多様性や性教育に関する正しい知識の普及を目的としており、学校や地域コミュニティでの講演活動も行っています。

性に関する話題はタブー視されがちですが、にじの絲では誰もが安心して性について学び、考え、語れる場を提供しています。子どもたちが自分の身体を理解し、自ら選択することの大切さを伝えることが活動の中心です。また、保護者や教育者向けの講座では、子どもたちとどのように性について話していくのか、エピソードを交えて伝えています。

この活動を通じて、性についての正しい知識を持ち、他者を尊重しながら健全な関係を築ける社会の実現を目指しています。

団体を立ち上げたきっかけをお聞かせください。

にじの絲の設立の背景には、私自身(代表:吉野氏)の個人的な経験がありました。私自身が望まない性的な経験をしたことがきっかけで、「子どもたちには同じような経験をしてほしくない」という強い思いを抱くようになりました。

当時、性について語り合う場がほとんどなかったこともあり、まずは小さな集まりとして「性に関するお茶会」を開いたのが最初の活動でした。子育て中の仲間や友人たちと話していく中で、性について学び考える場が必要だと確信し、徐々に活動の輪を広げていきました。

当初は草の根的な活動として始まりましたが、より多くの人に正しい知識を届けるため、法人化する決意を固めました。資金調達や運営の勉強をしながら、一歩ずつ組織を成長させ、現在の形へと発展させました。

特徴・強みはどんなところでしょうか。

にじの絲の特徴は、知識の伝達だけではなく、「自分で考えて決める力を育む」ことを重視している点です。性教育というと禁止や規制の話に偏りがちですが、にじの絲では、タブー感を取り除き、フラットに性について話せる環境を作ることを大切にしています。

また、性教育は「避妊」や「性感染症予防」といった狭いテーマに限定されがちですが、にじの絲ではもっと広い視点で捉えています。例えば、赤ちゃんが生まれて母親に抱かれる安心感も性の一部であり、日常生活の中で自然に性について伝える機会を増やしていくことを大切にしています。

さらに、ワークショップではクイズやゲームを取り入れ、子どもたちが自然と性について親しめるよう工夫されています。このように、にじの絲の活動は、学びを楽しく、身近なものにすることを重視しています。

活動・指導方針について教えてください。

にじの絲が指導の際に大切にしているのは、知識を一方的に押し付けるのではなく、参加者が自ら考え、判断できるよう導くことです。特に性教育においては、「自分の身体については自分で決める」という意識を持つことが重要だと考えています。

性被害の防止や加害の抑止を目的とした教育も大切ですが、単に「禁止する」教育ではなく、対等な関係の中で性について話せる環境を作ることを大切にしています。親や教育者にも「話すことの大切さ」を伝え、家庭や学校での性の話題をタブーにしないことを推奨しています。

ワークショップでは、子ども向けにはクイズやゲームを活用しながら楽しく学べる工夫をしています。また、大人向けの講座では、実際のエピソードや事例を交えながら、「知識を得るだけでなく、自分で考えて行動できるようになること」を目指しています。

今後の展望について教えてください。

今後の展望として、にじの絲では特に「若者との協働」に力を入れていく予定です。すでに高校生や大学生とコラボレーションし、性に関する取り組みを行っている団体やサークルと連携してイベントを開催していますが、今後はさらにその機会を増やしていきたいと考えています。

特に、若者同士の対話は非常に有効で、年齢が近いからこそ伝えられることも多いと感じています。また、学生たちの新しいアイデアを取り入れることで、より多くの人に届く活動を展開できる可能性があります。

また、世代を超えた連携も強化し、子育て世代の視点と若者の視点を組み合わせた新しい学びの場を作ることも目指しています。これにより、より多様な視点を取り入れ、包括的な性教育の提供を実現していきます。

最後にメッセージをお願いいたします。

にじの絲のワークショップや講座は、知識の提供だけではなく、実際の体験や事例を交えながら、「考える力」を育むことを重視しています。特に子ども向けの講座では、クイズやゲームを活用し、あそびを通して自然に性について学べるよう工夫しています。

性に関する話題は難しく感じるかもしれませんが、決して特別なものではなく、誰もが関わる大切なテーマです。ぜひ気軽にワークショップや講座に参加していただき、一緒に考え、学ぶ場を共有できればと思います。

私たちは、誰もが安心して自分らしく生きていける社会を目指しています。この記事を読んで興味を持っていただけた方は、ぜひ活動に参加し、一緒に学びを深めていきましょう。