「珠算と暗算を一生の財産に」門司速算クラブが実践する理論的そろばん指導

60年の歴史を持つ門司速算クラブでは、独自の指導法と理論的なアプローチで、効率的なそろばん教育を実践しています。

小学校1年生で1級を取得し、その後システムエンジニアとしても活躍した田村学さんが、そろばんを通じた論理的思考力の育成に取り組んでいます。

今回は田村さんに教室についてお話を伺いました。

教室概要

ーどういった方を対象にどのような指導されていますか?

田村さん:近年、生徒の低年齢化が進んでおり、幼稚園の年長さんから受け入れています。

中心となるのは小学生で、低学年から高学年まで幅広く指導しています。

最近は中学生の生徒も増えてきており、時には高齢者の方からもお問い合わせをいただくことがあります。

私自身は、そろばんの指導以外にも、中学・高校生を対象とした少人数制の学習指導も行っています。

設立の経緯・きっかけ

ーこの教室を始められたきっかけについて教えていただけますでしょうか?

田村さん:もともとは父が始めた教室で、約60年の歴史があります。

私自身は20年ほどシステムエンジニアとして会社勤めをしていましたが、父が若くして亡くなったことをきっかけに教室を引き継ぎ、この15年ほど中心となって運営しています。

当初は集団指導をする考えはありませんでしたが、やってみると子供たちが集まってくれ、今では上手くいっているという手応えを感じています。

特徴やアピールポイント

ー教室の特徴やアピールポイントについて教えていただけますでしょうか?

田村さん:当教室では、競技向きの指の動かし方(企業秘密の部分もありますが)を最初から指導することで、効率的な練習を実現しています。

他の教室では週3回以上、1回1時間半程度の練習が一般的ですが、当教室では週2回、1時間ずつ程度で十分な効果を上げています。

理系出身である私の特徴を活かし、小さな子供にも理論的な内容を分かりやすく教えています。

そろばんは単調になりがちですが、私自身があまり暗記型ではなかった経験から、きちんと理屈を説明することを心がけています。

全珠連の段位に向けた指導では、3乗のルート計算や応用計算も取り入れており、1級レベルになると中学1年生程度の数学の内容も扱います。

理解力のある生徒には、しっかりとした理論的な指導を行っています。

生徒に指導する際に意識していること

ー生徒さんに指導される際に大切にされていることや、意識していることはありますか?

田村さん:「練習で全力を出すこと」を常に生徒たちに伝えています。

練習時間は1種目7分と短いため、その時間を最大限活用することが重要です。

おしゃべりが好きな子も多いのですが、限られた時間で成果を出すためには集中が必要です。

集中力や持久力は最初から備わっているわけではないので、そろばんを通じて徐々に身につけていってもらいたいと考えています。

指導内容に沿って積極的に練習に取り組む生徒は、上達が早いのが特徴です。

特別な宿題は出していませんが、1年程度で3級や2級に到達する生徒も出てきています。

コースや料金体系について

ー実際に提供されているコースについて教えていただけますでしょうか?

田村さん:基本的に月水金の週3日開講していて、午後3時過ぎから6時半頃まで、時間帯を分けて指導を行っています。

その後は学習塾としての指導も実施しています。

今後のビジョン・展望

ー今後、教室として強化していきたい点や、新たに取り組んでみたいことはありますか?

田村さん:特にフラッシュ暗算を含めた暗算力の強化に力を入れています。

そろばんが使えても、頭の中で暗算ができなければ将来的な活用が難しいためです。

そろばんの技術が上達してきた生徒には暗算検定も勧めており、最低でも2桁×2桁の暗算が即座にできる3級レベルを目標にしています。

ただ、現代の子供たちは勉強や他の習い事も多いため、地域差も考慮しながら、それぞれの生徒に合わせた指導を心がけています。

そろばん学習の価値

ー先生がずっとそろばんを続けてこられて、良かったと感じている点について教えてください。

田村さん:私は理系の道に進み、エンジニアとしてプログラミングに携わってきました。

一見、そろばんとコンピューターは正反対に思えますが、実際には単純な計算力や暗算能力が非常に役立ちました。

昔はスマートフォンもなく、周りから計算を頼まれることも多かったですね。

先生方との思い出も様々ですが、トータルで見るとすごく良かったと感じています。

私は生徒たちにも、「そろばんと暗算の1級を取得したら辞めても良い」と伝えています。

しかし、そろばんを学んだ後に数学ができないというのは納得がいきません。

保護者の方から「そろばんを始めて成績が上がった」「算数や数学が得意になった」という声をいただくのが、最も嬉しい瞬間です。

記事を読んでいる方へのメッセージ

ー最後に、教室に興味を持たれた方へメッセージをお願いできますでしょうか?

田村さん:そろばんを通じて培われる頭のイメージ力は、他の教科の学習にも良い影響を与えます。

個人差はありますが、集中力が向上し、様々な能力が引き出されていきます。

私自身、コンピューター全盛の時代にそろばんの必要性を疑問に感じたこともありましたが、小学生の習い事として、これほど優れた知育はないと確信しています。

特に理系を目指す子供たちには、論理的思考力を養うために効果的です。

当教室では理論的な指導を心がけており、それが保護者の方々からも好評をいただいています。

最近では入会希望者も増え、そろばん学習の価値が再認識されているように感じています。