「みんなのお箸プロジェクト」は、子どもから高齢者まで幅広い世代に向けて、日本の伝統文化である箸の持ち方を伝える活動を行うNPO法人です。幼児から小学生、高齢者まで対象に箸の文化や講座やワークショップを開催しています。身体機能の発達にも着目した独自の指導法を導入し、楽しく学べる環境を提供しています。今後は全国各地への活動拡大やオンライン教育の充実を目指し、企業や行政との連携も強化予定しています。次世代に日本の食文化を継承するための取り組みに注目してください。
今回、N P O法人みんなのお箸プロジェクト 副理事長の平沼芳彩氏にお話を伺いました。
活動の概要について教えてください。
みんなのお箸プロジェクトは、子どもから高齢者まで幅広い世代に向けて、日本の伝統文化である「箸」の持ち方を伝える活動を行っています。特に、0歳から3歳のお子さんを持つ親や、幼稚園・保育園・小学生向けに、箸の持ち方指導や箸作りのワークショップを開催。さらに、高齢者向けには「箸使い生涯現役」という講座も人気を集めています。正しい箸の持ち方を学ぶことが、食育だけでなく、学習能力や身体の発達にも繋がるという視点から、教育活動を展開しています。
2. 立ち上げたきっかけ
みんなのお箸プロジェクトを立ち上げた背景には、私自身が経験した実体験があります。私は、明治生まれの祖父母から厳しく箸の指導を受けました。しかし、自身の子育てにおいて、厳しすぎる躾が逆効果となり、長女が食事そのものを嫌がるようになってしまいました。その娘が親となった時、お箸を上手に持てない親の子どもはどうやって箸の持ち方を覚えるのか?という疑問持ち、時代にマッチしたお箸を楽しく正しく持つ方法を伝えたい」と考え、活動を開始しました。
また、小学生の9割以上が正しく箸を持てていないというデータを知り、「この問題を解決する必要がある」と強く感じたことが、NPO法人設立の大きなきっかけとなりました。
3. 強み・特徴
みんなのお箸プロジェクトの特徴は、単に「正しい箸の持ち方」を教えるだけではなく、身体機能の発達を含めた総合的なアプローチを行っている点にあります。
他の箸指導団体との大きな違いは、身体の発達や指の筋力の成長といった身体機能にも注目していることです。例えば、最近の子どもたちは、長時間のデジタルデバイス使用や運動不足の影響で体幹が弱くなっており、それが正しい箸の持ち方を妨げる原因にもなっています。そこで、体幹を整えるトレーニングや、身体全体を鍛える遊びを取り入れることで、自然と正しい持ち方を習得できるようにしています。
さらに、幼児向けには「お箸メソッド」という独自の指導法を開発し、歌やダンスを取り入れた教材を使い、子どもたちが楽しみながら学べる環境を整えています。
4. 活動・指導方針
みんなのお箸プロジェクトでは、幼稚園や小学校と連携し、教育プログラムの一環として箸の指導を取り入れています。家庭だけでなく、学校教育の現場でも箸の使い方を学べる環境を整えることで、より多くの子どもたちに正しい箸の持ち方を身につけてもらうことを目的としています。
また、指導方針としては、「厳しく教えるのではなく、楽しく学ぶ」ことを重視しています。箸の持ち方を強制するのではなく、遊びや歌、実際に箸を作るワークショップを通じて、子どもたちが自然と興味を持ち、習得できるように工夫しています。
和食文化の大切さを伝えることも、私たちの活動の一つです。例えば、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを子どもたちに伝え、「なぜ和食が世界的に評価されているのか?」を考える機会を提供しています。
5. 今後の展望
みんなのお箸プロジェクトでは、今後さらに多くの地域に活動を広げていくことを目指しています。現在、全国各地の幼稚園や小学校、高齢者施設などで講座を実施していますが、まだ活動が行き届いていない地域もあります。特に、地方都市や過疎地域では、箸の使い方に関する指導を受ける機会が少ないため、そういった地域への支援を強化したいと考えています。
また、オンラインを活用した箸育プログラムの拡充も視野に入れています。コロナ禍を経て、オンライン教育の重要性が高まる中、日本国内の遠方に住む方々、海外にお住いの日本人の方にも正しい箸の持ち方を学んでいただけるよう、動画コンテンツやオンラインワークショップを充実させていきます。これにより、世界各国の多くの家庭や教育機関に箸の文化を伝えられるようになることを目標としています。
さらに、企業や行政との連携を強化し、箸文化の普及を支援する取り組みも進めていまいります。地域の食育プログラムと協力し、子どもたちが日常生活の中で自然に正しい箸の使い方を学べる環境を整えていきたいと考えています。
6. 読者へのメッセージ
箸を正しく使うことは、日本の文化を次世代に継承する大切な一歩です。私たちは「箸でつながる日本の心」を基本理念に、親から子へ、そして孫へと、日本の食文化を伝えていくことの重要性を伝えています。
日常生活で何気なく使っている箸ですが、その持ち方や使い方には多くの意味が込められています。例えば、正しく箸を持つことで、手先の器用さが向上し、学習能力や集中力の向上にも寄与します。また、食事のマナーとしても、日本の文化の一環として大切にされてきました。
もし、お子さんの箸の持ち方に不安がある方や、正しい持ち方を学びたい方がいらっしゃれば、ぜひ私たちの講座やワークショップにご参加ください。一緒に、日本の素晴らしい文化を未来へと繋げていきましょう。