従来の教育システムでは理解されにくかった生徒たちの可能性を引き出し、一人ひとりが主人公として輝ける場所を目指し開校した、Loohcs高等学院。
総合型選抜がまだ主流ではなかった時代から、既存の教育システムに馴染めない生徒たちの可能性を信じ、独自の教育スタイルを確立してきました。
独自のアプローチと、生徒に寄り添う姿勢について、谷口祐人さんにお話を伺いました。
教育理念と設立の経緯

ー御校の教育理念や特色について教えていただけますでしょうか。
谷口さん:Loohcs高等学院は2019年の設立ですが、その前身として総合型選抜対策塾を運営していました。
当時はまだ総合型選抜がメジャーではない時代でしたが、自分のやりたいことや夢に向かって頑張ろうとする生徒たちが、学校で「問題扱い」されてしまう現状がありました。
「受験勉強に専念すべき」という固定観念の中で、そういった生徒たちの可能性が十分に認められていないことに問題意識を持ち、通信制高校サポート校事業を始めることを決意しました。
当校の理念は「全ての人が主人公になる」というシンプルなものです。
従来は「問題児」として扱われてきた生徒たちも、輝ける場所を作りたいという想いが根底にあります。
その実現のために、リベラルアーツ教育を導入し、単なる知識の暗記ではなく、様々な学問を通じて物の見方を学び、プロジェクト学習で実践力を養うことで、自分らしく生きていける人材の育成を目指しています。
生徒の自主性を育む教育環境
ー生徒さんにはどのような力を身につけてほしいとお考えですか?
谷口さん:私たちが最も重視しているのは、生徒が自分で環境を変えていく力、自分で望ましい選択をしていく力です。
特に普通の学校に馴染めなかった生徒たちにとって、自分自身で、あるいは仲間と共に望ましい環境を作り出していく力は非常に重要だと考えています。
独自の教育アプローチ
ー生徒の皆さんの成長をどのように支援されていますか?
谷口さん:当校の特徴は、徹底した少人数制と教員との距離の近さです。
職員室を設けず、教員と生徒が常に同じ教室で過ごすことで、自然なコミュニケーションが生まれやすい環境を作っています。
興味深いのは、卒業生からよく聞く「余白の時間」の価値です。
通常の学校では部活動などで常に何かをしなければならない状況がありますが、当校では意図的に「何もしない時間」を設けています。
この時間での教員や同級生との雑談を通じて、生徒たちは様々な気づきを得ており、それが卒業後も活きているとの声を多く聞きます。
個々の課題に向き合う姿勢

ー技術や知識の習得以外で特に重視されていることはありますか?
谷口さん:人間関係が得意ではない生徒も多いのですが、そういった課題に対しては、なぜ苦手なのかを一緒に深掘りしながら、対処方法を考えていきます。
知識や技術の習得以前に、自分との付き合い方や周囲との関係の築き方を学ぶことが重要だと考えています。
自分の特性や癖を知ることで、より良い関係性を築いていけるようサポートしています。
進路支援の取り組み
ー生徒さんお一人お一人のご進路希望にどのように対応されていますか?
谷口さん:基本的には個々の進路希望を尊重し、それを支援する形を取っています。
特に自分の望みを明確に言語化できない生徒に対しては、一緒に考えながら言葉にしていくお手伝いから始めます。
その上で、具体的な選択肢を提案しながら、最適な進路を見つけていく支援を行っています。
保護者との協力体制
ー保護者様との連携について工夫されていることについて教えてください。
谷口さん:家庭での様子を含め、情報共有を密に行うように心がけています。
特徴的なのは「サポーターズミーティング」と呼ばれる保護者会です。
これは通常の保護者会とは異なり、より親密な雰囲気の中で、保護者も生徒のサポーターとして、より良い支援の方法を共に考える場として機能しています。
懇親会も兼ねることで、より率直な意見交換ができる場となっています。
生徒のモチベーション維持
ー生徒さんがモチベーションを維持するために意識されていることをお聞かせください。
谷口さん:定期的なコミュニケーションを重視しています。
特に、何をしたらいいか分からないという状況に陥りやすい生徒たちに対しては、挑戦的な目標を提案するなど、日々のコミュニケーションを工夫しています。
未来への展望
ー今後の展望について、教えてください。
谷口さん:現在は渋谷での展開のみですが、将来的には日本全国の様々な機関と提携し、生徒たちが自由に行き来できる教育ネットワークの構築を目指しています。
既に地方留学プログラムを実施しており、1週間ほど日本各地で過ごす機会を提供しています。
これにより、生徒たちは様々な価値観や生き方に触れることができます。
「ここでは馴染めなかったけど、別の環境では輝ける」というケースもあるため、一人ひとりが自分に合う場所を見つけられる選択肢を増やしていきたいと考えています。
これから入学を考える方へ
ー入学を検討されている方へメッセージをお願いできますでしょうか?
谷口さん:現在の自分を変えたい、環境を変えたいと考えている方々にとって、当校は様々なチャレンジができる場所です。
周りと話が合わない、学校の制度に馴染めないといった悩みを持つ方々にとって、オルタナティブな選択肢として当校の環境を活用していただけると考えています。
単に「学校に行きたくない」という消極的な理由ではなく、自分を変えたい、周りとの関係を変えたいという積極的な理由で入学してくださる方には、この環境を存分に活用していただけると確信しています。