「フィリピンの若者と共に成長する」- LOOB JAPANが実現するSDGsと英語学習を組み合わせた革新的な国際交流

フィリピンでの活動をスタートさせて24年目になる「NGO LOOB」。

一方的な支援ではなく、現地の若者たちと共に歩み、成長してきた団体である「 LOOB」では英語学習とSDGsの学びを組み合わせた独自のプログラムで、日本の高校生・大学生に新たな国際交流の機会を提供し続けています。

今回は「LOOB JAPAN」の吉永さんに活動内容や今後の展望についてお話を伺いました。

フィリピンに根付いた日本のNGO

ーどのような方を対象にどういった支援を行っているのか教えてください。

吉永さん:私たちの活動は、フィリピンと日本、2つの事務局で展開しています。

フィリピンではNGO LOOB、日本ではNPO法人 LOOB JAPANとして、現地の子どもたちやコミュニティの支援に取り組んでいます。

2001年のフィリピン現地での設立から24年、日本での活動も12年目を迎え、私たちのモットーである「一方的な支援ではなく、現地の人と共に学び成長する」という理念のもと、着実に活動の幅を広げてきました。

当団体の根底にある思いは「青少年の力は未来を変えることができる」という強い信念です。

この信念は、代表が大学生時代にYMCAのワークキャンプでフィリピンを訪れた経験から生まれました。

現地の学生たちと寝食を共にし、同じ目標に向かって汗を流し、時には涙を流しながら活動する中で、国境を越えた若者同士の絆の可能性を実感したのです。

3つの柱で展開する包括的な支援活動

ー フィリピンでの活動内容について具体的に教えていただけますか?

吉永さん:私たちの活動は、「子ども支援」「青少年活動」「コミュニティ支援」の3つを柱として展開しています。

各プログラムは独立しながらも、相互に連携し、コミュニティ全体の持続可能な発展を目指しています。

まず「子ども支援」では、教育サポートとキッズキャンプを実施しています。

教育サポートでは、日本のサポーターからの支援金を活用し、農村部や漁村部の子どもたちの学習を支援。

特にキッズキャンプでは、ごみ処理場のコミュニティに住む子どもたちに焦点を当て、自然豊かな環境での体験活動を通じて、環境意識の向上と新しい価値観の醸成を図っています。

次世代リーダーの育成に向けて

吉永さん:「青少年活動」は、私たちが最も力を入れている分野の一つです。

13歳から18歳の中高生を対象としたリーダー育成事業では、コミュニティの未来を担うユースリーダーの育成に注力しています。

また、大学生向けのユースリーダー事業も展開し、より広い視野での人材育成を進めています。

持続可能なコミュニティづくりへの挑戦

吉永さん:コミュニティ支援では、特にフェアトレード事業に力を入れています。

ごみ処理場で働く方々の新しい収入源として、ジュースパックやペーパービーズを活用した手工芸品の製作・販売しています。

また、日本の大学生が参加するワークキャンプでは、教室やトイレの建設などのインフラ整備を行い、教育環境の改善に貢献しています。

さらに、生態系保護の観点から、マングローブの植林活動も実施。

これは単なる環境保護にとどまらず、地域コミュニティの防災・減災にも貢献する重要な活動となっています。

革新的な事業型NPOとしての挑戦

ーLOOPのアピールポイントついて教えてください。

吉永さん:私たちの特徴は、事業型NPOとして独自の運営モデルを確立していることです。

寄付や助成金に加え、日本人向けプログラムの参加費を主な収入源としています。

特に注力しているのが、高校生向けの「English and Social Action Program(ESAP)」です。

このプログラムは、単なる語学研修や観光型のスタディツアーとは異なり、参加者は現地のユースと共に英語でSDGsを学び、フィリピンの社会課題に対する解決策を考案しています。

最後には「SDGsアイディアソン」として、自分たちなりのNPO活動プランを提案します。

また、コロナ禍を経て、オンラインでのSDGs学習プログラム「SDGsアカデミア」も展開しています。

月例で開催されるこのプログラムには、高校生を中心に多くの参加者が集まっています。

現地との深い信頼関係がもたらす強み

ー 24年もの間、活動を続けていらっしゃる強みはどういったところでしょうか?

吉永さん:当団体の最大の強みは、長年の活動で築き上げた現地コミュニティとの信頼関係です。

特筆すべきは、フィリピン人スタッフを中心とした運営体制です。

コミュニティとの窓口は基本的にフィリピン人スタッフが担当し、現在はマネージャーの全てがフィリピン人という体制を取っています。

日本人代表が25年近く現地に駐在していても、現地のことは現地の人にしか分からない部分が多くあります。

この認識のもと、フィリピン人スタッフの視点を大切にした運営を心がけています。

文化の違いを越えて

ー 日本からの参加者には、どのようなことを心がけてもらっていますか?

吉永さん:文化背景の異なる国での活動において、最も重要なのは相手へのリスペクトです。

意見の違いは当然起こりうることですが、そのような時こそ、相手の意見を否定せず理解しようとする姿勢が大切です。

自分の意見も主張しつつ、相手の考えも尊重する。

この基本的な態度を、参加者全員に心がけていただいています。

双方向の交流へ

ー 今後の展望についてお聞かせください。

吉永さん:フィリピンの急速な経済発展に伴い、私たちも新たな方向性を模索しています。

これまでは日本人をフィリピンに招く形が中心でしたが、今後はフィリピンのユースを日本に招き、日本での学びをフィリピンに持ち帰ってもらうプログラムの実施を計画しています。

実際、現地の中高生や教育関係者からは、日本文化、特にアニメなどへの関心も高く、こうした新しい取り組みへの期待の声も多く寄せられています。

まさに、支援する側・される側という一方通行の関係から、互いに学び合う双方向の交流へと、私たちの活動も進化を遂げようとしています。

ー 最後に、記事を読む方へメッセージをお願いします。

吉永さん:国際交流や海外での活動に興味はあるけれど、一歩を踏み出せずにいる方は多いのではないでしょうか。

文化背景の異なる同世代との交流は、必ず皆さんの人生における大切な財産となります。

私たちは、そんな貴重な経験の場を提供し続けていきたいと考えています。

ぜひ、一歩外に踏み出して、新しい世界への扉を開いてみませんか?