子どもの言葉の発達に不安を感じても、近くに相談できる専門機関がない——。そんな悩みを抱える保護者は少なくありません。一般社団法人ことばサポートネットは、オンラインを活用した言語聴覚支援により、全国どこからでもアクセスできる専門的なサポート体制を実現しています。今回は、同法人の取り組みについて中井さんにお話を伺いました。
全国どこからでもアクセス可能なオンライン言語聴覚支援サービス
ー御社のサービス内容について教えていただけますか?
中井さん:一般社団法人ことばサポートネットでは、言葉の発達や発音に不安のある方とその保護者の方々を対象に、専門的な相談対応や、必要に応じた発音練習のサポートを行っています。年齢制限は設けておらず、幼児から大人まで、幅広い層の方々にご利用いただいています。
サポートは主にZoomを使用した1対1のオンライン形式で実施していますが、利用者様の環境や希望に応じて、Google Meet、FaceTime、電話などでも対応しています。特にインターネットに不慣れな方でも安心してご利用いただけるよう、柔軟な対応を心がけています。
専門性の高い支援体制
ー他社との違いや特徴を教えていただけますか?
中井さん:一般社団法人ことばサポートネットの特徴は、非営利型の法人であることと、大学病院や言語聴覚士の養成校の先生方にご支援をいただき、技術監修を受けている点です。また、法人内での実技講習や学会への参加を積極的に行い、スタッフの専門性 の維持・向上に努めています。
言語聴覚士は高齢者の嚥下機能や脳梗塞後のリハビリテーションなど、幅広い領域に携わる職種です。その中でも当法人は、機能性構音障害・口蓋裂等の構音障害に関する専門的な技術を持つ職員を擁しています。お子さんを担当するスタッフは発達につい ても学んでおりますので、発音だけに注目をするのではなく、そのお子さんお一人お一人の育ちに寄り添った対応を行います。
一人ひとりに合わせた丁寧なサポート
ー利用者の方と接する際に意識されていることを教えてください。
中井さん:現在はインターネットやSNSで様々な情報を手に入れることができますが、それぞれのお子さまに合った適切な支援方法を見つけるのは簡単ではありません。
そのため私たちは一般的な知識を伝えるだけでなく、実際にお子さまの様子を拝見し保護者の方からお話を丁寧に伺いながら、その方に最適な支援方法を一緒に考えていく形を取っています。
保護者の方は、お子さまのことを思い、勇気を出して相談に来てくださることがほとんどなので、単にお話を伺うだけでなく、「今、できそうなこと」を具体的に提案し、少しでも安心感を持っていただけるようなサポートを心がけています。
何より大切にしているのは、お子さまの成長に合わせて、ご家庭でも無理なく継続できる方法を、保護者の方と一緒に見つけていくことです。
法人設立の背景とビジョン
ー法人を設立された経緯について教えていただけますか?
中井さん:一般社団法人ことばサポートネットは2022年に設立しましたが、その背景には重要な課題意識がありました。それは言語聴覚士の社会資源には地域差があるということです。
私たちは、言語聴覚士として医療機関や自治体で働く 中で深刻な地域格差を目の当たりにしてきました。都内の専門的な病院では、適切な支援を受けるため、船や飛行機、新幹線を使って遠方から通院される方もいらっしゃいました。
しかし、発音の練習に必要な週1回の通院は時間的にも経済的にも大きな負担となります。特に、仕事や育児との両立を考えると、通院の継続には、保護者の方の並々ならぬ努力があったことと思います。
そこで私たちは、「支援を必要とする方に、どこに住んでいても専門的なサポートを届けたい」という思いから、オンラインでの支援を開始、その後より多くの方々に安定した支援を提供し、支援の質を組織的に担保するため、法人化という形を選びました。
設立から2年が経ちましたが、「地域に関係なく、必要な方に必要な支援を」という私たちの理念は変わっていません。これからも、言語聴覚のプロフェッショナルとして、全国の方々に寄り添った支援を続けていきたいと考えています。
料金体系
ー料金体系について教えてください。
中井さん:一般社団法人ことばサポートネットでは、初回相談を無料で実施しており、初回は20分程度のご相談をお受けし、お子さまの状況や保護者の方の不安に思われている点などを詳しく伺っています。
2回目以降の継続相談は有料となり、発音練習などの実践的なサポートもご提供しています。また、土曜日や夜間など、平日日中の利用が難しい方のために時間外対応も実施しています。
なお、具体的な料金プランについては、利用回数や時間帯によって異なりますので、詳細はホームページをご確認いただくか、お問い合わせください。
今後の展開
ー今後の展望についてお聞かせください。
中井さん:2024年1月からは、言葉が出始めたお子さまとその保護者を対象としたオンラインイベントもおこなっています。保育園や子育て支援センターの利用が困難な方、海外在住の方など、様々な事情で地域のコミュニティに参加しづらい方々にも、言葉の発達支援の機会を提供していきたいと考えています。
最後のメッセージ
ー最後に、サービスの利用を検討されている方へメッセージをお願いします。
中井さん:お子さまの言葉の発達について、「このくらいの年齢なのに、まだ〇〇ができない」「同年代の子と比べて発音が気になる」など、不安に感じることは決して特別なことではありません。そして、そのような不安を感じること自体が、お子さまのことを大切に思う証でもあります。
ただ、その不安を一人で抱え込まないでいただきたいと思います。「相談するほどのことではないかもしれない」「まだ様子を見た方がいいのかな」と躊躇される方もいらっしゃるかもしれませんが、早めに専門家に相談することで、適切な対応方法が見つかることも多くあります。
中には、医療機関の受診が必要な可能性が見つかる場合もありますので、是非躊躇せずお早めに、お近くの言語聴覚士にご相談ください。近隣に利用できる 機関がない場合には、当法人がお役に立てる場合がございますので、お気軽にお声かけください。
一般社団法人ことばサポートネットでは、平日9時から17時の間、初回相談を無料で承っています。相談することで具体的な対応方法が分かり、不安が軽減されたという声もたくさんいただいています。また、オンラインでの相談なので、お子さまの普段の様子を見ながら、ご家庭でできることについても一緒に考えていくことができます。
「うちの子の場合は相談してもいいのかな」と迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。お子さまとご家族に寄り添いながら、最適な支援方法を一緒に考えていきたいと思います。