子どもの力を信じ可能性を広げる – 子ども料理教室まじかるれっすんの鈴木さんにインタビューしました!

「子ども料理教室まじかるれっすん」は、子どもたちが一人で料理を完成させる体験を通じて生きる力を育み、自己肯定感を高めることを目指す料理教室です。

代表の鈴木さんに、教室の特徴や指導方針についてお話を伺いました。

一人で最初から最後まで調理する独自の教室スタイル

ー教室の概要についてお聞かせください。

鈴木:一般的な料理教室ではグループで集まって作業を分担する形式が主流ですが、当教室では一人一台のカセットコンロとフライパンを用意し、最初から最後まで料理を一人で完成させる方式を採用しています。

このシステムにより、子どもが「一人で作れない」と思っていたことが「作れた」という小さな成功体験を積み重ねることが可能になります。

それによって小さな自信が確かな自信へと変化し、「できるかもしれない」という前向きな姿勢へと変わっていきます。また、人を思いやる心も育まれるなど、様々な良い効果が見られます。

生徒の対象年齢は小学生以上で、中学生も在籍しています。

子どもの力を信じる気持ちから生まれた教室

ー教室を始められたきっかけや経緯についてお聞かせください。

鈴木:深刻な話になりますが、長男が病気を患い、小学校1年生の時に他界しました。その過程で、子どもが病気と闘う力を間近で見て、子どもの持つ潜在能力の素晴らしさを強く実感しました。

子どもは「できない」のではなく、大人が「させない」ことでブレーキをかけてしまうケースが多いと考えています。

以前、親子の料理教室を開催した際、親子をシャッフルして他の方のお子さんと組ませたところ、子どもたちが生き生きと活動していました。子どもには十分な能力があるにもかかわらず、大人がそれを制限してしまっていると感じたのです。

この経験から、子どもだけの料理教室を開設したいと考えましたが、当時は場所の確保など課題がありました。その後、協力者に恵まれ、ようやく子どものための料理教室の実現に至りました。

子どもの成長を見える化する工夫とオリジナルカリキュラム

ー教室ならではの特徴や、一番のアピールポイントについて教えてください。

鈴木:一人で全工程を行うことが最大の特徴です。その際、エプロンではなくコック服を着用し、帽子をかぶって「コックさんになりきる」という要素を取り入れています。

形から入ることで「自分はコックさんだからできる」という意識で取り組むことができます。

また任意ではありますが、教室で習得した料理を家庭でも再現する「宿題」を設けています。宿題を実践した場合はご家族に感想を記入していただき、感想の書いてあるレシピ4枚が集まるとバッジを進呈します。

全部で9個のバッジがあり、それを帽子につけることでステータスとなり、子どもたちの自信形成につながっています。

教室では36種類のレシピを用意していますが、全てフライパン一つで調理できるよう工夫されています。通常の料理法とは異なる、子どもが一人で作れるよう考案されたオリジナルレシピです。

例えば2月は炒めビーフン、3月はお食事クレープなど、ビビンバや担々麺なども子どもたちが一人で完成させます。これまで「できなかった」という子どもはおらず、必ず成功できるよう設計されています。

さらに、子どもたちは自分のためではなく、家族に提供したいという思いで料理に取り組みます。例えば家庭で調理する際、ニンジンが苦手な兄弟がいれば「細かく切ろう」と工夫するなど、思いやりの心も自然と育まれています。

子どもの主体性を尊重する指導方針

ー実際に指導する際に、特に意識していることや方針などがあれば教えてください。

鈴木:子どもに考えさせることを重視しています。「これはこのように調理します」と教えるのではなく、「なぜこうするのだと思いますか?」と問いかけることで、子どもたちはそれぞれに思考を巡らせます。

現代の子どもたちは考えずに与えられることが多い環境にありますが、どんな小さなことでも「自分で考える」「自分で判断する」よう促しています。

例えば「この材料はこう切ります」と指示しても、異なる切り方を望む子どももいます。そういった子どもには自分の好みで切らせています。

肉など加熱が必要な食材は別として、ニンジンであれば細かく切らないと火が通りにくく硬さが残ることを、自らの経験から学ぶことができます。

私たち講師は教える立場ですが、「教えすぎないでください」と他の先生方にも依頼しています。自分で考え自分で判断し、自分で経験することを尊重しています。

体験から学ぶ総合力を育む料理教室

ー入会を考えている方に向けたメッセージをお願いします。

鈴木:体験レッスンでは、子どもが真剣に料理する姿を見て「生き生きとしている」「このような真剣な表情は初めて見た」と保護者の方々が驚かれることが多いです。

自分で「できない」と思っていたことが「できた」という経験、そして自分で調理したものが「おいしい」という発見は、子どもにとって大きな喜びとなります。

安全面にも配慮を行っており、例えば包丁レッスンの際には、まな板の裏側に包丁の絵を描いて置き場所を視覚化したり、包丁を持ち歩かないよう事前に必要な食材のみを準備したりしています。

料理は即座に学業成績に直結するものではありませんが、総合的な能力が確実に身につきます。例えば、指示された作業だけでなく、自ら「できること」を見つけて様々なお手伝いをするようになります。

これは一部の子どもだけでなく、大多数の子どもたちに見られる変化です。

「一人で全工程を担当する」という経験を通して培われる総合力は、他では得難い貴重なものです。ぜひ体験レッスンを通して、その様子をご覧いただければと思います。