すべての子供に本格的な七五三の機会をーご家族に寄り添う全国初の取り組み「きもの縁ブレイス」

現在、全国には約10万人の障がいをお持ちのお子さんがいると言われています。

その多くが環境や身体的な理由により、正式な七五三を受けられていない現状です。

「重度の障がいや医療ケアが必要な子どもたちも、晴れ着姿で七五三をお祝いしてほしい」

「きもの縁ブレイス」ではプロの着付け師やプロのヘアメイク・カメラマンの撮影、出張祭祀(移動寺社)に加え、医療スタッフのサポート体制も整え、ご自宅や病院へ出張して、プロデュースするという全国でも類を見ないサービスを提供しています。

今回は代表理事の澤山綾子さんに活動への想いや、七五三を通じてご家族の人生が豊かに変化していく様子についてお話を伺いました。

すべての子どもたちに七五三の機会を

ー まずどのような方を対象に、どのようなサービスを提供されているのか、お伺いできますでしょうか?

澤山さん:身体障害でも精神障害でも、また障害者手帳の有無に関係なく、グレーゾーンと思われるお子さまでも、ご両親が一般の着付け師さんにお願いすることをためらっているケース、全てのご依頼を受けております。

ただ、実際に多くご依頼いただくのは、人工呼吸器や経管栄養チューブなどの医療機器を身に着けていることで、着物を着ることを諦めていた医療ケアが必要なお子さまです。

当団体では、プロの着付け師・ヘアメイク・カメラマンによる撮影はもちろんのこと、外出が難しい、もしくは家族水入らずでお祝いしたいなどのご事情に合わせ、自宅や病院等に出張祭祀者が同行し、本格的な加持祈祷を無料で行うサービスも提供しています。

また、3歳・7歳の女の子や5歳の男の子という従来の年齢にこだわらず、入院などで七五三の機会を逃してしまったお子さまにも柔軟に対応しています。

伝統と慈しみの心をつなぐ

ー このようなサービスを始められたきっかけや背景についてお伺いできますか?

澤山さん:私はもともと真言宗の僧侶であり、老舗着物店の四代目として生まれ育ちました。

都内に自身の着物サロンと小さなお寺を構えており、きもの縁ブレイスの活動は、私のこの二つの立場が自然と結びついて生まれました。

昨今、多様性が尊重される世の中になってきていますが、私たちは拭い切れない差別・偏見・先入観などの煩悩の中で生き、惑わされているように思います。

そうしたものが、知らぬ間に、自身の内に苦しみを生みだしていると感じています。

きもの縁ブレイスの理念・使命は

≪世の中を「相互に慈しみ合うきっかけ」で溢れさせ、誰もが自ずと手を差し伸べたくなる社会の仕組みを作る≫

つまり、対象は障がい児だけではなく、社会全般です。

まずは私たち皆が、自分が気づかなかった世界にも関心を持ち、苦しみを持つ命の心を優しく拝聴できたらと思います。

それは、人間だけではありません。草木・動物、そして物にも命があって、すべての命のことです。

自然界のすべての命には、それぞれありのままの美しさがあり、それに気づかせて頂く事が第一歩のように思います。

きもの縁ブレイスはこの理念・使命を表現する一つの場として始まりました。

障がい児・ご家族・スタッフなど、この活動に関わる人々だけでなく、さまざまな形でご協力くださる方々、人伝いにこの活動を耳にした方、たまたまSNSで活動のリールを見て障がいをお持ちの方々の実情を知った方……

これら全ての人が安堵感に包まれ、自然と自分の内にある思いやりの心が引き出され、お互いを照らし合いたくなる。そして、その思いやりが次の命へと向けられ、それが行動になって表れる。そんな「慈しみの循環」を生み出すきっかけになれるよう、意識しながら活動しています。

そして、この「他を慈しむ心」は巡り巡って、結果、自分自身を癒すことにもなるのですから。

こうして、「障がい児に七五三をプロデュースする活動」へと想いを具体的に表現していった背景に、七五三が本来持つ深い意味の重要性を重んじ、その意義を後世にもつないでいきたいという思いがあります。

七五三が持つ本来の意味

澤山さん: 七五三の歴史は平安時代にさかのぼります。
当時は疫病の流行により、多くの子どもたちが幼くして命を落としていたため、七五三の年齢まで無事に成長することは、並大抵のことではありませんでした。

「七歳までは神の内」と言われ、七歳までは神様に守られているので何をしても罰(バチ)は当たらないとされる一方で、魂がまだ定まっていないとされ「いつ亡くなってもおかしくない」と考えられていました。

三歳・五歳・七歳という年齢の区切りは、奇数を吉数とする陰陽道に由来するとされ、これらの節目の年齢を迎えると、ご神仏にそれまでの成長の報告と感謝を捧げ、これからの健やかな成長と幸福を祈願する通過儀礼として定着していったそうです。

現代でも、晴れ着を着て寺社に参拝し、家族で祝福する儀式として広く親しまれていますね。

こうした深い意味を持つ七五三は、障がいの有無に関係なく、すべての子どもたちが平等に祝われるべき。との想いが、この活動を始めるきっかけの一つになりました。

七五三に限らず、私たちにとっての当たり前のことが、障がいあるお子さまとそのご家族にとっては、当たり前でない事ばかりです。

障がいを理由に何かを諦めなければならない現状は、あってはならない。

「できない」を一つでも減らせるよう。そして、私たちの活動を通して、誰もが弊害なくありのままで輝ける社会になるよう願いを込めています。

もちろん、病気の治療や健康管理には医療の力が不可欠です。

しかし、祈祷(弊団体が行うのは加持祈祷)を受け、ご神仏にすがり、守っていただくよう願いを託すことも、医療と同じくらい心の支えとなる大切なことだと考えています。

本格的な七五三へのこだわりと、その先にある希望

ー この活動ならではの強みやアピールポイントについて、どのように感じていらっしゃいますか?

澤山さん:私たちは、本格的な七五三にこだわっています。

重度の障がいがあるお子さま向けに、施設などで簡易的に着物を羽織り、スナップ写真を撮るサービスもあり、それも素晴らしい取り組みです。

しかし、きもの縁ブレイスでは、スタッフ全員が障がいに関する深い知識を持ち、着付け師は、医療器具を装着し寝た状態のお子さまにも本格的な着付けができる技術を習得しています。また、通常の着物の形では着付けが難しいご事情を持つお子さまには、そのご事情に合わせて着物を仕立て直し、時にはチャックを付けるなど、身体に負担かけず、心地よく着られるよう工夫を凝らしています。

そして、障がいに心寄り添ったプロのヘアメイク・カメラマンによる撮影、神社への参拝(または、ご希望に応じて自宅や病院内での出張祭祀サービス)まで一貫してサポート。健常児と変わらぬ、いやむしろ、それ以上に特別な七五三を実現しています。

これは単なる着付けの技術にとどまりません。七五三という日本の誇るべき通過儀礼の重要性を社会に伝えたいという想いから生まれたものでもあります。

個別対応の重要性と心のケア

ー サポートをされる中で特に大切にされていることはありますでしょうか?

澤山さん:障がいのあるお子さまとご家族の心に寄り添うことを、何より大切にしています。

七五三当日の着付けやお祝いは、長いプロセスの一部に過ぎません。

お申込みをいただいてから七五三当日までの約1ヶ月半、入念に打ち合わせを重ね、お子さまとたくさん触れあいながら、安心感と信頼を得られるよう努めています。

その間、ご家族との打ち合わせでは、日頃の不安や悩みに寄り添い、お子さまの症状に関する心配事など、さまざまなお話を伺います。少しでも不安を解消できるよう、一緒に考え、心のサポートもさせていただいています。

そういったお心に触れられることは、私にとってもとても貴重な機会です。

そのご家族の想いをもとに、七五三をどんな特別な一日にしたいかをお聞きし、ご提案もしていきます。

そして当日は、一日一家族に限定し、スタッフ全員が丁寧に寄り添い、お子さまのペースに合わせながら、無理なく臨機応変に対応していきます。

そんな特別な一日を私たちと過ごしたご家族から、後日、嬉しい報告をいただくこともあります。

不可能だと思っていたことがこうして一つ実現できたことで、ご家族の自信につながり、いろいろなことにチャレンジされるようになったそうです。

実際、多くのご家族が以前より積極的に外出するようになり、人工呼吸器を乗せたバギーでディズニーランドに行ったり、グランピングを楽しんだりと、驚くほど生活の幅が広がったというお声も頂いております。

全国展開への強い想い

ー 今後取り組んでいきたいことや、将来のビジョンについてお考えはありますか?

澤山さん:この事業は現在、日本で唯一の事業のようです。

同業他社や車いす関連の団体などに問い合わせても、同じような取り組みは見つからず、それだけに全国展開の必要性を強く感じています。

去年、沖縄在住のご家族からご依頼をいただいたのですが、私たちは寄付金のみで運営しているため、交通費の問題でお断りせざるを得ませんでした。

その時の悔しさは、今でも忘れられません。

多くの方のご理解とご協力をいただきながら、10年以内には全国に支部を作り、七五三を希望するすべてのお子さま、一人取り残さず、機会を届けられるようにしたいと考えています。

現在、関東に続き、広島での活動開始に向けて準備を進めています。

新たな可能性を開く一歩に

澤山さん:障がいのあるお子さまをお持ちのご家族の皆さまへ。

七五三を諦めないで。まずはお気軽にご相談ください。当団体では、小児科医や訪問看護師などの医療スタッフも充実しており、安心して当日を迎えていただけます。笑顔溢れる感動と幸せを堪能し、思い出深い最高の一日を一緒に作りましょう!

きもの縁ブレイスのSNSのメッセンジャー、またはWebサイトからお問い合わせいただけます。

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Webサイトからのお問合せ

また、寄付をご検討の皆さまへ。

当団体では、金銭的にお困りのご家庭を含む、すべての障がいあるお子さまにお届けするため、基本プランや出張祭祀は無料で提供しております。これらの活動は、温かいご支援を寄せてくださる皆さまのご寄付によって支えられています。

日本では、寄付文化がまだ根付いていない部分もありますが、慈しむ心は巡り巡って、自分をも慈しむことにつながります。「ありがとう」の笑顔を見たときの喜びは、何物にも代えがたい心温まる経験となるはずです。

この活動に関わってくださることで、支援する側の人生もまた、豊かになっていくと信じています。

ぜひ一緒に、この活動を共に育てていただけましたら、とてもありがたく思います。

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