健康やスポーツパフォーマンスの向上を目指す方にとって、体のケアは欠かせない要素です。近年、ヨガはその効果的な手段として注目されていますが、北海道札幌市を拠点に活動する『カラダプラス1』は、従来のヨガに東洋医学の知恵を取り入れた独自のアプローチで多くの人々を魅了しています。
主宰の山口伸枝氏は元トライアスロン選手。自身の体調不良を克服するためにヨガを取り入れた経験から、一般の方から高校球児まで幅広い層にヨガの指導を行なっています。特徴的なのは「指ヨガ」「眼ヨガ」といった、手や目などの特定部位から全身の調子を整えるメソッド。さらに「ビジョントレーニング」や「タイ・トークセン」など、多彩なプログラムを組み合わせた総合的なケアを提供しています。
特に注目されているのが、スポーツ選手、とりわけ野球選手へのアプローチです。肩や腰の痛みに悩む高校球児たちが「指ヨガ」で劇的に改善する例も多く、ヨガの可能性を広げています。山口氏のメソッドは、本来人間が持つ自己治癒力や潜在能力を引き出すという哲学に基づいており、現代社会で見過ごされがちな「体の声を聴く」大切さを教えてくれます。

北海道・羽幌町出身。幼少期よりスポーツに親しみ、中学・高校時代は女子バレー部に所属。24歳のときにスキーの事故でじん帯を損傷。リハビリを通じて、トレーニングの楽しさに目覚め自転車競技を開始。ツールド北海道レディース部門2位入賞。自転車競技と並行してトライアスロンを始める。ハワイホノルルインターナショナルトライアスロン レディース部門2位、トーパスカップトライアスロン in 戸井優勝、日本最長のトライアスロン「日本海オロロンライントライアスロン」9位など 入賞歴多数。現在もランナーとして上位入賞している。
ぜんそく・アトピーなどの症状改善のためヨガを始めたところ、強いだけでなく、柔軟でしなやかな筋肉となり競技のパフォーマンスもUPする。妊娠をきっかけに本格的にヨガを始め、身体の不調がすべて改善されたことから「多くの人にヨガを伝えたい」と平成18年ヨガ認定講師の資格を取得。その後「指ヨガ」や「眼ヨガ」と出会い、効果の高さを実感し、レッスンに取り入れている。「道新カルチャーセンター」にて高齢者の足腰の強化体操を行い、高校運動部から高齢者まで幅広く指導している。現在は、自身の経験を生かした高校生の部活の「アスリートヨガ」の指導に力を入れている。
【資格】
☆沖ヨガインストラクター
☆手のひらセルフケア協会認定
指ヨガインストラクター
眼ヨガインストラクター
☆トータルビジョントレーニング協会
ビジョントレーナー メンタルトレーナー
☆スポーツリズムトレーニングディフューザー
☆タイ伝統木槌トークセン療法
☆リンパセラピーアドバイザー
☆日本着物着付け普及協会着付け講師
「スタジオを持たないヨガの伝道師」札幌から全道へ広がる独自メソッド

ー山口さま、本日はどうぞよろしくお願いいたします!まず簡単に、どういった方を対象にしているのか、そしてどういった活動を行っているのか、『カラダプラス1』の概要についてお伺いできますか?
山口 伸枝主宰(以下、敬称略):私は固定の教室やスタジオは持っておらず、主に出張レッスンという形で活動しています。一般の方向けのレッスンはもちろん、高校野球部の選手など部活動に所属する学生さんたちにもヨガを指導させていただいています。
特徴的なのは「指ヨガ」「眼ヨガ」「耳ヨガ」といった東洋医学に基づいたアプローチで、まずはこれらの手法で体の特定部位をほぐしてから、徐々にヨガのポーズに入っていくというスタイルです。
対象年齢は幅広く、若い方からシニアの方まで指導しています。老若男女問わず、体の調子を整えたい方々に向けたプログラムを提供しています。
「体を壊したアスリートだからこそ見つけた」ヨガが人生を変えた転機

ー山口さまが『カラダプラス1』を始められた経緯やきっかけを教えてください。
山口:私自身がもともとトライアスロン選手として活動していたんです。ところが、トレーニングに熱中しすぎたことで免疫系に不調をきたし、ぜんそくやアトピーを発症してしまいました。いわゆるオーバートレーニングで体を壊してしまったんですね。
そんな時にヨガと出会い、継続することで体質が改善され、アトピーも良くなって健康を取り戻すことができました。この体験を多くの方に伝えたいという思いから、約20年前にヨガインストラクターになることを決意しました。
最初の10年間は一般の方々を中心に指導してきましたが、自分自身のアスリート経験もあり、スポーツ選手にもヨガの素晴らしさを伝えたいという気持ちが強くなりました。特に野球が大好きだったこともあり、約10年前(現在2025年)から高校球児たちへのヨガ指導も始めるようになりました。
指先に秘められた驚きの力 ― 東洋医学とヨガの革新的融合
ー他のヨガ教室との違いや、『カラダプラス1』ならではのアピールポイントを教えてください。
山口:先ほど申し上げたことと重複しますが、最大の特徴は東洋医学をベースにした「指ヨガ」「眼ヨガ」「耳ヨガ」を取り入れている点です。これらは体の特定部位とその関連部位の繋がりを活用したアプローチです。
例えば肩こりがある方には、肩に関連する指のツボをほぐすことで肩の状態を改善していきます。こうした準備をしてから実際のヨガポーズに入ることで、体が動きやすくなり、効果も高まるんです。
特に高校球児を指導するようになってから、この方法の有効性を実感しました。野球選手には肩や腰に痛みを抱える子が多いのですが、例えば人差し指と薬指の特定部分をほぐすだけで肩の可動域が広がり、選手たちも驚くような効果が現れます。
耳のツボも同様で、耳の特定部位を刺激することで全身に効果があります。これらの即効性のある変化を体感してもらえることが、他のヨガ教室とは異なる特徴だと思います。
「触れるだけで体が変わる」指ヨガとビジョントレーニングの神秘
ー指ヨガについてもう少し詳しく教えていただけますか?

山口:指ヨガは「手のひらには、全身が投影されている」という東洋医学の考え方に基づいています。例えば中指は顔に対応し、それぞれの指が体の特定部位と繋がっています。
手のひらだけでなく手の甲側も重要で、前面が体の前面、後ろ側が体の後面に対応しています。目についても同様で、目頭が腕に対応し、目尻が足に対応するというように、体の各部位と関連しています。
これらの対応する部位をほぐすと、不思議なことに関連する体の部分が軽くなったり柔らかくなったりします。最近ではテレビなどでも取り上げられることが増え、注目されています。
実際のレッスンでは、例えば「肩の反射区はここです」と説明しながら、片方ずつ丁寧にほぐしていきます。そして「ここをほぐすと肩が上がりやすくなりますね」と実感してもらう、という流れで進めています。
ーホームページに「ビジョントレーニング」という記載がありました。こちらについても、ぜひ教えてください!

山口:「ビジョントレーニング」は単なる視力回復ではなく、‟視覚機能全体”を向上させるためのトレーニングです。視力はその中のごく一部で、動体視力や目と手と脳の協調性、視野の広さなど、さまざまな視覚機能を総合的に鍛えていきます。
特にスポーツでは、静止した物を見る能力だけでなく、動いている物を追う能力や空間認識能力が重要です。例えば野球選手の場合、自分では気づかないうちに片方の目だけを使って見ているケースがあります。右目だけを使っていると左側が死角になってしまい、プレーに支障をきたすことも。
このトレーニングではそういった癖を認識し、両目をバランスよく使えるようにしたり、視野を広げたりすることで、競技パフォーマンスの向上につなげています。さらに「眼ヨガ」と組み合わせることで、視力改善や目の疲れの予防にも効果があります。
「笑いながら変わる」山口流リラックスヨガの極意
ー生徒さんに指導する際に、特に意識していることや方針があれば教えてください。
山口:私がもっとも意識しているのは、「リラックスして楽しく取り組める環境づくり」です。ヨガは集中して行うものですが、力みすぎると逆効果になることもあります。そのため、適度に笑いを取り入れたり、リラックスできる会話を交えながら進めるように心がけています。
高校を卒業した後も、施術やレッスンのために訪れてくれる生徒さんも多いんです。「ヨガのおかげで体が楽になった」「あの時の指導が役に立っている」と言ってもらえると、本当に嬉しく思います。
一人ひとりに合わせた技法 ― カラダを根本から整える多彩なアプローチ

ー『カラダプラス1』で提供されているプランについて教えてください。
山口:一般の方向けのヨガレッスンは、1時間から1時間半のプログラムで行っています。特徴的なのは、最初の30分程度は「指ヨガ」「眼ヨガ」などを使った体のほぐしやセルフケア方法の指導に充てている点です。その後、徐々に通常のヨガポーズへと移行していきます。こうすることで無理なくポーズが取れるようになり、効果も高まります。
他にも「運動部向けアスリートヨガ」「げんきだまぷらすセラピー」「タイ・トークセン」「ビジョントレーニング」といった多彩なプログラムを提供しています。
「げんきだまぷらすセラピー」は2024年に習得した比較的新しい技術で、氣功に近いアプローチです。体内のエネルギーの流れを整え、脳からの指令が体にスムーズに伝わるようにするセラピーです。短時間で体に力が入り、軸が作られる効果があります。
「タイ・トークセン」はタイの伝統療法で、木づちを使って体を軽く叩きながら筋肉や組織をほぐしていく方法です。アスリートだけでなく、例えば四十肩の方に施術したところ、すぐに腕が上がるようになるなど、一般の方にも即効性のある効果が現れることが多いです。
高校球児から甲子園、そしてプロへ ― 目指すは日本トップアスリートのケア
ー今後、力を入れていきたい点や新たな取り組みについて教えてください。
山口:まずは、もっと多くの方に「指ヨガ」や「ビジョントレーニング」の効果を知っていただきたいと思っています。これらは実際に体験するとその効果の高さに驚かれる方が多いので、さらに活動の幅を広げていきたいですね。
将来的には、高校球児だけでなくプロ野球など、プロのアスリートにも指導する機会があればと考えています。幸い、野球界にも知り合いが多いので、そうしたつながりを活かしながら、選手たちのパフォーマンス向上や怪我の予防に貢献できればと思っています。
「薬に頼らない時代へ」人間本来の自己治癒力を呼び覚ます

ー最後に、『カラダプラス1』に興味を持たれた方へメッセージをお願いします!
山口:現代社会では免疫力の低下や薬に頼りがちな生活習慣が気になりますが、実は私たち人間は本来、自分自身を癒す力やバランスを取り戻す力を持っています。私はそうした潜在能力を引き出すサポートをしていきたいと考えています。
『カラダプラス1』では、本来の自分を取り戻し、自然な元気を回復するお手伝いをします。自分自身の持つ能力に気づき、それを活かしていくきっかけを提供できればと思っています。