自宅での料理教室からスタートし、薬膳や発酵食、テーブルコーディネートに至るまで多彩なアプローチで「食のある暮らし」を提案するkanal料理教室。世界各国の食文化を体験し、家庭に寄り添う提案を続けてきた原澤まみさんに、その想いやこだわりを伺いました。

食は暮らしの真ん中。離乳食から介護食まで“寄り添う”料理教室
ーkanal料理教室のコンセプトについて教えてください。
原澤:私の料理教室は、いわゆる「習い事」というよりも、“生活に寄り添う食”をテーマにしています。例えば離乳食から始まり、成長期の子どもたちのご飯、さらには介護食まで。それぞれのご家庭の事情に合わせて、薬膳や発酵食品の知識を織り交ぜながら、体にやさしく、おいしいレシピをご提案しています。
また、教室に来るのが難しい方には、訪問という形での対応も行っています。そこに加えて、テーブルコーディネートや、家にあるものでできる“おもてなし”の工夫など、ただの「料理」だけにとどまらず、暮らしそのものを豊かにする内容を大切にしています。
「お花を見て、料理を決める」——祖母から学んだ“おもてなし”の本質
ー原澤さんが料理の道を志したきっかけを教えてください!
原澤:実は20代の頃、バックパッカーとしてアジアやヨーロッパを旅していました。その後ドイツに住んだ経験もあり、現地の家庭料理や、食卓を囲む文化に強い影響を受けました。ヨーロッパではホームパーティー文化が根付いていて、「食卓」は人と人をつなぐ大切な場所なんですよね。
私の祖母が旅館の女将をしていて、小さい頃から「おもてなし」の心を教わってきました。普通は料理が先にあって、そこに飾りつけやセッティングを加えると思うのですが、私はまず、お花やお部屋の雰囲気を見てから、その場にふさわしい料理を考えるんです。これも、祖母の影響ですね。
健康志向にも、おいしさ重視にも対応できる“オーダーメイド料理”
ー教室のスタイルやメニュー構成についても詳しく教えてください!
原澤:料理教室と一口に言っても、参加される方の目的はさまざまです。「とにかく料理を上手になりたい」という方には基本の料理を。「体調管理のために食生活を見直したい」という方には、薬膳や発酵食品の知識を取り入れた内容をご用意しています。
初回のヒアリングをとても大切にしていて、その方に合わせたオーダーメイドのプランを提案しています。また、希望があれば出張対応もしますし、テーブルのカラーコーディネートなど、空間全体のアドバイスも可能です。
面白いところでは「新婚旅行で食べた、あの国の料理を再現したい!」というようなご要望もありまして。そういった“思い出の味”を再現するのも、私の得意分野です。

教えるというより、共に育む。料理がつなぐ人と人の輪
ーこれからの展望や、特に大事にしていきたいことはありますか?
原澤:最近は、子育てに悩むお母さんたちが孤立してしまうケースが本当に多くて。そんな中で、料理を通じて少しでも笑顔になってもらえたらという思いが強くあります。誰かと一緒に食べる、という体験は、心にも体にもすごく影響するんですよね。
私は“教える”というよりも、生徒さんたちから日々学ばせてもらっているという感覚です。世代や家族構成によって悩みは違いますが、「食べること=生きること」という視点で、一人ひとりに寄り添える存在でいたいと思っています。
“旅するご飯”で広がる、心も体も笑顔になる食卓
ー最後に、読者へのメッセージをお願いします!
原澤:食べるというのは、ただの作業ではありません。誰かと一緒に、楽しくおいしく食べる。それだけで心も体も健康になるんです。
kanal料理教室では、そうした“あたたかい食卓”を一緒に育てていけたらと思っています。ぜひ一度、お気軽に遊びに来てください。