北海道札幌市を中心に子どもたちの学習支援を行う認定NPO法人Kacotam。経済的な理由や家庭環境により、学びの機会を得られにくい子どもたちに寄り添い、13年にわたって支援を続けています。1対1の丁寧な関わりと多様な体験活動を通じて、子どもたちの可能性を広げる同法人の取り組みについて、代表の高橋さんにお話を伺いました。

事業概要:経済的困難を抱える子どもたちへの多角的な学習支援
ー御社の活動内容について教えてください。
高橋さん:私たちは、主に経済的理由や家庭環境により学びの機会を得られにくい子どもと若者を対象に、学習支援と体験活動を提供しています。
具体的には、ひとり親家庭や生活保護世帯の子どもたちを対象とした学習支援「スタサポ」、児童養護施設や母子生活支援施設などの社会的養護に関わる児童福祉施設への訪問学習支援、一時保護中の子どもたちへの学習支援、さらに集団活動が困難な子どもたちを対象としたオンライン学習支援「あうるねっと」など、様々な形態で支援を行っています。
設立の経緯:家庭教師のアルバイトから見えた社会課題
ー設立のきっかけについて教えていただけますでしょうか?
高橋さん:設立のきっかけは大学院時代の家庭教師のアルバイトでした。担当した中学生は、経済的な困難はありませんでしたが、友人関係や先輩との関わりで悩みを抱えており、共働きの両親が不在がちで誰にも相談できない状況でした。
その生徒が私に悩みを打ち明けてくれたことで、「もしかするとひとり親家庭や児童養護施設で暮らす子どもたちは、悩みを話せる存在がいないのではないか」と考えました。
それがきっかけとなり、一般企業に勤めながら児童養護施設でのボランティア活動をスタート。2012年1月に団体を立ち上げ、同年4月から本格的な活動を開始しました。
支援活動の特徴:1対1の関わりと多様な体験機会の提供
ー御社の強みやアピールポイントについて教えてください。
高橋さん:私たちの強みは、1対1の関わりを大切にしていることです。学習支援は基本的に1対1で行い、教科学習だけでなく、子どもたちの興味関心に関する雑談なども大切にしています。その中で得られた情報をもとに、教科学習以外の様々な体験活動にも繋げています。
具体的には、「カタチ化プロジェクト」「お仕事カコタム」「体験カコタム」という3つの体験活動を提供しています。これらを通じて、子どもたちの「やりたい」を具現化したり、興味のある職業に就いている方から話を聞いたり、自然体験学習やプログラミング体験など、様々な体験の機会を提供しています。
支援における大切な姿勢:その日、その時の子どもに寄り添う
ー利用者と接する際に意識していることを教えてください。
高橋さん:私たちが関わる子どもたちは、その日その日で状況が大きく変わることが多いため、「目の前の子どもに対して何ができるかを考える」ということを大切にしています。状況によっては学習をせずに話をして終えることもありますし、その子の状態に合わせて柔軟に関わっていくようにしています。
この考え方は、すべてのボランティアスタッフと共有しており、画一的な指導ではなく、目の前にいる子どもの状況に応じた対応を心がけています。これは「スタサポ」での対面学習支援だけでなく、オンライン学習支援や訪問型の学習支援など、すべての支援活動において大切にしている姿勢です。
今後の展望:活動地域の拡大へ
ー今後の取り組みについて教えてください。
高橋さん:活動のバリエーションはある程度増やすことができたので、今後は活動地域を広げていくことを考えています。現在は北海道札幌市近郊を中心に活動していますが、社会資源が少ない地域にも学習の場を作っていく予定です。
支援の方法:企業や個人からの支援について
ー個人や企業が御社の活動を支援したい場合、どのような方法がありますか?
高橋さん:主に2つの方法があります。1つは寄付による支援です。私たちは受益者負担が難しいご家庭と関わっているため、寄付は活動を支える重要な要素となっています。もう1つは、企業の事業内容に応じて、体験活動を協働で作り上げていくという形での支援も可能です。
メッセージ:学習支援を必要とする方々へ
ー最後に、支援を検討されている方へメッセージをお願いします。
高橋さん:私たちの学習支援は、1対1の関わりを大切にしながら、それぞれのお子様に合った学習機会を提供しています。5教科の学習支援だけでなく、子どもたちの興味や関心に合わせて様々な体験活動も選択することができます。
経済的な理由からお子様の学習や将来について不安に思われている保護者の方、まずは一度見学や体験利用からお気軽にご相談ください。