地域の絆を育む多彩な支援活動 – NPO法人ひのくにスマイルプロジェクトの茶木谷さんにインタビューしました!

熊本県を拠点に活動するNPO法人ひのくにスマイルプロジェクトは、こども食堂から災害支援まで幅広い活動を展開しています。

代表の茶木谷さんに、団体設立の経緯や具体的な取り組み、今後の展望についてお話を伺いました。

顔の見える関係性・地域コミュニティづくり

ー団体の概要についてお伺いさせてください。

茶木谷:当団体はフードバンク活動やこども食堂の運営、こども食堂の運営者同士を繋げるネットワーク構築、災害時の救援活動、子育て・不登校相談援助支援など、様々な活動を行っています。

対象年齢は定めておらず、どなたでも対象としています。

ー活動を始めたきっかけや経緯について教えてください。

茶木谷:私たちは熊本県を拠点とした団体です。熊本地震や水害の災害を経験したことや様々なニュースを目にして、地域の繋がりが希薄化していると感じました。そのため、平時から皆さんと関わりを持つことが大切だと考え、活動を始めました。

最初は任意団体から始まり、その後非営利型一般社団法人、NPO法人として成長し徐々に活動を活発にしていきました。

また、どのようにして平時から関わりを持つことができるのかを考えた際に、地域の人々の居場所づくりとしてこども食堂が有効ではないかと考えました。

当時、こども食堂はこの町にはなかったため、こども食堂の運営を通じて地域の繋がりを作ることができると思ったのです。

地域の居場所から支援の輪を広げる

ー活動内容について、より詳しくお伺いさせてください。

茶木谷:こども食堂は地域の居場所づくりが中心です。子どもたちが楽しく食事ができ、お母さん同士でコミュニケーションが取れる場になっています。

フードバンク活動は、経済的に困難を抱える方々への食の支援として重要です。最終的には行政等につなげて自立を促しますが、生活保護の申請から受給までには時間がかかるため、その間を埋める支援を行っています。

行政ができること、民間ができること、それぞれの役割を認識し、行政の手が届きにくい部分をサポートしています。

また、こども食堂の運営者同士のネットワーク構築も行っています。運営者が孤立しないためのネットワークを形成し、互いに相談できる環境を整えています。

不登校相談援助支援では、お母さんたちが子育ての悩みを気軽に話せる場を提供しています。私たちは答えを出すというよりも、話を聞くことに重点を置いています。

身近な人には言いづらいことも、第三者には話しやすいこともあるためです。子育て講座も開催し、様々な子育てのコツをお伝えすることで、悩みの解決のヒントになればと考えています。

自分らしさを認め合える居場所づくり

ー貴団体ならではの特徴や、独自で取り組んでいることがあればお聞かせください。

茶木谷:ここに「来たら分かる」としか言いようがないのですが、実際に感じることがたくさんあります。大人の優しさや、高校生ボランティアの視点、様々な立場の人が関わる中で生まれる体験型の学びがあります。

一歩踏み出してみることで、見えてくるものがあるのです。

フードバンクでは年間約100トン規模で食品を扱うので、物資の荷卸しなどボランティアとして参加できる機会もあります。子どもたちにとってはこども食堂が最も身近な体験の場になっていると思います。

また、災害時には子どもたちの居場所を作ることを重視しています。避難所では子どもたちが安全に過ごせる場所が限られるため、そのようなノウハウも当団体の強みだと考えています。

ー活動を通じてお子さんと接する際に、特に意識していることや方針などがあれば教えてください。

茶木谷:特に重視しているのは「認める」ということです。自分たちの常識を押し付けないよう心掛け、まずは話を聞いて寄り添うことを大切にしています。

「大変だったんだね」と共感し、否定せずに見守ることで、子どもたちも心を開いてくれます。答えを求めているのではなく、話を聞いてほしいという気持ちに応えることで、「もう少し頑張ってみよう」と思ってもらえればと考えています。

「助けて」と言える関係性の大切さ

ー今後、団体として強化していきたい点や、取り組んでいきたいことがあれば教えてください。

茶木谷:現代の子どもたちは多様性の中で自分をどう表現していいか分からない子も多いと感じます。当団体では、自由に自分を表現できる場所を提供したいと考えています。

間違った道を進むのは問題ですが、人のためになにかしたい、やってみたいという子どもたちの素直な思いを体現できる場所になりたいと思っています。

今の子どもたちは失敗を恐れる傾向があります。大人が過保護になりすぎたり、逆に失敗を厳しく責めたりすることで、子どもの心が折れてしまうこともあります。

しかし、失敗も次のステップに繋がるのであれば、それは成長の糧になります。そういった考え方も伝えていけるようになりたいです。

ーこの記事をご覧になる方に向けたメッセージをお願いします。

茶木谷:一人で悩まずに、気軽にいろんな所に相談してみてください。日本人は「助けて」と言うのが苦手な人が多いように感じます。困ったことがあれば「助けて」と言える勇気を持っていただきたいと思います。

「ここなら助けてくれるかも」と信頼され安心できる場所になれるよう、そして最後の砦になれるよう努めていきたいと考えています。