上地流藤沢修武館は、藤沢市で30年の歴史を持つ空手道場です。
体格に関わらず身を守る技術を身につけながら、健康増進にも効果がある空手指導を行う道場の特徴について、館長の平尾さんにお話を伺いました。
30年の歴史を誇る伝統空手の道場

ー 教室の概要についてお伺いさせてください。
平尾:藤沢道場は藤沢青少年会館で稽古を行っています。対象年齢は基本的に幼稚園年長から運動できる方であれば上限はなく、現在の最高齢は70代の方もいらっしゃいます。
鵠沼道場では、金曜日の夜に鵠沼中学校の武道場をお借りして稽古を行っています。
道場としては今年で30周年を迎えます。現在、湘南修武館の館長である藤本恵祐先生が1995年に上地流の空手を教え始めたことから藤沢道場が始まり、2023年に私が引き継ぎました。
子どもの習い事から始まった道場継承
ー 平尾さんがこの道場に携わるようになったきっかけや経緯について教えてください。
平尾:以前千葉に住んでいた際に息子が空手を習っており、藤沢に引っ越してきたタイミングで空手道場を探していました。幼稚園の友達に紹介されて見学に行き、習い始めたのがきっかけです。
最初は保護者として通っていましたが、5歳の娘も習いたいと言い出したため、心配で一緒に習い始めたのが2000年4月です。
空手道場では年齢や学年は関係なく、帯の上下関係で上の者が下に教えるという環境があります。経験を積むうちに後から入ってきた人にアドバイスするようになりました。
その後、先生が単身赴任になってしまい、私がまだ茶帯の頃に指導を任されることになりました。黒帯の前の段階で指導する立場になり、そこで空手指導について真剣に向き合った経験があります。
円の力を活かす伝統空手の魅力
ー 他の空手教室にはないような特徴や、一番のアピールポイントについて教えてください。
平尾:上地流の空手は沖縄の伝統空手と言われているもので、オリンピックで競技されるようなスポーツ空手とは異なる分類になります。
最も特徴的なのは手を開いて受けるという点で、円の力を使います。私は女性で体も大きくないのですが、円の力を使うと相手が男性でもしっかりと捉えることができるという理にかなった技術が体験できます。
子どもたちにも「悪い大人に対抗するときに身を守るためにも使える」と伝えています。競技で勝つというよりも、自分を守る、あるいは自分より弱い人を守るために空手をやりましょうという指導をしています。
また、体の鍛錬も重視しており、呼吸の使い方や筋肉の締め方なども体格に応じて教えています。こういった呼吸法は健康法としても効果があり、筋肉の使い方を学ぶことで身を守る技術にもつながります。
花開く瞬間を信じて個性を尊重する指導
ー 生徒に指導する際に、特に意識していることや方針などを教えてください。
平尾:子どもたちはみな天才だと思っていて、花開く時期はそれぞれ違います。今できていなくても、いつか必ずできるようになるという信念を持って、秘密の種を育てているつもりで接しています。
空手は手や足、呼吸など様々な要素を同時に意識しなければならず、どれかに集中すると他が疎かになってしまうという難しさがあります。
苦手意識を持たせないように指導し、突然できるようになることもあるのでその瞬間を信じて取り組んでいます。
大人の指導では、思考の柔軟性を重視しています。頭が硬いと体も硬くなるため、思い込みを取り除き、柔軟な気持ちで稽古に臨めるよう意識しています。
思考が先行してしまう方には、丁寧に話をしながら意識を変えていくことを心がけています。
通いやすい月謝設定と段階的な稽古内容
ー 教室で提供しているコースやプランについてお伺いさせてください。
平尾:子どもも大人も一緒で、月会費は1人3,000円となっています。小さい子どもは集中力が持たないので約1時間の稽古となります。
6級以上のクラスでは稽古メニューが増え、帯の段階に応じて終了時間が変わります。黒帯の方は2時間ほど稽古することもあります。
稽古内容は準備運動から始まり、空手の基本技術や約束組手(決められたパターンでの対人練習)を行います。6級以上になると防具をつけての自由組手も行います。
藤沢道場と鵠沼道場は異なる曜日に開催しているので、時間に余裕がある方は両方参加することも可能です。
多様な指導スタイルでメリハリのある稽古を
ー 今後、教室としてより強化していきたい部分や取り組んでいきたいことがあれば教えてください。
平尾:指導者として、日によって異なるアプローチを取り入れていきたいと考えています。
ゆったりと説明しながら穏やかに進める日もあれば、思い切り汗をかくような稽古をする日もあるなど、メリハリをつけて取り組んでいきたいです。
ー 最後に、この記事をご覧の方に向けたメッセージをお願いします。
平尾:沖縄の上地流は本来「一撃必殺」と言われ、一部では「怖い空手」と思われている部分もありますが、それを健康法として活用でき、体格が小さくても実践できる武術です。
最初は敷居が高いと感じる方もいるかもしれませんが、それぞれの体格や個性に合わせて稽古できますので、ぜひ一度見学に来ていただければと思います。