お酒を飲みながら絵が描ける?夜まで営業、仕事帰りも通える東京の異色絵画教室『アトリエ絵楽』が築く新しいコミュニティの形

平日の夜、仕事帰りのサラリーマンが画材を手に取り、時にはお酒を飲みながら絵を描いています。東京都内にある「アトリエ絵楽」は、従来の絵画教室の枠を超えた「みんなのアトリエ」として人気を集めています。画材はすべて無料、通い放題で月額8,000円という料金設定も、多くの人を惹きつける理由の一つです。開講から12年、絵を描く喜びを伝え続けるこの教室の取り組みについて、主宰の田中さんにお話を伺いました。

サービス概要

ーまずは絵楽様の概要について教えていただけますでしょうか?

田中さん:当アトリエは、年齢制限を設けず、実に幅広い年齢層の生徒さんにご利用いただいています。「東京で最も敷居の低い絵画教室」を謳っているのですが、これは単なるキャッチフレーズではありません。

絵を描くことの敷居を可能な限り下げ、より多くの方に絵を描く楽しさを知っていただきたいという思いから、このような料金設定にしています。

特に印象的なのは、美術館などで絵を観ることは好きなのに、子供の頃に学校の先生から「絵が下手」と言われて、それ以来絵筆を持つことをためらってきた方などが予想外に多くいらっしゃることです。そういった方々にも、気軽に絵を描く機会を提供したいと考えています。

設立の経緯

ー教室を開設されたきっかけについて、詳しくお聞かせください。

田中さん:私は元々フリーのグラフィックデザイナーとして仕事をしていました。ある時、所属していたコミュニティで絵を描く会を開催したところ、予想以上に多くの方が「絵を描いてみたい」という興味を持っていることに気付きました。

最初は公園でスケッチ会を開催していたのですが、天候に左右されることが多く、特に雨天時の対応に困っていました。そこで、「天候に関係なく絵が描ける場所があれば」という思いから、屋内スペースの確保を考え教室を設立。当初はグラフィックデザイナーの仕事と並行しての運営でしたが、徐々に教室としての形が整っていきました。

特徴とアピールポイント

ー絵楽様の特徴的な点について、具体的に教えていただけますでしょうか?

田中さん:最大の特徴は「自由さ」です。生徒さんが好きな時に来て、好きな時に帰れる。この自由な雰囲気が、多くの方から支持されています。さらに特徴的なのは、夜の部ではお酒を飲みながら絵を描くことができる点です。

この自由な雰囲気から、自然とコミュニティが形成されていきました。開講から12年が経ちましたが、その間に当教室がきっかけで出会い、結婚された方が3組もいらっしゃいます。単なる絵画教室を超えて、人と人とが繋がる場所にもなっているのです。

また、美大や美術高校受験などの指導もやっており、これまでの合格率は90%を超えています。小学生の頃から通い始め、見事美大に合格を果たした生徒さんもいらっしゃいます。一般的な予備校と比較すると、年間の費用が5-6分の1程度で済んでしまうのは魅力の一つですが、予備校化することは望んでいません。あくまでも、絵を描くことを楽しむ場所としての本質を大切にしています。

生徒指導の工夫

ー生徒さんとのコミュニケーションにおいて、特に意識されていることはありますか?

田中さん:最も重視しているのは、常に生徒目線に立つということです。多くの教室では先生が一方的に教えるスタイルが主流ですが、当教室ではそうではありません。生徒さんの立場に立って、じっくりと話を聞くことを大切にしています。

例えば、ある生徒さんは都内美術大学に通っているのですが、朝5時に起きて1時間半かけて通学したにも関わらず、突然の休講を告げられることがあるそうです。

このように、教える側が上位に立つような関係性は、私たちの目指すものとは異なります。生徒さんそれぞれの目標や悩みに寄り添い、むしろ補助的な立場でサポートすることを心がけています。

コースと料金体系

ー具体的な料金システムについて教えていただけますでしょうか?

田中さん:基本的に、通い放題コースとチケット制の2つのコースをご用意しています。1回の利用料金を2,000円とベースに設定しており、通い放題は(最低、週一回を基本に)8,000円で何度来てもOK。チケットは5回分で10,000円となっています。

趣味を持ちたい生徒さんなどの殆どが通い放題コースですが、仕事上デッサンを身に着けたい生徒さん(デザイン系の仕事に従事されてる方)や美大受験を目指す生徒さんなど、頻繁に通う必要のある方に特に人気があります。

仕事の都合で週1回も通えない忙しい方などは、チケット制を選択されます、生徒さんの状況や目的に応じて、最適なコースを選んでいただけるようにしています。

今後のビジョン

ー今後の展望についてお聞かせください。

田中さん:現在直面している課題の一つが、教室スペースの確保です。ありがたいことに需要は多いのですが、現状の広さでは受け入れられる人数に限界があります。しかし、昨今の家賃高騰の影響もあり、すぐの移転は難しい状況です。

また、この教室のスタイルをより多くの場所に広げていきたいという思いもあります。例えば、当教室に通っていた美大卒業生の中には、現在は一般企業で働いている方も多くいらっしゃいます。そういった方々に、この教室のシステムを活用して新たな教室を開いていただくことも検討しています。

ただし、これらの展開については焦らず、タイミングを見極めながら進めていきたいと考えています。何より大切なのは、一人一人の生徒さんが心地よく絵を描ける環境を維持することだと考えています。

メッセージ

ー最後に、記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

田中さん:「絵を描きたい」という気持ちがあれば、まずは気軽に絵楽を訪ねてきてください。仕事帰りに立ち寄って、リフレッシュを兼ねて絵を描く。そんなちょっとした時間が、日常生活に新しい彩りを加えてくれると信じています。

絵を描くことに対する不必要なコンプレックスや障壁を取り除き、誰もが自由に表現できる場所でありたい。それが私たちの変わらない思いです。1時間でも2時間でも、絵に没頭できる時間を持つことで、きっと新しい発見があるはずです。

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