不登校児童が34万人に上るといわれる今、子どもたちの居場所づくりとキャリア教育の重要性が高まっています。NPO法人アスリードは、中学・高校におけるキャリア教育のサポートからフリースクールの運営まで、多角的な支援を展開。地域企業と連携しながら、子どもたち一人ひとりの可能性を広げる活動を続けています。同法人の武政さんに、支援にかける思いと今後の展望を伺いました。
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NPO法人アスリードの概要
―アスリードの主な活動内容についてお聞かせください。
武政さん:私たちは神奈川県を拠点に10代の若者のキャリア教育支援を行う団体です。事業は大きく分けて3つあります。
1つ目は体験事業で、中学校や高校で行われる職業講話、職場体験などのキャリア教育プログラムの企画・運営・協力企業のコーディネートを行っています。
2つ目はメディア事業で、キャリア教育支援誌「みらい百花」とキャリア教育支援動画「わたしごと」を制作しています。イキイキと働いている大人たちにスポットライトを当て、その仕事に就いた経緯ややりがい、社会的な役割などを取材して、約4万人の中高生に学校を通じてお届けしています。
3つ目は居場所事業です。小学4年から中学3年を対象に、不登校の子どもたちの社会的自立を応援するフリースクール「アスリードSAKURA✿スクール」を2024年9月から横浜市金沢区でスタートさせました。
設立の経緯
ーアスリードを2019年に設立された経緯を教えていただけますか。
武政さん:NPO法人アスリードを設立する前は、新卒で入社した会社で営業職をしていましたが、3年目にうつ症状を発症し半年間休職をしていた時期がありました。
「これが本当に自分のやりたかった仕事なのか、もっと早い時期からいろんな職業を知り、将来について真剣に考えておくべきだった」という後悔と反省があり、次代を担う若者には「何のために働くのか」「自分はどう生きていくのか」について学び、考える機会を提供したいと、若者の未来(あす)をリードするNPO法人アスリードを設立しました。
NPO法人アスリードの特徴と強み
ーアスリードの特徴的な強みについてお聞かせください。
武政さん:最大の強みは、「次代を担う若者を育てたい」という想いを持ち、私たちの活動を支援してくださる会員(個人・地域企業)の皆さんの存在です。
さまざまな業種の100社以上の地域企業が参画してくださっているので、学校や子どもたちのニーズに合った企業や職業をコーディネートすることができます。生徒の通学路にあるような地元の企業に関わっていただくことは、「地域の子どもを地域で育てる」という循環型の社会をつくる第一歩にもつながると感じています。
子どもたちとの関わり方
ー子どもたちと関わる際に意識されていることはありますか?
武政さん:否定をせず承認することを特に重視しており、子どもたちには、親や先生でもない第3の大人と出会う機会をつくることで、新たな価値観や視野を広げてもらいたいと考えています。
例えば、普段ふれあうことのないイキイキと働いている大人に、自分の考えたアイデアや意見を「それは面白そうだね」と承認してもらえるだけでも自信になりますし、「じゃあやってみようかな!」とチャレンジ精神が養われ、結果的に子どもたちの自己肯定感を高めることにも繋がると考えています。
フリースクールと今後の展望
ーフリースクール開設の経緯と、今後の展望についてお聞かせください。
武政さん:フリースクール開設以前は、定時制高校の食堂をお借りして「校内居場所カフェ」を運営し、退学予防と進路未決定者の支援を6年間行っていました。そこに通う生徒の中には小中学生時代に不登校経験のある生徒も多く、フリースクールの重要性を強く認識しました。また現在、不登校児童数は34万人と言われていることもNPO法人アスリードとして取り組むべき課題と考えた一因です。
現在、校内居場所カフェは別のNPOにバトンを渡し、これまで培ってきたキャリア教育と居場所支援のノウハウを掛け合わせたフリースクール「アスリードSAKURA✿スクール」を立ち上げました。
今後は、一人でも多くの若者が通えるよう多様な利用プランの充実や、生徒一人1台のパソコンが持てるよう環境の整えたりと、アスリードSAKURA✿スクールがもっと自分らしくいられる場所にしていきたいと考えています。
不登校でお悩みの保護者様のなかには仕事を辞めざるを得ないご家庭もあり、生活が苦しくなっていくというケースが増えているというニュースも見聞きするようになりました。地域には公的なフリースペースもありますので、そういった場所も含めて、お子様に合った居場所を見つけていただければと思います。様々な選択肢の中から、その子が自分らしくいられる場所が見つかることを願っています。
支援の方法
ー支援を検討されている方へのメッセージをお願いします。
武政さん:NPO法人アスリードではどなたでもご参画できるよう、様々な関わり方をご用意しています。「業界を知って欲しい、仕事の魅力を若者へ伝えたい」という企業様は若者みらいサポーター(賛助会員)。「アスリードの企画・運営に携わりたい」という個人の方はスクラムメンバー(正会員)。
「活動には参加できないけど、応援したい」という方はマンスリーサポーター。「スキル(キャリアコンサルタント等)を活かして若者を支援したい」という方はボランティアサポーター。若者たちを応援してくれる仲間を随時募集しています。
また個人や企業からのご寄付も有難く活動に使わせていただいております。
アスリードホームページからお気軽にお問い合わせください。
「やりたいことが見つからない」「未来に希望が持てない」10代の若者がこれからの時代を力強く、自分らしく生き抜いていくために。アスリードは、若者のみらい応援団です。