「基本があってこそ個性が活きる」俊惠書画研究会が伝える、伝統と革新の水墨画

水墨画という言葉は広く知られているものの、実際には敷居が高く感じる方も多いのではないでしょうか。

俊惠書画研究会の王俊宇瀟先生は、日中両国の伝統的な水墨画の技法を大切にしながら、現代に合わせた指導法で生徒一人一人の個性を引き出す教室を運営されています。

10代から70代まで幅広い年齢層の生徒が学ぶ教室で、水墨画の新しい可能性を追求する王先生にお話を伺いました。

教室概要

ー どういった方を対象にどのような指導をされていますか?

王さん:基本的に社会人、特に60代から70代の方が多いですが、10代から20代、30代の学生も通っています。

教室では水墨画の指導を行っており、ほとんどの生徒さんが初心者からのスタートです。

中には以前に水墨画を習っていて、様々な事情で中断された後、再び学び始める方もいらっしゃいます。

設立の経緯・きっかけ

ー ご自身がこの教室を始められたきっかけについて教えていただけますか?

王さん:私は小さい頃から中国の伝統的な方法で絵を学び、その後日本画も勉強させていただきました。

水墨画という言葉自体は広く知られていますが、日中両国の違いや、本当の水墨画の面白さが十分に理解されていないと感じていました。

時には誤解されやすい部分もあり、より多くの方に本質的な魅力を知っていただきたいという想いから教室をスタートしました。

特徴やアピールポイント

ー この教室の特徴やアピールポイントについて教えていただけますか?

王さん:当教室では伝統的な基本技法を非常に重視しています。

基本の習得には時間がかかり、慣れるまでは練習が必要ですが、その上で実際に絵を描く際には、生徒さんのアイデアや個性を大切にしています。

実は、アイデアや個性は教えてはいけないものなんです。

私が教えられるのはあくまでも基本であり、その基本をそれぞれの方がどのように運用していくかをサポートする立場に徹しています。

基本があってこそ、個性が生きてくるのです。

生徒に指導する際に意識していること

ー 生徒さんにレッスンされる際に大切にしていることや意識していることはありますか?

王さん:10人いれば10通りの個性があります。

同じものを描いても、早く描く方とゆっくり描く方がいます。

また、細かいタッチの方もいれば、大胆な書き方をする方もいます。

そういった個性を一律に扱うのではなく、それぞれの特徴を活かす指導を心がけています。

例えば、あまりに丁寧すぎる方には「家でお酒を一口飲んでから書いた方がより自由になれますよ」と冗談を交えながらアドバイスすることもあります。

また、初心者の方には少しでも良くなったところを褒めて励まし、長く続けている方にはより細かい部分まで指導するなど、人によって指導方法や注意点を変えています。

基本は同じでも、その伝え方は生徒さんによって変えていく必要があるのです。

コースや料金体系について

ー 実際に提供しているレッスンのプランについて教えてください。

王さん:月1回、3時間のレッスンを基本としています。

月2回1時間半ではなく、まとめて3時間行う理由は、通学時間の節約になることと、より複雑な技法を丁寧に指導できるためです。

レッスンの内容は、生徒さんのレベルによって大きく変わります。

ベテランの方のクラスでは、私が実際に描くことは少なく、説明を主体とした指導を行います。

一方、新しい教室や初心者の方には、筆の持ち方から墨のつけ方まで、基本的な部分を実演しながら細かく指導していきます。

3時間という時間設定により、家では指導が難しい部分もしっかりとケアでき、また複雑な技法のデモンストレーションも可能になります。

今後のビジョン・展望

ー 教室として今後強化したい点や、新たに取り入れたいと考えていることはありますか?

王さん:水墨画の基本を教えることはもちろん大切ですが、それを通じて生活の一部として楽しんでいただきたいと考えています。

人生をより豊かにする選択肢の一つとして水墨画があれば良いですね。

その実現のために、毎月の稽古で模写を取り入ています。

模写を通じて、私以外の作家の技法に触れることができ、また実際に描くことで知識だけでなく体験として吸収することができます。

これは美術史の学習にもつながります。

また、最近は日本の水墨画の要素もより多く取り入れています。

日本の方々に教えている立場として、私自身も日本画を改めて勉強し直し、日本の水墨画の良さを再発見しています。

これは今後もさらに強化していきたい点です。

水墨画の魅力

ー 先生にとって、水墨画の魅力はどういったところでしょうか?

王さん:水墨画の大きな魅力は、とても簡単に一人でできることです。

外に出かけると様々なものを見て、どう描くかというインスピレーションを得ることができます。

つまり、家にいても楽しめるし、外に出ても楽しめる。

一人でも楽しめますし、仲間と一緒に楽しむこともできます。

非常にシンプルで気軽に始められるのが水墨画の特徴です。

記事を読んでいる方へのメッセージ

ー 最後に、ご教室に興味を持たれた方にメッセージをお願いできますか?

王さん:水墨画は意外と敷居が高く、難しそうに思われがちです。

確かに本当に上達するには時間がかかります。

スポーツと同じように、1週間や1年で急激に上手くなることは難しいですが、徐々に積み重ねていけば、必ず慣れてきます。

誰でも上手に描けるようになりますが、それは通過点に過ぎません。

本当の絵描きとして個性的な作品を生み出すことは、また違った難しさがあります。

ただし、基本的な上達はコツコツと続ければ必ず実現できます。

ぜひ気軽に水墨画の世界に触れてみてください。