障がい者から高齢者まで、すべての人が楽しめるレクリエーションプログラムを提供する「福岡県レクリエーション協会」。
戦後から続く活動の中で、時代のニーズに合わせて進化を続けている同協会の取り組みと、レクリエーションが持つ可能性について、事務理事の緒方初美さんにお話を伺いました。
全世代を対象とした包括的な活動展開
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ー どのような方を対象に、どういった活動を行っていらっしゃるのでしょうか?
緒方さん:全年齢の方を対象に、障がいのある方も含めて子どもさんから高齢者まで、人々の心を元気にして仲間作りや健康づくり、体力作りを推進する応援をするために、様々なレクリエーション活動を行っています。
それはスポーツであったり、一般的なレクリエーションゲーム、音楽などを通じた活動です。
また、そういった活動を推進する指導者の育成も必要となるため、指導者養成のための研修会も実施しています。
レクリエーション協会主催の活動以外にも、各自治体や県からの依頼を受けて、高齢者を対象としたレクリエーション広場や子ども向けのイベント、ボランティアリーダー育成講習会への講師派遣なども行っています。
戦後の心の復興から現代の共生社会づくりへ
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ー このような活動を提供するようになった経緯やきっかけについてお聞かせください。
緒方さん:「福岡県レクリエーション協会」は全国組織の一部として長い歴史を持っており、戦後、人々の心が弱っていた時期に、人々の心を元気にするための活動として始まりました。
子どもたちを励ますためのキャンプ活動や野外活動、働く大人たちの心を癒やすための企業レクリエーション、学校での情操教育の一環としての学校レクリエーションなど、時代とともにその形を変えながら発展してきました。
企業レクリエーションでは、宿泊を伴う遊びやバレーボール大会、バスハイク、フォークダンスなどを実施。
学校では、異年齢交流を促進するための活動や、子供会での楽しみ会など、コミュニティづくりの核として機能してきました。
近年では、高齢者の方々がより元気になるための高齢者サロンでの活動や、介護施設での生きがいづくりにも注力しています。
特に医療の発展により、障がいをお持ちの方の長寿化が進む中、誰でも気軽に楽しめるレクリエーションの重要性が増しています。
多様化する社会ニーズへの対応
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ー 長い歴史の中で、特に変化を感じる点はどのようなところでしょうか?
緒方さん:以前は、コミュニティ組織が当たり前のように存在し、レクリエーション活動を行うと大勢の方が自然と集まってくる環境がありました。
当時は種目も限られており、「ドッジボールならみんなができる」「ソフトボールならみんなができる」といった共通認識がありました。
しかし、現在では活動の種類が大幅に増え、より細かな工夫が必要になってきています。
例えば私が知る限り、テニスだけでもバウンドテニスをはじめとして50種類以上存在し、ゴルフ関連でも、グラウンドゴルフなど多くの種目があります。
これは、それぞれの地域や場所、参加者の特性に合わせたアレンジが生まれているためです。
また、子どもたちの運動能力にも変化が見られ、ボール投げや走ることが苦手な子どもが増えているため、プログラムの工夫が必要になっています。
高齢者層においても、以前は74、75歳までが対象でしたが、現在は100歳までを視野に入れる必要があり、75歳と95歳では体の状態や健康状態が大きく異なることへの配慮が求められています。
段階的な学びで実現する共生社会
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ー 活動において特に大切にされていることは何でしょうか?
緒方さん:第一に、参加者の皆さんがその時間を楽しみ、心が元気になることを大切にしています。
心が元気になれば体も元気になり、一人遊びではなく皆で楽しむことで、仲間の大切さを実感できます。
活動の最後には、共に過ごした仲間たちへの感謝の気持ちを持って終われるような場面作りを心がけています。
当協会の強みは、一つのプログラムの中で、小さな子どもからお年寄りまでが一緒にチームとなって楽しむことができる点です。
バレーボールのような練習が必要な競技でも、ルールを段階的に導入していきます。
まず基本的なルールを覚え、その段階でゲームを楽しみ、徐々に新しいルールを追加していくことで、運動が苦手な方や集団活動が苦手な方でも、少しずつ楽しみながら参加できるように工夫しています。
心の支援者としての新たな挑戦
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ー 今後の展望についてお聞かせください。
緒方さん:私たちは単なる遊びの提供者ではなく、心を元気にし、仲間作りのきっかけを生み出す内面の支援者としての認知を高めていきたいと考えています。
特に、発達障がいのお子さんたちが集団行動を楽しめるような支援や、人見知りが激しい新入社員・大学新入生の研修など、人と人との距離を縮める活動の場を広げていきたいと考えています。
皆さんが本当に元気になって楽しいと思える、そんな仲間づくりを応援する活動を今後も推進していきます。
ぜひ私たちと一緒に、人々を楽しくさせる支援者として活動していただければと思います。