神奈川県松田町で24年間にわたり、青少年育成に取り組んできた市村自然塾関東。小学4年生から中学2年生を対象に、無農薬での農作業や自然観察を通じて、子どもたちの成長をサポートしています。卒塾生は1000人を超え、リコーグループの全面的な支援のもと、すべての活動を無料で提供。リアルな体験と共同生活を通じて、次世代を担う青少年の育成に力を注ぐ活動についてインタビューしました!
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活動概要と特徴的なプログラム
ー市村自然塾関東様では、具体的にどのような活動を行っているのでしょうか。
村山さん:小学4年生から中学2年生までの男女を対象に自然体験ができる塾を運営しています。場所は神奈川県松田町にあり、そこまで通える子どもたちを受け入れています。活動は3月から11月までの9か月間で、全18ステージを男女別々に実施。1回のステージは1泊2日が基本で、宿舎の収容人数の制約から、男子週と女子週を交互に設定し、月に2ステージずつ行っています。
活動の柱は主に二つあり、一つは無農薬・有機栽培による農作業です。子どもたちはチームごとに区画を持ち、どんな野菜を作るか、どんな畑にしたいかを計画して作業を進めます。もう一つは自然観察で、近くの山でのハイキングや川遊び、ホタル観察などを行っています。
また、共同生活も重要な活動の一つです。子どもたちは野外での炊飯や、食事の配膳、片付けなどを自主的に行います。1ステージあたりの参加人数は男女それぞれ20人弱で、5-6人程度のチームに分かれて活動しています。
共同生活を通じた成長支援
ー宿泊を伴う活動ならではの特徴はありますか。
村山さん:宿泊型の活動では、共同生活を通じた学びを重視しています。例えば子どもたちは野外での炊飯や、食事の配膳、片付け、夜の時間には、その地域に生息するスズメバチやマムシなどの危険生物についての講座や、活動の振り返りを行う作文活動なども実施しています。
年間6回は保護者の参加機会も設けており、子どもたちが栽培している野菜の紹介や活動報告を行っています。また、夏休み期間と最終ステージの年2回は2泊3日の活動も実施し、より深い体験の機会を提供しています。
リコーグループとの関わりと設立経緯
ーこの活動を始められたきっかけについて教えていただけますでしょうか。
村山さん:当塾は2001年に設立され、今年で24期目を迎えます。株式会社リコーの創業者である市村清氏の生誕100周年を記念した事業としてスタートしました。当時のリコーの会長・浜田さんが、政府の青少年育成活動に参加する中で、この年代の子どもたちに自然体験や異年齢交流の機会を提供することが、将来の成長に大きく寄与すると考えたことが当事業設立のきっかけです。
政府での実現が難しい中、リコーグループとして独自に事業を立ち上げることを決意し、当時は設備も何もない状態から、周辺の土地を借りて農園を確保し、活動を開始しました。以来、一貫して青少年育成に力を入れてきました。
無料で提供される充実した活動内容
ー他の自然体験活動との違いについて、お聞かせください。
村山さん:当塾の最大の特徴は、活動が無料である点です。世の中には様々な農業体験や自然体験の講座がありますが、当塾では交通費と保険料以外の活動費、宿泊費、食費はすべてリコーグループが負担しています。これにより、経済的な理由で参加を躊躇することなく、多くの子どもたちに機会を提供できています。
また、1泊2日の宿泊形式で実施していることも大きな特徴です。宿泊することで子どもたち同士の距離感が急速に縮まります。最初は打ち解けられない子どもたちも、共に食事をし、お風呂に入り、寝食を共にすることで、自然と打ち解けていきます。時には最初のうちは喧嘩をすることもありますが、共同生活を通じて互いを理解し、認め合える関係が築かれていきます。
卒塾生との絆を深める独自の取り組み
ー卒塾後のフォローアップについて、具体的な取り組みを教えていただけますでしょうか。
村山さん:24年という長い活動の中で、「大地の会」という卒塾生の組織を立ち上げ、現在では卒塾生が1000人を超えるまでになりました。卒塾生は月1回程度集まり、農園活動や夏キャンプなどの独自プログラムを実施しています。
特徴的な取り組みとして、卒塾後1年、5年、10年という節目の年に集まる機会を設けています。卒塾1年後の集まりには7-8割の卒塾生が参加し、再び一緒に活動したり近況を報告し合ったりしています。5年後、10年後と時間が経つにつれて参加者は減少しますが、それでも定期的に集まる機会を設けることで、卒塾生同士の絆を維持・強化しています。
企業ボランティアによる支援体制
ーリコーグループの社員の方々は、具体的にどのように関わっていらっしゃいますか。
市川さん:リコーグループとの一体的な運営は当塾の大きな特徴です。昨年は延べ250名の社員がボランティアとして参加し、活動を支援しました。グループ各社からも定期的にボランティアが参加し、月に1回程度、20名以上の規模で農園の整備や農作業の支援を行っています。
これは単なる支援に留まらず、社員自身の働きがいや誇りにもつながっています。子どもたちの成長に貢献できることで、社員も大きなやりがいを感じており、支援する側とされる側の win-win の関係が築けています。
長期的な人材育成を目指して
ー今後の活動の展望についてお聞かせください。
村山さん:現役塾生に対する活動は、基本的なプログラムを継続しながら改良を重ねていく予定です。特に注力したいのは卒塾生との繋がりの強化です。私たちは、青少年育成は中学生で終わるものではないと考えています。社会人になってからも活躍できる人材を育てることが理想です。
そのため、高校生や大学生向けには、リコーグループ各社での企業訪問やワークショップなども実施しています。一般の高校生や大学生では経験できない企業訪問の機会を提供し、将来の進路選択にも役立ててもらっています。各年代にとって市村自然塾が意味のある存在であり続けられるよう、活動内容を工夫しています。
メッセージ
ー最後に、市村自然塾関東様に興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。
村山さん:当塾の良さは、実際に見学に来ていただくことで必ず理解していただけると確信しています。参加に年齢以外の制限は設けていませんので、興味をお持ちの方はホームページからお気軽にご連絡ください。
斉藤さん:当塾は神奈川県松田町という自然豊かな環境で、かけがえのない体験ができる場所です。ぜひ一度足を運んでいただき、この恵まれた環境での活動を体験していただければと思います。24年という長い歴史の中で培ってきた青少年育成のノウハウを、より多くの方々と共有できることを楽しみにしています。