習志野市で43年の歴史を刻むならしの子ども劇場。芸術文化体験事業、体験事業、子育て支援事業の3つを柱に、子どもたちの豊かな成長をサポートしています。プロの劇団による公演から、子どもたち自身が企画する交流会まで、その活動は多岐にわたります。今回は「子どもを真ん中に」という理念のもと、地域に寄り添い続ける当団体の思いについて理事長の高岡さん、副理事長の菅井さん、事務局長の横山さんにインタビューしました!
ならしの子ども劇場の歴史と3つの事業柱
ーならしの子ども劇場様の事業概要について教えてください。
高岡さん:私たちは、子どもたちの豊かな成長を支えるため、3つの事業を展開しています。
芸術文化体験事業
高岡さん:最も重点を置いているのが芸術文化体験事業です。地域にプロの劇団を招き、地元で親子鑑賞体験を行っているのですが、人形劇、舞台劇、音楽劇など様々なジャンルの公演を実施しています。
特に、地域で良質な文化体験ができるという点を大切にしており、親子連れが遠くまで行かなくても質の高い芸術文化に触れられる機会を提供しています。
年間3回程度の公演を実施し、SNSやフェイスブック、習志野市の広報誌などで告知を行っています。
またあわせて、市内小学校のご協力をいただき全校児童へのチラシ配布、市内公民館での置きチラシ、地元商店などにご協力いただいてのポスター掲示等も実施しています。
体験事業
高岡さん:体験事業では、会員限定の活動として夏の交流会を実施しています。小学4年生から大学生、一部社会人まで参加し、富士吉田にある習志野市の施設で2泊3日を過ごします。
特徴的なのは、子どもたち自身が活動計画を立てる点です。参加者をグループに分け、各グループで2時間程度の企画を考案します。
高校生が中心となって企画を考えながらも、小学生の意見も取り入れ、お互いの考えを伝え合い、聞き合う場となっています。このような異年齢交流を通じて、自分らしく過ごせる場所づくりを重視しています。
子育て支援事業
高岡さん:子育て支援事業では、幼児親子向けの鑑賞活動や子育てに関する講演会を開催しています。
特に、子どもの成長に合わせた多様な体験の機会を提供することを心がけており、参加者のニーズに応じて不定期に様々な企画を実施しています。
40年以上続く地域に根差した活動
ー活動を始められた経緯について教えてください。
菅井さん:私も30年以上関わっていますが、創業は私ではなく前の世代の方々です。元々は、母親と若者たちで立ち上げた九州発祥の子ども劇場活動が基盤となっています。
子どもたちが育つ環境を良くしていこう、生の舞台を見て想像力を豊かにしてもらいたい、子どもの育ちを大事にしていきたいという思いから始まりました。
習志野での活動は、習志野文化ホールの開設がきっかけとなりました。施設ができることで劇団を招聘できるようになり、活動が本格化。その後、千葉でNPO活動が広がった時期に法人化したという経緯になります。
子どもを中心に据えた独自の強み
ーならしの子ども劇場さんの強みについて教えてください。
高岡さん:当活動の大きな特徴は、一人ではできないことを皆で実現できる点です。子どもたちに様々な体験をさせたいという思いを持つ保護者が多くいますが、個人では実現が難しいものです。
しかし、やってみたいという声を上げることで、周囲から「面白そうだからやってみよう」「こうすれば実現できるのでは」といったアイデアが集まり、素晴らしい企画が実現していきます。この過程で、子どもだけでなく大人たちも貴重な体験を得ることができています。
菅井さん:私たちが最も大切にしているのは、「子どもを真ん中に」という理念です。この考え方は50年前の発足当時から変わらず、子どもの権利を守り、子どもを中心に置いて物事を考えていく姿勢を貫いてきました。
子どもの権利の尊重や子どもを中心とした活動づくりは、当時から先進的な考え方でしたが、それを実践し続けてきたことが私たちの最大の強みです。
横山さん:私たちの活動の特徴は、子どもと大人が共に成長できる場を提供していることです。まず、子どもたちの考えに寄り添い、何を考えているのかを理解しようとする姿勢を大切にしています。
加えて、子育て中の親にとっても重要な場となっています。子育ては時に孤独で困難を感じることもありますが、ここでは仲間と一緒に子育てができるため、自分一人では乗り越えられない壁も、みんなで話を聞き合うことで解決の糸口が見つかり、結果として楽しく子育てができています。
また、子どもたちにとっては、自分で企画を立て、やりたいことを実現する貴重な機会となっています。特に重要なのは、子どもたちのやりたいことの実現に向けて寄り添う大人がいることです。これは、子どもたちの自主性と創造性を育む上で非常に重要な要素となっています。
参加しやすい料金設定と多様な活動機会
ー各事業への参加にかかる費用を教えてください。
高岡さん:芸術文化体験事業では、プロの劇団を招待し会場費なども必要となるため、一般の方の場合、子ども料金と大人料金を設定しており、2,000円から3,000円程度となっています。ただし料金は公演内容によって異なります。
体験事業についても、内容によって参加費が変動します。例えば、私たちが過去10年以上続けている「子どものまち」という企画では、子どもたちが1日町民となって活動する体験を提供していますが、その参加費は1人800円程度です。
このように、企画の内容や実施時間、必要な材料費などによって、それぞれ適切な参加費を設定させていただいています。
これからの展望と地域との連携
ー今後の展望についてお聞かせください。
高岡さん:現在、3歳からの会員制で運営していますが、幼児の会員が少ない状況です。芸術文化体験において幼児期が非常に重要な時期であることから、今後は幼児向けの事業に力を入れていく予定です。NPO法人として、地域の課題を解決し、親子に良質な芸術文化体験を届ける機会を作っていきたいと考えています。
菅井さん:また、この活動の意義に賛同してくださる方を増やしていきたいと考えています。そのためにSNSでの情報発信を強化し、現在ホームページのリニューアルも進めています。
メッセージ
ー最後に、活動への参加を検討されている方へメッセージをお願いします。
菅井さん:子どもたちは、私たち社会の宝であり、未来を創造していく大切な存在です。私たちならしの子ども劇場は、この43年間、子どもたちが豊かに育つ環境づくりに力を注いできました。活動の中で、プロの芸術体験を通じて想像力を育み、異年齢交流を通じて社会性を養い、そして親子でともに成長できる場を提供してきました。
子育ては時に孤独を感じ、困難に直面することもあります。しかし、同じ想いを持つ仲間と出会い、支え合うことで、その困難も乗り越えられると私たちは信じています。子どもたちの笑顔のために、私たちは地域に根ざした活動を、これからも続けていきます。
ぜひ、お子さまの成長を一緒に見守り、支え合える仲間として、私たちの活動にご参加ください。また、子どもたちの健やかな成長を願う方々には、私たちの活動の趣旨にご賛同いただき、ご支援いただけますと幸いです。
ならしの子ども劇場は、これからも「子どもを真ん中に」という理念のもと、次世代を担う子どもたちの豊かな育ちを支えてまいります。