受託開発からプログラミングスクールへ―フィヨルドブートキャンプが目指す”現場目線”の教育とは

プログラミングスクールの先駆者として知られるフィヨルドブートキャンプ。2007年の創業以来、独自の教育メソッドで多くのプログラマーを育成してきました。

「答えを教えない」という特徴的なアプローチで、卒業後も自走できるエンジニアの育成に成功を収めています。今回は同社の町田氏に、プログラミング教育に対する哲学や、AI時代における展望について詳しくお話を伺いました。

フィヨルドブートキャンプの概要とサービス内容

ーフィヨルドブートキャンプの概要とサービスについて教えてください。

町田氏:フィヨルドブートキャンプは、オンラインのプログラミングスクールです。対象者は特に絞っていませんが、プログラマーとしての転職を目指す20代後半から30代前半の方が多いのが特徴です。

サービスの特徴は、自主学習型のプログラミング学習システムを提供していることです。入会すると、オンラインの学習システムにログインでき、カリキュラムに沿って最初から終わりまで学習を進めていきます。

私たちのこだわりは、就職後も自走できる人材を育成することです。実際のプログラミング学習において、技術を勉強する際となるべく近い形で学べるよう教材を用意しています。プログラミングの公式サイトや信用のあるソースから学ぶ方法自体を身につけてもらうことを重視しています。

フィヨルドブートキャンプの歴史と設立背景

ーフィヨルドブートキャンプの設立に至った経緯を教えていただけますか?

町田氏:当社の歴史は2007年にまで遡ります。元々はエンジニアとデザイナーの2人で受託開発を行う会社でした。10年以上の実績を重ねる中、新しい挑戦としてインターン生の募集をしたのが始まりです。

インターン生にプログラミングを教える過程で独自のカリキュラムを作成し、そのインターン生たちが様々な企業で活躍するようになりました。その評判が業界で広がり、特にRuby on Railsのイベントでの発表をきっかけに、企業から卒業生の紹介依頼を受けるようになったことが、ビジネス化のきっかけとなりました。

カリキュラムの作成は2009年に始まり、フィヨルドブートキャンプとしての事業化は2019年5月からスタートしました。

他のプログラミングスクールとの違いと強み

ー他のプログラミングスクールとの違いについて、どのような特徴がありますか?

町田氏:最大の強みは、現場目線へのこだわりです。実際の仕事で通用するスキルを教えられるのは、現役のプログラマーだけだと考えているため、メンターは全員プロのプログラマーで構成しています。ビジネス面では卒業生をアルバイトとして採用する方が効率的ですが、あえてその選択はしていません。

また、単なる操作方法ではなく、その背景にある基礎的な理解を重視しています。コマンドの使い方を教えるだけでなく、その裏で何が起きているのかを理解できるよう、基礎的な部分にも時間をかけて指導しています。

学習方法とメンターによるサポート体制

ー具体的な学習方法とメンターのサポート体制について教えてください。

町田氏:学習は基本的に自習形式で進めていきます。カリキュラムに沿って学習を進め、提出課題をメンターがレビューする形式です。レビューは通常、一度では完了せず、何度もやり取りを重ねていきます。

特徴的なのは、答えを直接教えないアプローチです。次の一手だけをヒントとして提供し、自分で考えて進められるよう導いていきます。例えば「ここを調べてみよう」「ここにヒントがある」といった形で、学習者が止まることなく前に進めるようサポートしています。

コース構成と料金体系

ーコース内容と料金について詳しく教えていただけますか?

町田氏:現在、「Railsエンジニアコース」と「フロントエンドエンジニアコース」の2つのコースを提供しています。

Railsエンジニアコースでは、Rubyというプログラミング言語を使用したWebアプリケーションフレームワークを学びます。Twitterやレシピ投稿サイトのような一般的なWebサービスの開発スキルを習得できます。

フロントエンドコースは、JavaScript、TypeScriptを使い、ユーザーが直接触れる画面部分の開発を中心に学びます。クリックによる動作やページ遷移のないコンテンツの切り替えなど、インタラクティブな要素の実装に焦点を当てています。

両コースは別々のカリキュラムですが、重複する部分もあるため、一方のコースを修了すれば、もう一方もスムーズに学習を進められます。料金は各コース月額29,800円で、3日間の無料お試し期間もあります。

プログラミング学習とAI時代への展望

ーAI時代におけるプログラミング学習の意義についてどのようにお考えですか?

町田氏:プログラミング言語の選択については、言語自体よりも「何を作れるようになりたいか」が重要だと考えています。どの言語でも、例えばRailsを使えばWebサービスが作れるように、目的に応じた需要があります。

AIによる影響については、確かに私たちもAIを活用して業務の効率化を図っています。しかし、AIによって仕事が完全に奪われるとは考えていません。プログラミング自体が楽しい活動であり、AIが台頭してきたからといって学ぶ価値が失われることはないと信じています。

今後のビジョンと女性エンジニアの育成

ーフィヨルドブートキャンプの今後の展望についてお聞かせください。

町田氏:直近の課題としては、新設したフロントエンドエンジニアコースの更なる質の向上があります。

また、女性エンジニアの育成にも注力したいと考えています。現在、IT業界では女性エンジニアが少ない状況が続いているため、企業からの支援を受けて奨学金制度を設立するなど、女性がプログラミングを学びやすい環境づくりを目指しています。

既に多くの企業が女性エンジニアの育成に関心を示しており、様々な支援の可能性を探っているところです。

プログラミング学習を検討している方へのメッセージ

ー最後に、プログラミング学習を検討されている方へメッセージをお願いします。

町田氏:私たちは、現場のプログラマーとして「こんな教育を受けられたら良かったのに」と思う理想的な学習環境の実現を目指しており、商業的な成功よりも、優秀なプログラマーの育成を第一に考えています。

また、プログラマーコミュニティからの強い支持を受けていることも大きな特徴です。このコミュニティからの期待に応えるため、安易な商業主義に走ることなく、質の高い教育を提供し続けることをお約束します。

3日間の無料トライアル期間もご用意していますので、ぜひ一度体験していただければと思います。