卵の黄身と金箔が織りなす至宝の技法 ー 美しさと華やかさ「テンペラ画」を描く

中世ヨーロッパの教会を彩った「テンペラ画」の伝統技法を、現代に伝えるむらいゆうこ先生。日本では数少ないテンペラ画教室で、荘厳な美しさを持つ作品作りの指導に取り組んでいます。今回はテンペラ画教室「美しさと華やかさテンペラ画を描く」の特徴や取り組みについて主宰のむらい先生にインタビューしました。

サービス概要

ー現在どのような方を対象に、どのような指導をされているのでしょうか?

むらい先生:読売カルチャーにて、社会人を対象としたテンペラ画教室を運営しています。テンペラ画とは、中世ヨーロッパで使われていた絵画技法で、卵の黄身と顔料を混ぜて描く古典的な技法です。月2回、各2時間半のレッスンを行っており、初心者の方でも気軽に始められるよう、最初の作品で使用する画材は全てこちらでセットを用意しています。

生徒さんには水彩画や油絵の経験者も多く、新しい技法を学びたいという方が中心です。主に中世ヨーロッパの宗教画の模写を通じて、テンペラ画の技法を学んでいただいています。

設立の経緯

ー教室を始められたきっかけを教えていただけますか?

むらい先生:私自身、20年ほど田﨑裕子先生のもとでテンペラ画を学んできました。日本でテンペラ画を教える教室が非常に少ないこと、そして約50年前にヨーロッパで学んだ先達の先生方が、日本の気候風土に合わせて確立してきた技術を、次世代に伝えていきたいという思いから、2023年4月に読売カルチャーで教室を開講しました。

特徴とアピールポイント

ーテンペラ画ならではの特徴や魅力を教えていただけますか?

むらい先生:テンペラ画は、油絵の技法が確立される以前、14-15世紀頃に発展した技術です。現代の既製画材は極力使用せず、中世に近い方法を再現します。

木の板に石膏を何層も塗り、乾燥させた後に研磨して下地を作り、その上に金箔を貼り、絵の具も、顔料の粉と卵の黄身を混ぜて自分で作ります。

最大の特徴は、「手順の絵画」とも呼ばれる明確なマニュアルがあることです。石膏の調合比率から色の重ね方まで、全ての工程に決まりがあり、その通りに進めれば誰でも作品を完成させることができます。料理のレシピのように、手順に従えば確実に作品を仕上げられる点が、初心者の方にも取り組みやすい特徴となっています。

指導方針

ー生徒さんを指導する際に心がけていることはありますか?

むらい先生:基本的にマンツーマン指導で、一人一人の進度に合わせて丁寧に教えています。また、テンペラ画の技法は他の絵画技法の基礎にもなるため、油絵やアクリル画など他の画材で制作される生徒さんにも、自身の作品制作に活かせるようなヒントや応用方法をお伝えしています。

コースと料金体系

ーコース料金体系について教えてください

むらい先生:料金は3ヶ月6回で21,120円となっております。別途維持費として月額2,508円と教材費3,300円が必要です。最初は葉書大の小さな作品から始め、約半年(12回)で完成を目指します。2作目、3作目と進むにつれて大きな作品に挑戦でき、制作期間も1年半から2年ほどかけてじっくり取り組んでいただきます。

今後の展望

ー今後の展望についてお聞かせください。

むらい先生:開講から3年目を迎え、生徒さんたちの好奇心や自主性を大切にしながら、マニュアルの習得から応用へと段階的に自由度を高めていきたいと考えています。また、私自身も西洋カリグラフィーを学ぶなど、テンペラ画に関連する技術の研鑽を重ね、より幅広い作品に対応できるよう指導の質を高めていきたいと思います。

メッセージ

ーテンペラ画に興味を持たれた方へメッセージをお願いします。

むらい先生:テンペラ画の最大の魅力は、金箔の美しさと、誰でも取り組める技法であることです。現代では当たり前になっている既製品の画材を使わず、額縁まで手作りで制作することで得られる達成感は格別です。

完成した作品は光を反射して部屋を明るく照らし、特別な輝きを放ちます。ぜひ、自分で作り上げる喜びと、テンペラ画ならではの格別な美しさを体験していただきたいと思います。