砥部習字教室を主宰する福井雪乃さんは、21歳の若さで教室を開設。現在は3人のお子さんを育てながら土曜午前中に開催される教室では、文字の美しさだけでなく、生徒たちの精神面にも寄り添う指導を心がけています。祖父母への恩返しという想いから始まった教室は、今や子どもたちの「第三の居場所」を目指す温かい学びの場となっています。

幼稚園児から小学生を中心とした習字教室
ー教室の対象者と指導内容について教えてください。
福井:対象年齢は現在、幼稚園児や小学生が中心となっています。大人の方も対応していますが、私自身が子育て中であることや他にも本職があるため、土曜日の午前中のみの開催としています。その時間帯に来られる方となると、大人の方はお仕事があったり、中学生は部活動があるという状況で、現在は幼稚園児から小学生の子どもたちがメインとなっています。
指導内容については、毛筆と硬筆の両方を教えています。第1・第2土曜日が硬筆、第3・第4土曜日が毛筆を重点的に行っており、バランスよく書道の基礎を身につけられるようにしています。
祖父母への恩返しと子どもたちへの想い
ー習字教室を始められた経緯やきっかけについてお聞かせください。
福井:私がこの習字教室を開いた理由は、小学校3年生の時から祖父母が習字を習わせてくれていたことに始まります。16歳の時に母が亡くなり、その後すぐに祖父が脳梗塞で入院するという状況になりました。それまでずっと「頑張れ」と応援してくれていた人たちがいつ亡くなるか分からない状況の中で、少しでも見守ってくれていたことを形にしたいと思ったのです。
同時期に離婚してシングルマザーとなり、子どもたちを育てていくという強い意志も生まれました。祖父母への恩返しをしたいという思いと、子どもたちを育てていくという決意から、21歳の時に習字教室を開設しました。
若さと行動力を活かした展示活動
ー他の教室にはない特徴や、一番のアピールポイントについて教えてください。
福井:一番のアピールポイントは、私自身の若さを活かした行動力だと思います。愛媛銀行で作品の展示をさせていただいたり、ローソンのオーナーにお話をして店内に作品を展示させていただいたりと、積極的に展示の場を設けています。
生徒たちの作品が多くの人に見てもらえ、「見たよ」と言ってもらえることで、子どもたちはより一層頑張ろうという気持ちになります。そういった展示の場を多く設けられることが最大の強みです。
また、私が生徒たちと年齢が近いこともあり、「お姉ちゃん」という感覚で学校のことや友達の悩みを話してくれます。私は教室が子どもたちの「第三の居場所」となることを目標としているので、そういった関係づくりも重視しています。
平仮名指導に力を入れる理由
ーご指導の際に特に意識していることはありますか?
福井:特に意識しているのは、平仮名の指導に力を入れることです。文章の大部分を平仮名が占めるため、平仮名を重点的に指導すると、文章全体が美しく見えるようになります。「この子は字が綺麗」と言われる機会も増えます。
平仮名は形が柔らかくて書くのが難しいので、毎月特定の文字に焦点を当てて練習しています。例えば「こ」と「に」と「る」なら、「こ」の下のカーブが難しいので、そういった点を重点的に指導するなど、月ごとに特定の平仮名を集中的に練習するようにしています。
柔軟な月謝システムで継続をサポート
ー提供されているコースやプランについて教えてください。
福井:月謝は小学生・中学生は3,500円、成人の方は4,500円となっています。私自身にも子どもがいるため、保育園行事などで休講させていただく場合は700円の割引をしています。また、生徒さんの家庭の事情や学校行事でお休みされる場合には1回につき500円の割引をさせていただいています。できるだけ継続しやすい環境を整えています。
今後の展望と子どもたちへの寄り添い
ー今後強化していきたい点や新しい取り組みについてお聞かせください。
福井:現在は3人の子どもがまだ幼稚園児で、幼稚園の預かり時間内でしか活動できないため、土曜日の午前中に限定して教室を開いています。子どもたちが成長していけば、平日の夜や土曜日の夜間にも教室を開きたいと考えています。
また、子どもたちと関わる中で、精神面の不安定さや悩みを聞く機会も多く、幼児教育や保育士の免許の勉強も始めました。これからは書道の指導だけでなく、子どもたちのメンタル面でもより深く関わっていけたらと思っています。
「第三の居場所」を目指して
ー今後ご入会を考えている生徒さんや保護者の方へメッセージをお願いします。
福井:子どもたちにとっての「第三の居場所」となることを目標にしています。学校のことや家庭のことを気軽に話せる関係づくりを意識しており、「先生に会うために来た」と言ってもらえるような教室を目指しています。
どんな習い事でも継続することが大切だと思います。私自身が習字を続けられたのは、先生のことが好きだったからです。生徒さんとそういった深い関係を築きながら、一人ひとりの成長をサポートしていきたいと思っています。