「音楽の力で、人と社会をつなぐ」―国立音楽院が描く自由で多様な学びのかたち

音楽を人生の喜びや仕事につなげたい―そんな想いを持つ人々が集まる国立音楽院。
子どもからシニアまで、年齢も背景も関係なく「好き」を学べる環境には、自由と創造、そして社会貢献への真摯な姿勢が息づいていました。
今回は、音楽院の教育理念からリトミック教室、日本で有数のバイオリン制作講座まである学院、その魅力をじっくりお届けします!

音楽を通じて、自分らしく学べる場を

ーまず、国立音楽院の概要について教えてください。

国立音楽院は、世田谷区三宿を本校とし、東京・宮城・鳥取南部など複数の拠点で展開している音楽教育施設です。文科省の認可校ではありませんが、小学生からシニアの方まで幅広い世代が通う学びの場として、60年近い歴史があります。

現在、小中学生約20名、高校生約100名、卒業後の社会人や大学生など約100名が在籍しています。週7日開講し、自分のペースで学びたいときに通える「自由登校」スタイルを採用しています。

教育理念と学びのスタイル

ー教育理念や指導方針についてお聞かせください。

国立音楽院は、「好きな音楽を一生の仕事に活かす®」をテーマに、自由・創造・自立を重んじた学びを提供しています。単位制でもなく、出席義務もありません。150〜200の自由選択科目の中から、自分に合った内容を選んで学ぶことができます。

また、実践重視のスタンスをとっており、教科書に頼るのではなく、実際にプログラムを組んだり演奏したり、現場で実習を積むことで学びを深めていきます。

卒業後も続くサポート体制

ー学んだことを活かす場についても教えてください。

卒業後は、直営教室や地域イベントなどでの現場体験を通して、指導や運営を実践的に学ぶことができます。自営で教室を開きたい方には、立ち上げ時の顧客対応や集客の支援も行っています。

「学び」から「働く」まで一貫してサポートできるのが、当院の強みです。

リトミック教室の特徴と方針

ー子ども向け教室では、どのような活動を行っているのでしょうか?

直営の教室では、ピアノを中心にバイオリン、ドラム、ギターなど様々な楽器に触れられる環境があります。特に6か月〜年長までを対象にしたリトミックでは、月・土・日を中心に週末クラスを開催しています。

リトミックでは、音楽の技術習得だけでなく、自立心や協調性といった「人としての土台」を育てることを目的としています。
最初はママの後ろに隠れて泣いてばかりだったのに、今では音楽に合わせて自分から踊り出すように。子どもの成長に毎回感動しています」
ピアノの音に合わせて体を動かすうちに表情もどんどん明るくなりました。“音楽ってすごい!”と実感しています」

といった声も届いており、リトミックが子どもの心と体に与える影響の大きさを感じさせてくれます。

障がいのある子どもたちへの配慮と共生の姿勢

ーグレーゾーンや障がいを持つお子さんの受け入れについても教えてください。

当院では、特別な支援ではなく「一人の学院生」として自然に受け入れる姿勢を大切にしています。視覚障害を持つお子さんが入学前に自分で展示シールを作り、点字シールをあちこちに貼るなど、生活しやすい環境を整えるなどを行なっていただける環境です。

リトミックも同様に、健常の子どもと共に過ごすインクルーシブな教育を目指しており、個別に柔軟な対応をしています。

学びを通して、社会とのつながりを広げる

ー実際に通っている方の印象的なエピソードがあれば教えてください。

名前も書けないほど内向的だった学院生が、ピアノの前に座ると突然リストを弾き出す…そんな驚くような成長を見せる瞬間が日常的にあります。

また、不登校だった学院生が、国立音楽院で過ごした後、元の学校に戻れたというエピソードもあります。一人ひとりにとっての「第一歩」を支える場でありたいと常に思っています。

シニア層や高齢者施設でのリトミックの可能性

ー高齢者向けリトミックの取り組みについても教えてください。

2015年から若返りリトミック®を独自開発し、認知症の改善にも効果があると注目されています。音楽は人生を通じて触れられる数少ない感覚領域であり、記憶や感情を刺激する力があります。

介護施設や社会福祉協議会と連携し、地域の高齢者に向けた活動も定期的に行っています。

受講費用とコース概要

ー各コースの費用について教えてください。

  • 初等部・中等部・高等部:年間約97万円~
  • 一般コース(1年制):110万円~
  • 演奏・作曲系学科:135万円~
  • 技術系(楽器制作・修理など):145万~
    ※各コースは2025年5月現在のものです。

リトミッククラスは、はじめての習い事にもぴったりな、週1(月3〜4回)・月謝制です。無理なく続けられるリズムで、少しずつ音楽に親しんでいただけます。

今後の展望と社会的な役割

ー今後強化していきたい点や、社会への関わりについてお聞かせください。

少子高齢化や不登校といった社会問題に対して、音楽教育を通じてどのように貢献できるかを常に考えています。
共働きで送り迎えができないという時代の流れもあるため、地域の保育園や介護施設へのリトミック導入など、生活の中に音楽を根付かせる取り組みを今後も広げていきたいです。

入学・入会を検討されている方へのメッセージ

ー最後に、入学を検討している方や保護者の方へメッセージをお願いします。

国立音楽院は、「音楽を楽しむ」「音楽で自分を表現する」ことを大切にしています。仕事にするかどうかは関係なく、まずは「好き」を見つける場所として、気軽に見学に来て頂ければ嬉しいです。

不登校や障がいを持つお子さんを持つ保護者の方へ

こうした悩みは、なかなか外に話せることではありません。
ご本人が一番つらいのはもちろんですが、保護者の方やご家族も、大きな不安を抱えて日々向き合っておられると思います。
私たちは、“まずは話を聞きます”というところからスタートしています。
音楽院では、入学や費用の話の前に、まずは話してみる・見学してみるといった「第一歩のきっかけ」を大切にしています。

学院の中にはライブハウスやバイオリン工房があり、日常とは違う刺激や、新しい価値観との出会いもたくさんあります。
音楽に詳しくなくても、「ちょっと見に来てみた」だけでも大丈夫です。
まずは一度、音楽という“入り口”から、気持ちをほぐしに来てみませんか?

▶ 国立音楽院 公式サイトはこちら

幼児向けリトミックをご検討中の方へ
国立音楽院のリトミックでは、ピアノの生演奏に合わせて歌ったり、踊ったり、体を動かしたり。
楽しく遊んでいるように見えて、実は「自立心」「表現力」「コミュニケーション力」といった“人としての土台”を育む内容になっています。

対象は6ヶ月から年長さんまで。
年齢や発達段階に応じたクラス分けをしているので、無理なくその子に合ったペースで参加することができます。
親子のふれあいを大切にしながら、子どもたちの自立を促す貴重な時間を過ごせるはずです。ぜひ一度体験してみてください!

▶ 国立音楽院 リトミックコースの詳細はこちら