音色を通して人生に彩りを-「二胡教室たまや」で広がる音楽との出会い

中国の伝統楽器「二胡」の深い音色に魅了され、教室を開設した田中庸一さん。

20代から80代まで幅広い年齢層の生徒が通う二胡教室たまやでは、技術向上だけでなく、音楽を通じた人生の豊かさを大切にしています。

手作りの美しい二胡のショーケースが並ぶ教室で、音楽がもたらす喜びと感動を共有する教室について、田中さんにお話を伺いました。

教室概要

ー どういった方を対象にどのような指導をされていますか?

田中さん:現在、最年少が20代、最年長が80代と幅広い年齢層の生徒さんが通われています。

特に年齢制限は設けておらず、お友達からの紹介や二胡に興味を持った方であれば、どなたでも歓迎しています。

レッスンは基本的に教室でのマンツーマン形式、1回50分で行っています。

レッスン後には、その日の復習用の動画をお送りし、次回までの練習課題も提供しています。

月謝制ではなく予約制を採用しており、生徒さん一人ひとりのペースに合わせてレッスンを進めていただけます。

設立の経緯・きっかけ

ー 先生がこの教室を始められたきっかけや背景について教えていただけますか?

田中さん:大学時代の中国留学中に二胡の生音を聞いて感動し、趣味として演奏を始めました。

実は別の本業を持ちながら、その傍らでボランティア演奏を行っていたのですが、その演奏を聞いた2名の方から「習いたい」という声をいただいたことがきっかけです。

当初はここまで本格的な教室にするつもりはありませんでしたが、徐々に規模が広がっていきました。

現在では開講して10年目を迎えています。

特徴とアピールポイント

ー この教室の特徴やアピールポイントについて教えていただけますか?

田中さん:二胡の上達はもちろん重視していますが、それだけでなく、音楽を通して生徒さんの人生に彩りを添えることを大切にしています。

生徒さんの中には楽器演奏が初めての方もいらっしゃいますが、練習を重ねる中での上達や成長の実感、様々な演奏会に一緒に参加することによって得られる感動体験など、楽器演奏を通じて様々な喜びを感じていただけることを目指しています。

また、2年前から正式な発表会も開催しており、今年6月29日に第2回目を予定しています。

発表会は強制ではなく、希望する生徒さんに参加していただく形式で行っています。

知り合いの木工家具職人に特注で作っていただいた二胡のショーケースが教室の雰囲気づくりにも一役買っており、より充実した学習環境を整えています。

生徒指導で意識していること

ー 生徒さんに接する際に、先生が意識していらっしゃることはありますか?

田中さん:毎回のレッスンでは、できていない部分を指摘する前に、必ず前回からの上達点や良くできているところに焦点を当てるようにしています。

生徒さんの成長をしっかりと認めた上で、さらなる改善点を提案する形で指導を行っています。

二胡の魅力

ー 先生にとって、二胡の魅力とはどういった点でしょうか?

田中さん:最大の魅力は音色です。

二胡は楽器の中で最も人の声に近い周波数を持つと言われており、聴く人の心に届きやすい特徴があります。

また、演奏者の人柄や感情が表現しやすい楽器でもあります。

二胡の特徴的な点として、ピアノなどの鍵盤楽器とは異なり、音の境界線がありません。

バイオリンと同様、指を押さえる位置によって微妙な音の変化を表現できます。

さらに、バイオリンは指板があるのに対し、二胡には指板がないため、より深いビブラートや繊細な表現が可能です。

この特徴により、同じビブラートでも演奏者によって異なる個性が表れ、それも二胡の大きな魅力の一つとなっています。

今後のビジョン・展望

ー お教室として今後強化したいことや、新たに取り組んでみたいことはありますか?

田中さん:日本における二胡の認知度がまだ低く、特に若い世代への浸透が課題だと感じています。

現在は40代以上の方が中心となっており、子どもが習うことは極めて稀です。

今後は、より多くの子どもたちにも二胡を知ってもらえるよう、様々な活動を展開していきたいと考えています。

読者へのメッセージ

ー 二胡教室に興味を持たれた方へメッセージをお願いできますか?

田中さん:多くの方が二胡の音色に魅了されて「自分でも表現してみたい」と思われますが、「楽器経験がない」「楽譜が読めない」という理由で躊躇される方も少なくありません。

しかし、そこは皆さん同じスタートラインです。

まずは一歩を踏み出して、始めてみてほしいと思います。