“読み上げ算”で鍛える非認知能力 — 3代目が継承する老舗そろばん教室の革新的指導法

そろばん教室を運営する北川祐介氏は、1948年に祖父が創業した老舗教室の3代目。「聞く力」を養う「読み上げ算」に力を入れ、4歳から70代まで幅広い年齢層を対象に指導している。単なる計算力だけでなく、集中力や記憶力、情報処理力といった非認知能力の育成にも注力し、将来に役立つ基礎力の養成を目指している。

4歳から70代まで、幅広い年齢層に対応したそろばん教室

ー教室ではどのような方を対象に、どのような指導を行っているのか、概要について教えてください!

当教室の対象は非常に幅広く、最年少の生徒は4歳からお預かりしています。上限年齢は特に設けておらず、現在の一般クラスで最年長の方は25歳です。さらに、大人を対象とした「大人そろばん教室」も運営しており、こちらでは30代から70代までの方々が学ばれています。

教室の教育方針としては、小学生の時代に「暗算検定1級」の合格を主な目標として指導を行っています。これは「大人になっても役立つ能力を小学生のうちに身につけましょう」という考え方に基づいています。一方、大人の生徒の方々に対しては「頭のフィットネス」という観点から、脳を健康に保つための取り組みとして指導を行っています。

77年の歴史を持つ老舗そろばん教室の継承

ー教室を始められた経緯について教えてください!

当教室は1948年から続いており、77年もの歴史を持つ老舗です。私の祖父が教室を創設したのですが、その当時は「習い事といえばそろばん」という時代でした。「読み書きそろばん」という基礎教育の一環として、そろばんが非常に重視されていた時代背景もあり、教室を展開することになりました。

祖父の引退後は母が二代目として引き継ぎ、現在は私が三代目として運営しています。私が継ぐきっかけとなったのは、もともと別の会社で働いていたのですが、母が脳出血で倒れてしまい、教室を閉めるかどうかという岐路に立たされたときでした。ちょうどその時期に教室のお手伝いをしていたのですが、実際に通っている子どもたちが「続けたい」という声や、保護者からの後押しもあり、「これは続けていかなければならない」と強く感じました。母が大切にしてきたものを私が引き継ぐ形が最善だと考え、現在に至っています。

「聞く力」を育てる読み上げ算に特化した独自の指導法

ー他の教室にはない特徴や、教育としての一番のアピールポイント・強みについて教えてください!

当教室の大きな特徴は「読み上げ算」に力を入れていることです。読み上げ算とは、例えば「345円と675円」というように、数字を読み上げてそれを聞いて計算する方法です。なぜこれに力を入れているかというと、「聞く力」を鍛える習い事というのは非常に少ないからです。

聞いて判断する能力を養う習い事を考えると、ピアノなどの音楽系が思い浮かぶかもしれませんが、音楽は言葉ではありません。言葉にしたものを聞いて判断していく習い事は少ないのですが、そろばんはそれに特化できると考え、「聞く力」の育成に力を入れています。

この「聞く力」は非常に重要だと思います。学校で先生の話を正しく理解することで学習効果が上がりますし、社会人になってからも、会議や上司からの指示、お客様の声を正しく理解して判断し、次の行動につなげる土台となります。このように「聞く力」の代表として読み上げ算に特化した指導内容が当教室の特色です。

個々の理解スタイルに合わせた指導と明確な目標設定

ー生徒さんを指導する際に特に意識していることや、教室全体としての方針があれば教えてください!

方針としては、小学生のうちに暗算検定を取得することを目標としています。しかし、様々なタイプのお子様がいらっしゃるので、一人ひとりに合わせた声かけを心がけています。論理的な説明で理解する子もいれば、絵を描きながら説明すると理解が進む子もいます。理解の仕方は人それぞれ異なりますので、日頃のコミュニケーションを通じて「この子はどういったタイプなのか」を見極め、最適な学び方を提案するよう心がけています。

また、目標設定も重視しています。検定試験や珠算連盟の大会などを具体的な目標として設定し、「この目標を達成するためにはどんな練習が必要か」という行動計画を立てています。目標と行動、そして結果をしっかりと結びつける指導を日々実践しています。

シンプルな料金体系とコース設定

ー現在提供されているコースやプランについて教えてください!

プランは主に2つあります。週の通塾回数によって設定しており、週2回以上通われる方は月額6,000円、週1回以下の方は月額4,500円という形で料金を設定しています。当教室は週3回開講していますので、お子様のペースに合わせて通っていただけます。

また、大人の方を対象としたコースも提供しています。こちらはカルチャーセンターに登録しての運営形態となっています。

デジタル教材の開発と学習関連分野への展開

ー教室として今後強化していきたい点や、新しく始めていきたい取り組みがあれば教えてください!

今後強化していきたい点としては、そろばんは計算スキルに特化していますが、他の学習関連分野とも連携させていきたいと考えています。また、教材に関しても、現在は紙ベースのものが主流となっていますが、デジタル化にも対応できるよう、新たな教材の導入や、新たな指導法についても検討し、生徒共に教室も成長する運営を行っていきたいと思っています。

計算力の土台となる非認知能力の育成

ー受講を考えられている生徒さんや保護者の方々へメッセージをお願いします!

そろばんというと計算力だけが身につくというイメージがありますが、それはごく一部に過ぎません。計算力を支える土台として、集中力、記憶力、情報処理力といった能力が必要です。そろばん学習ではこれらの能力を同時に養っていくことができます。

これらは「非認知能力」と呼ばれるもので、この能力を高めることによって学習の土台作りをし、将来に役立つ力を育成します。ぜひ当教室で、こうした将来の糧となる能力を一緒に育てていきましょう。