音楽教育は単なる技術の習得だけでなく、子どもたちの成長に多面的な影響を与えます。リズム感や集中力、忍耐力を育むとともに、達成感を通じて自己肯定感を高める効果も期待できます。しかし、従来のピアノ教育では、特に幼少期の子どもたちにとって音符の読み方や指の動かし方が難しく、挫折してしまうケースも少なくありません。
そんな課題に対して独自のアプローチで取り組む『たまもりピアノ・リトミック教室』が注目を集めています。音楽心理学の研究に基づいて開発された「たまもりメソッド」は、0歳から高齢者まで幅広い世代が楽しみながら音楽の基礎を身につけられるよう工夫されています。
今回は主宰の玉護眞理子氏にインタビューを行い、教室の特徴や指導方針、そして音楽がもたらす生活への好影響について詳しくお話を伺いました。長年の教育経験と学術的知見を融合させた玉護氏の独自の教育法は、音楽を通じた豊かな人間形成の可能性を広げています。

3歳より横浜市にてピアノを始める。岐阜県立岐阜高校卒業。
愛知淑徳短期大学国文学科卒業。現在のヤマハミュージック名古屋店PTCにて個人レッスンを行う。
岐阜大学教育学部音楽講座に社会人3年編入入学。岐阜大学大学院教育研究科音楽教育専修を修了。図形楽譜を利用した教材開発「たまもりメソッド」を考案する。教材は岐阜大学の教科ピアノ、自宅生に指導。オンライン教材化をする。今まで教えた生徒さんは個人レッスンで延べ500人を超える。
国際万里の長城杯にて声楽、奨励賞。ピアノ優秀賞を受賞。ピアノリサイタルはサラマンカホール他3回開催。12月に第4回を予定。また、イタリアにピアノ、声楽ともに短期留学する。
ピアノ、声楽とも演奏会、ロビーコンサートの出演50回以上。玉性院にてお寺deフェスティバルを主催。独自で開発した「たまもりメソッド」は電子書籍発売。
ピアノ・作曲を西尾洋、声楽を岡本茂朗の各氏に師事。
日本音楽教育学会、日本学校音楽教育実践学会、日本ジャック=ダルクローズ、日本ソルフェージュ研究協議会、リトミック研究センター各会員。
岐阜大学非常勤講師を経て、現在、愛知学泉大学非常勤講師。
0歳から80代まで!誰でも楽しめる音楽の扉を開く教室

ー玉護さま、本日はどうぞよろしくお願いいたします!『たまもりピアノ・リトミック教室』は、どのような方を対象に、どのような指導を行っているのでしょうか?
玉護眞理子 主宰(以下敬称略):対象については、本当に小さな幼児からお年寄りまで幅広い年齢層に対応しています。最近は年齢がさらに下がる傾向にあり、お問い合わせも増えているので、今度の春から正式に0歳児から3歳児までのリトミックコースの募集を開始する予定です。
上の年齢層については、現在は50代の方が最高齢ですが、以前は80代の方もいらっしゃいました。その方は体調を崩されて一度離れたにもかかわらず、「大きな古時計」などの曲を左手の和音伴奏付きで弾けるようになり、さまざまな調も学ばれて指もしっかり動くようになられたので、本当に驚きました。
私たちは独自のオリジナルメソッドを使用しています。これは私が大学院で開発した「たまもりメソッド」と呼ばれるもので、2つのたまを使って遊びながら音楽的読譜力を身につけるアプローチです。iPadをタップしたり、シールカードにシールを貼ったり、丸いものを使って音の上下関係と鍵盤の上下関係を一致させる練習をします。わらべ歌も取り入れて、楽しみながらピアノの技術が身につくように工夫しています。
この「たまもりメソッド」は電子書籍化もしており、大学の初心者向け授業や幼児教育、学校教育でも活用されています。
子育てママから音楽探求者へ — たまもりメソッド誕生の軌跡
ー玉護さまがこちらの教室を始められた経緯や、きっかけについて、ぜひ教えてください。
玉護:私は独身時代に名古屋の大手音楽教室で働いており、そこで教えていました。結婚後は育児に専念していましたが、長女が幼稚園に行く頃に近所の子どもたちを集めてグループレッスンを始めました。小さな子どもたちに教えるのが大好きだったので、それを継続して伝えていきたいと思ったのが最初のきっかけです。
大手音楽教室で働いていた時代には年少さん向けの指導法を学びましたが、その後、近所の子どもたちを教えていく中で、落ち着きのない子や集中できない子、自宅でピアノに向かえない子どもたちが出てきました。
その頃、私は大学の3年次に編入していました。30代後半くらいだったと思います。卒業後、大学での学会の事務を手伝ううちに、現代の子どもたちの学習環境に興味を持ち、大学院の授業を聴講するようになりました。そこから、子どもたちをより良い方向に導くための方法を考え始めました。
大学院に入ってからは、音符を使わない初心者向けのメソッドを具体化し、それを論文にまとめました。これが「たまもりメソッド」の始まりです。
他とは一線を画す!「たまもりメソッド」の革新的なアプローチ
ー他にもピアノ教室はたくさんありますが、『たまもりピアノ・リトミック教室』の一番のアピールポイントは何でしょうか?
玉護:「たまもりメソッド」最大の特徴は、どの段階から始めても楽譜を読む力がしっかり身につけられる点です。特に音符を重ねると和音になるという音楽の基本構造も自然に学べるようにしています。和音は曲を作る上での基礎となるので、子どもたちに曲の構造を理解してもらいながら進めていきます。
ただし、これらを無理やり教えるのではなく、子どもたちが自然と理解できるよう工夫しています。抵抗感なく音楽の基礎を覚えてほしいので、楽曲分析も遊びの中で取り入れています。
また、私自身は声楽も専門としているので、歌い方の基礎も簡単に教えています。とにかく音楽が生活に溶け込み、一生涯楽しめるようなカリキュラム作りを心がけています。
音楽が日常の一部になることで、生活リズムが整い、目標を持って前進する力が自然と身につきます。心が折れそうな時に音楽に救われるという経験も大切です。保護者の方からよく聞くのは、ピアノを習慣化することで勉強やスポーツなど他の活動にも良い影響が出るということです。与えられた課題に取り組む経験を通して、「嫌なことでも頑張れば良い結果が得られる」ということを子どもたち自身が実感できるようになります。
生徒指導における重要ポイント
ー生徒さんに指導する時に、特に意識していることがあれば教えて頂けますでしょうか?
玉護:生徒指導で特に大切にしているのは、音楽だけでなく生活の基盤となるお行儀やマナーの指導です。例えば、玄関に入ったら靴を揃える、教室に入る際には「お願いします」と挨拶するなど、日常の所作から丁寧に指導しています。
音楽面では、早い段階から音の出し方にこだわります。年少さんくらいになり、会話ができて指先も動かせるようになった頃から、美しい音の出し方や正しい指の形を意識した練習を始めています。
また、自己管理能力を育てるため、発表会が近づいたら子どもたち自身に計画を立ててもらいます。「このときまでに何をやるか」「ここまでは何をしようか」という目標設定を一緒に考え、達成に向けたプロセスを体験してもらっています。
練習してこない子どもに対しては、決して怒らず、まずはその場で一緒に練習することから始めます。小学生なら「いつなら練習できるか」「どの時間帯なら空いているか」を本人と話し合い、「ここまで一緒にやったから、ここは必ず弾いてきてね」という明確な約束をします。もちろん保護者の方とも連携し、家庭での取り組みについて相談しながら進めています。
大切なのは楽しさを失わせないこと。ピアノを通して「できた!」という喜びを積み重ね、音楽も人生も前向きに取り組む姿勢を育んでいきたいと思っています。
一人ひとりの成長に寄り添う4つの多彩なコース展開
ー提供されているコースやプランについて簡単に教えていただけますか?
玉護:弊教室では子どもたちの発達段階と音楽的関心に合わせた4つのコースをご用意しています。
まず基礎となるのが「リトミック」コースです。これは最近リニューアルしたばかりで、年齢に応じた音楽遊びを通して、特に手先の協調性や感覚を育むことを目標としています。2025年春からは0歳児からのクラスも始まる予定です。

次の段階として「プレピアノコース」があります。これはリトミックとピアノの要素を組み合わせたもので、本格的なピアノ学習の前に、鍵盤への親しみや音符の基礎概念を楽しく習得できるよう設計しています。

「ピアノコース」では、実際の楽譜を読みながらピアノ演奏技術を中心に学びますが、ここでもリトミック的な要素を取り入れ、音楽を体全体で感じながら学べるよう工夫しています。

さらに音楽理解を深めるための「ソルフェージュコース」も提供しています。これは欧米の音楽教育メソッドを取り入れたもので、音大受験対策としても活用できますが、それだけでなく、音楽の捉え方や耳を育てる訓練など、音楽の本質に迫る学びの場となっています。
これらすべてのコースは、私が大学院で学んだ音楽心理学の研究成果に基づいています。科学的な理論と実践を結びつけ、子どもたちが自然と音楽の力を身につけられるよう、一人ひとりの成長に寄り添った指導を心がけています。
「音楽嫌い」をつくらない — 『たまもりピアノ・リトミック教室』が描く未来の音楽教育

ー今後の取り組みや、強化したい点について教えてください。
玉護:小さいうちから音符を読んでリズムが分かるようにすることが重要だと考えています。小学校4年生くらいから多くの子どもたちは塾に通い始めたり、習い事を一つに絞ったりするようになります。その時点で弾けないと嫌になってしまいますので、小さいうちから音符が読めて、様々な調に親しんで弾けるようになるという土台を作っておきたいと思っています。
小学校4年生くらいになったら、ある程度自分で組み立てられるようにし、ブルグミュラー(ピアノ教本)などが弾けるようになることを目指しています。昔からそのように指導してきましたが、うまくいかないこともありました。しかし、このように進めると、苦労しても音楽を弾く楽しさを感じられるようになります。現在、幼稚園から小学校の子どもたちを中心にこの方針で頑張っています。
オリジナルの音符カードも開発しました。これは名刺よりも少し大きめのカードに、シールを貼って使うものです。隣り合った音や1つ飛んだ音(ドミやレファなど)を使って、子どもがよく知っている「チューリップ」や「ぶんぶんぶん」などの曲を弾けるようにしています。ある程度弾けるようになったら、伴奏も丸で重ねて(ドミソやファラなど)表現し、鍵盤を見ながら手を移動させる練習をします。
このメソッドを使うと上達のスピードが非常に早く、保護者の方からも「あっという間に弾けるようになりました」という声をいただいています。楽譜作成ソフトで作ったオリジナル教材を使って音符も読めるようにし、ノートにもびっしり書いてもらいます。こうして楽しみながら覚え、達成感を得て、また新たなやる気につながる好循環が生まれています。
挫折からの再出発も大歓迎!初心者に寄り添うメッセージ

ー最後に、入会を考えてらっしゃる方達にぜひメッセージをお願い致します!
玉護:「音符が読めない」「リズムが取れない」「ピアノを弾くのは難しそう」—そんな不安を抱えていませんか?
「たまもりメソッドは」、そんな不安を一掃する独自の教育法です。不思議に思える音符の並びも、私たちのメソッドを通せば、子どもたちは自然と理解し、驚くほどスムーズに演奏できるようになります。これは20年以上の教育実践と音楽心理学の研究に裏打ちされた確かな方法論です。
他のピアノ教室で挫折された方も大歓迎です。「厳しくて続かなかった」「練習が苦痛だった」という経験をお持ちの方こそ、ぜひ弊教室の門を叩いてみてください。自由に弾ける環境と、過度な制約のない指導で、お子さまの「音楽が好き」という気持ちを大切に育てます。
もちろん、音大進学や本格的な演奏技術の習得も視野に入れています。しかし、その前に大切なのは音楽の喜びを知ること。基礎をしっかり楽しく学び、「弾けた!」という達成感を積み重ねることで、将来どんな道に進んでも支えとなる音楽の力を育みます。
0歳から80代まで、音楽は人生のあらゆる段階で私たちを豊かにしてくれます。ぜひ一度、体験レッスンにお越しください。お子さまの目が輝き、指が鍵盤で踊り始める瞬間を、一緒に見守りましょう。