「自分の色で生きる」をコンセプトに – アトリエTAOが目指す、子どもたちが自分を知る土台作り

子どもから大人まで、自由な創作活動を通じて心のバランス感覚や表現力、自己理解を深める場を提供する、自由創作教室アトリエTAO。

画材や色を通じて自分をアウトプットする機会を創出し、人生の土台となる力を育んでいます。

情報過多な現代社会において、受け身ではない能動的な自己表現の場として、独自の視点で子どもたちの成長をサポートする活動について、代表の青木美紀子さんにお話を伺いました。

自由な創作活動を通じて、自己表現力を育む

ー まず、どういった方を対象にどのような指導を行っていらっしゃるのかお伺いできますか?

青木さん:対象は3歳くらいの幼児から大人までとなっています。

アトリエには豊富な画材を用意しており、「これを作ってください」といった指示は一切せず、自分の思いのままに、作品を作っていただいています。

時には何もせずにリラックスして過ごすこともできる、自由な場所として運営しています。

色彩心理との出会いから始まった、アトリエ設立への想い

ー ご自身がこの教室を始められたきっかけについてお伺いできますか?

青木さん:アトリエTAOは「子どものアトリエアートランド」の認定アトリエとして運営しています。

30代で子育て真っ最中だった頃、様々な悩みを抱えていた時期に色彩心理と出会いました。

アートランドが運営する色彩学校で学び、色を通じて自分の記憶を振り返るレッスンを受けた際に、色や画材が持つ自由度、心とのフィット感を実感しました。

現代は情報社会でインプットが多い反面、アウトプットの機会が少なく、その方法も分からない状況です。

動画視聴などは受け身になりがちで、能動的に動くことが難しい社会になってきている中で、画材や色を通して自分を表現できる場を作りたいと考え、アトリエを設立しました。

「自分の色で生きる」という理念

ー アトリエTAOの一番のアピールポイントや、他にはない特徴についてお伺いできますか?

青木さん:最大の特徴は、大人も子どもも完全に自由であることです。

課題のある絵画教室は多いですが、当アトリエでは自分の中にテーマがあると考えています。

「自分の色で生きる」という理念のもと、その色は時と共に変化していくものだと捉えています。

人生の節目節目で、また幼児期から児童期、学童期、思春期と成長していく中で、人はそれぞれ異なる色を持って生きています。

作品制作を通してそれを表現し、可視化することで、自分自身を感じることができる場所を目指しています。

らせん状に広がる子どもたちの表現力

ー 小さいお子さんから大きくなるにつれて、作品はどのように変化していくのでしょうか?

青木さん:子どもの成長はらせん状だと考えています。

できる・できないの世界ではなく、人物画を描いていたかと思えば、突然形のないものを描くなど、行きつ戻りつを繰り返します。

特に小学生以上になると、学校でのストレス社会に突入します。

周囲との協調や自己抑制が求められる中で、行事前などには粘土と水をぐちゃぐちゃに混ぜるなど、モヤモヤした気持ちをそのまま形にすることもあります。

それによって学校でのストレスを発散し、また自分の役割やポジションに戻っていく。

アトリエはそのバランスを取る場所として機能していると感じています。

作品に表れる子どもたちの心の成長

青木さん:人間関係が構築されていくと、作品も不思議と立体的なものになっていくのですが、これは周囲への視野が広がっていることを示唆しています。

ただし、例えば「4年生だから立体物を作る」といった年齢による固定的な発達の捉え方はしていません。

技術や手先の器用さは年齢に応じて発達しますが、その時々の心の状態によって表現方法は変化します。

電車が大好きなお子さんもいれば、それぞれに好きなものや特徴があります。

家庭では「ずっとそればかりではなく・・」と誘導されがちですが、アトリエでは精神的にも物理的にも自由な環境で、今の自分を形にしていくことを大切にしています。

並走する大人という独自の指導スタイル

ー 生徒さんを指導される際に、大切にされていることは何でしょうか?

青木さん:導くことは絶対にせず、あくまでも見守る立場を貫いています。

私はリラックスできる大人としてそこにいたいと考えています。

日常の会話や雑談を交えながら、技術的なサポートが必要な時だけ手を差し伸べる。

並走する大人でありたいと思っています。

「表現カルテ」で一人ひとりの成長を見守る

青木さん:当アトリエの特徴的な取り組みとして、お子さんの作品や制作過程を「表現カルテ」として記録し、色の意味や作品から読み取れることについてお伝えしています。

例えば、赤・黄・青の三原色をはっきりと好むお子さんは意思がはっきりしているサインであったり、紫(赤と青の混色)には別の心理が表れていたりします。

お子さんとの会話や作品の様子、選ばれた画材から、伸びている能力や葛藤していることを読み取り、保護者の方への子育てのヒントとしてお伝えしています。

また、保育士資格も持っているので、創作活動に限らず、お子さんの育ちを総合的に見守るアトリエを目指しています。

人生の土台を育む創造の場として

青木さん:当アトリエでは、「心のバランス感覚」「表現力」「自己理解」、3つの重要な能力の育成を掲げています。

これらは単なる絵画技術の習得ではなく、生きる力の基礎を育むものです。

人の成長はマズローの欲求段階説のように階層的なピラミッドで表されますが、アトリエではその土台となる部分を育み、この土台があれば、勉強や人生における様々な葛藤、不安を乗り越える力が育つと考えています。

自由な創作活動を通じて、自分を知る土台作りをサポートしています。

ー 最後に、入会を考えていらっしゃる方へメッセージをお願いできますか?

青木さん:アトリエやアート教室という言葉は漠然としているかもしれません。

しかし、色に興味がある方、色彩心理に関心のある方、お子さんが工作好きな方など、どのような入口からでも構いません。

まずはぜひ気軽に体験にいらしてください。